捜査・浴槽で発見された手記 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
タイトルに惹かれて図書館で借りた。 捜査 いや~~~~~~~難しかった。 (翻訳、返却期限への焦り、大量の併読も相まって) ある不可解な事件が起き、それを解決するために警察は動き出すが中々解決までは至らず、徐々に自分の周りにも不気味な現象が起き始める。 その不可解な現象を心霊的なもので片付けるのか、犯人が存在するのか、またはその間の「何か」なのかを追っていくのがとても面白かった。 浴槽で発見された手記 あらすじでも書かれているように、世界観はSFっぽい感じであり、そこでの主人公が様々な部屋に盥回しにされて、意味が伝わらない会話をさせられたり、事件に巻き込まれたりまさに不条理を味わっている作品であった。 意味がわからない単語のチョイスが好きで、こちらのほうがグングン読めた。 最初に読むレム作品ではなかった感はあるが、とても楽しめた。 次はメジャーな『ソラリス』を読んでみたい。
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レム・コレクション第2期も順調に出版されて喜ばしい限りです。 今回はレムの作品の中でも最も謎めいたものが2篇。レムの作品は危険だ。捜査はタイトル通りミステリーを感じさせるし実際ロンドン警察庁の刑事が主人公で動く死体という不可解な謎に挑むというものです。しかしなんのヒントも得られな...
レム・コレクション第2期も順調に出版されて喜ばしい限りです。 今回はレムの作品の中でも最も謎めいたものが2篇。レムの作品は危険だ。捜査はタイトル通りミステリーを感じさせるし実際ロンドン警察庁の刑事が主人公で動く死体という不可解な謎に挑むというものです。しかしなんのヒントも得られないうえに解決不可能性がほのめかされるしSF的な方向に向かうかと思えば不気味な描写もあってホラーの雰囲気。読者が思い込んでしまうカテゴリーをことごとく外していってあれ?あれ?あれ?これはどういうこと?と頭がぐるぐると回っていきます。浴槽で発見された手記にしても同様に前書きと称する部分だけガチガチのSFで架空の手記自体は全く違う。ホロコーストありソ連時代の共産主義体制批判ありで、これは完全に検閲逃れのためにSFに包んだものだろう。翻訳の巧みさにより文章自体は頭にスイスイ入ってくるのですが、理解使用とすると途端に頭がぐるぐるする。まるでウィルスを送り込まれたコンピューターのようにロジックはアクセスしてはいけない記憶域にアドレスされたり、思考がループして暴走してしまう感じか。カテゴリーも破壊し自分の思い込みや思考パターンも破壊される刺激はエンタメ作品とは別物。危険だ。レムは危険だ。すげー。
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アンチミステリのカップリング。警察ものとスパイものの枠組みだけど、どちらも結論がない。こういうの好き。
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スタニスワフ・レムの長編2編カップリング本。 ■捜査(Śledztwo,1959) 旧訳を二度読んでいるが、 今般、この新訳を読んでの印象はどちらのときとも違って、 上司とはいえ度々主人公グレゴリー警部補の先回りをし、 あまつさえ自宅に押し掛け、しかも、 捜査のヒント...
スタニスワフ・レムの長編2編カップリング本。 ■捜査(Śledztwo,1959) 旧訳を二度読んでいるが、 今般、この新訳を読んでの印象はどちらのときとも違って、 上司とはいえ度々主人公グレゴリー警部補の先回りをし、 あまつさえ自宅に押し掛け、しかも、 捜査のヒントを与えるというよりは 部下を混乱させるような語りを披露する シェパード警部が異常だ、と考えざるを得なかった。 適切な距離を取って上手く息子と接することの出来ない 不器用な父親を思わせる佇まい、とでも言おうか。 グレゴリーはシェパードを超えなければ、 あるいは斃さなければ 決して真の〈正解〉に辿り着けないのかもしれない。 ■浴槽で発見された手記(Pamiętnik znaleziony w wannie,1961) 3000年前、惑星探査隊が持ち帰ったウイルスが 地球全体で〈パピル分解疫〉を引き起こし、 すべての紙が分解され、 記録・知識を喪失した文明は崩壊した。 考古学者はロッキー山脈の地層の下の 《第三ペンタゴン》の遺跡から、 奇跡的に残っていた手記を発見した。 氏名を明かさない語り手(=筆記者)〈私〉が 巨大建造物《第三ペンタゴン》を右往左往しては 奇矯な人々と噛み合わない対話を繰り広げる不条理劇。 ※後でもう少し詳しいことをブログに書きます。 https://fukagawa-natsumi.hatenablog.com/
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