探偵小説の鬼 横溝正史 の商品レビュー
先ずはモノクロの表紙がかっこいい!和服の上にインバネスを羽織り、ウェーブのかかった髪、ちょっと八の字に下がった眉の下は影をつくり遠くを見つめる視線…まるで繰り返される殺人を止められなかった金田一耕助が苦渋に満ちた表情で立ち尽くしているかのよう。金田一耕助=石坂浩二=横溝正史が重な...
先ずはモノクロの表紙がかっこいい!和服の上にインバネスを羽織り、ウェーブのかかった髪、ちょっと八の字に下がった眉の下は影をつくり遠くを見つめる視線…まるで繰り返される殺人を止められなかった金田一耕助が苦渋に満ちた表情で立ち尽くしているかのよう。金田一耕助=石坂浩二=横溝正史が重なります。その上に白抜きで「探偵小説の鬼 横溝正史」の文字が明朝体でど真ん中にドーンと置かれています。今回、初めて発見したこと…横溝正史って文字がかっこいいこと。なぜ、今、横溝正史って思いながら別冊太陽 日本のこころシリーズを手に取りました。読みながら思い出してみたら、いつだって「なぜ、今、横溝正史?」なのでした。少年マガジンに影丸穣也の八つ墓村が掲載された時(その時は横溝正史そのものを知らなかった…)も天才バカボンやパットマンXとのギャップに戸惑ったし、ATGで「本陣殺人事件」が映画になった時も、なんで?感を覚えたような気がします。そういう意味では角川映画の「犬神家の一族」に至った時は「なぜ、今?」を感じなかったかもしれません。それくらい角川春樹の時代へのチューニングが神がかっていたのかもしれませんし、角川書店のプロモーションが圧倒的だったのかもしれませんし、あるいは市川崑のクリエイティブが天才的だったのかも知れません。あるいは大野雄二の愛のバラードのハンマー・ダルシマー(今回調べるまでずっと大正琴だと思っていた!)の旋律の抒情性に思考停止してしまったのかも。とにかく1977年から横溝正史は今、なぜ?を問われない永遠のコンテンツになったのではないでしょうか?表紙で一瞬、金田一耕助に見えた横溝正史の呆然と何かを見つめる表情は、人間が運命に翻弄されるのを見ているのであり、そしてなぜか21世紀のわれわれの愚かしさを優しく見つめているのかも知れません…なんてことを考えながらページをめくりつつたまたまのムック本、楽しみました!
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令和になって横溝正史の大型ムック本を手にすることができるとは!書かれている内容は今日までにあちこちで語られていることなので目新しさはないけど、特筆すべきは初めて見る写真資料の多さ。横溝ファンなら是非お手元に。
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図書館の新刊コーナーにあるのを見て震撼しました!(上手い) えっとあれかな?わいの知らん間に再ブームが訪れておるのかな? だとしたら嬉しいわー わいの一番好きな作家が横溝正史なんでね 今の若い人たちにもどんどん読んでほしい とにかく面白いんだから で、本作についてはだいたい知...
図書館の新刊コーナーにあるのを見て震撼しました!(上手い) えっとあれかな?わいの知らん間に再ブームが訪れておるのかな? だとしたら嬉しいわー わいの一番好きな作家が横溝正史なんでね 今の若い人たちにもどんどん読んでほしい とにかく面白いんだから で、本作についてはだいたい知ってるわ!ってことが多かったのでこの評価ですw 厳密には思い出したわ!なので読んで良かったんだがw はい、横溝正史豆知識! 横溝正史(よこみぞせいし)はペンネームで本名は横溝正史(よこみぞまさし)なんです 若い頃のお仲間が彼のことを「よこせい」「よこせい」と呼んだのでそのまんま「せい」と読ませるようになったんですね 勉強になりましたね 今後も横溝正史作品、ゆったりと読み返していきますよ〜
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懐かしさに思わず手に取り、そして購入してしまった。 一定の年齢以上の者にとって ”横溝正史" と言えば、昭和50年代の角川文庫の大ブームと角川映画「犬神家の一族」。家族の誰が買ったのだろう、家にあった「八つ墓村」「獄門島」「悪魔の手毬唄」「夜歩く」といったおどろおど...
懐かしさに思わず手に取り、そして購入してしまった。 一定の年齢以上の者にとって ”横溝正史" と言えば、昭和50年代の角川文庫の大ブームと角川映画「犬神家の一族」。家族の誰が買ったのだろう、家にあった「八つ墓村」「獄門島」「悪魔の手毬唄」「夜歩く」といったおどろおどろしいタイトルの文庫本を次々に読んでいった。角川文庫では続々と横溝作品が刊行されていたが、初期の代表作を十数冊読んでしまうと海外ミステリーに自分の関心は移ってしまい、横溝作品とはトンとご無沙汰になってしまった。 今回『別冊太陽』の一冊として刊行されたのを知って、懐かしさに手に取って読んでみた次第。 何ページか頁を繰ると、何十冊という横溝作品のカバー表紙絵がお出迎えしてくれる。有名な角川文庫・杉本一文氏の作品の存在感はすごいし、柏書房の短篇コレクションや少年小説コレクション、さらには最近刊行の春陽文庫の時代小説など、中身を読んでいなくとも眼福ものである。 別冊太陽だけあって画質が非常に良いので、評伝や作品解説に掲載されている単行本や初出雑誌、自筆原稿など、一字一字はっきりと読めるのが実にありがたい。 お子さんやお孫さんの寄稿文、家族から見た横溝正史の姿にホロリとしてしまった。 また、横溝作品から遠ざかってしまった原因の一つとして、舞台設定がドギツク感じられるようになってきたことがあるのだが、本格味の強いものであれば、きっと今再読しても面白く読めそうだ。 横溝作品が海外で翻訳されていて、かなりの人気を博しているという記事を読んで(お孫さんがそうした出版社の一つのプーシキン社の翻訳に関わっているということもスゴい)ちょっと驚いたが、考えてみればトリックは評価されるだろうし、設定の舞台となる犬神家や鬼頭家だって、考えてみればイギリスの奇矯な一族ものとそう変わらないのだから、あまり違和感なく受け入れられるのかもしれない。 横溝正史は長短編、捕物帳やジュブナイルなど含めると600を超える作品を著したとのこと、正に“探偵小説の鬼”と呼ばれるに相応しい。復活後の「病院坂の首縊りの家」や「悪霊島」、その他の代表作を改めて読んでみたい。
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