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生産性が高い人の8つの原則 の商品レビュー

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2024/07/28

生産性について考察したものですが、近年稀に見るほどの面白さと学びを得られる本でした。 群を抜いて生産性の高い人や企業とそうで無い人や組織の違いはなんなのかを考察しています。ToDoリストを早くこなすというようなものではなく、本質的な考え方とそれに基づく行動がなんであるかを解きほぐ...

生産性について考察したものですが、近年稀に見るほどの面白さと学びを得られる本でした。 群を抜いて生産性の高い人や企業とそうで無い人や組織の違いはなんなのかを考察しています。ToDoリストを早くこなすというようなものではなく、本質的な考え方とそれに基づく行動がなんであるかを解きほぐしています。8つの視点で生産性の全体像を紐解いていくのですが、それぞれの視点で紹介される実例がとても興味深いものばかりで、その物語にも引き込まれます。 一つ目の視点「やる気を引き出す」です。 海兵隊の新兵が取り組む初期訓練と、敏腕経営者ロバート氏がある日突然に無気力になってしまった病が紹介され「やる気を引き出す」ことについて考察しています。 やる気なんてものは、本人の意思でどうとでもなるような類のものだと思っていました。その人が、取り組むべき課題に対して、どれくらい真剣に考えていて、責任感を持っているのかという個性に近いものと捉えていたのです。つまり、やる気を持って取り組むことや、やる気になるタイミングはその人次第であり、周りからの働きかけがあろうとなかろうと大した差は生まれないものだと。短絡的な思考と言えるかもしれません。本書を読むと、そんなものでは無いことがわかります。自分で選択する、自己決定をするような場面を作ることが、やる気を引き出すことに繋がっていることが、エピソードの紹介(海兵隊やロバート氏の事例)から浮き彫りになってきます。 二つ目以降の視点は、「チームワークを築く」「集中力をあげる」「目標を設定する」「人を動かす」「決断力を磨く」「イノベーションを加速させる」「データを使えるようにする」です。 それぞれの視点で紹介される事例がどれも興味を引くものばかりで、ページを捲らずにはいられなくなります。ほんの一例をあげてみます。伝説のテレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」のチームワークの構築が語られ、ポーカーゲームの大会優勝者から「ベイズ定理」による決断力を高める考え方に迫り、ディズニー映画「アナと雪の女王」制作現場からイノベーションを加速する手法がスリリングに紹介されます。 付録に、著者が本書を書き上げる際に使った8つの生産性を上げる視点を活用して実践してきたかを解説してくれているので、自分ごととして本書の学びを転用しやすくしてくれています。簡単にできるとは思いませんが、自分なりにもがきながら、本書の学びを実践していきたいと考えています。 読んでいてとても刺激を受けるし、読者を飽きさせない著者の語り部としての能力の高さのおかげで、読み進めることが苦ではありませんでした。お勧めの一冊です。

Posted byブクログ