1,800円以上の注文で送料無料

白光 の商品レビュー

3.9

9件のお客様レビュー

  1. 5つ

    1

  2. 4つ

    4

  3. 3つ

    2

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/08/18

大河ドラマ、というよりは連続テレビ小説。 なんと激動の世の中を生きた画師であることよ。 生きるとはままならないなあ。 しゃあんめえ。 祈ることの尊さと描くことへの業がないまぜになって明治から大正、昭和という時代の荒波に揉まれている。こういう時代が有ったのだと、一口に語ることは簡単...

大河ドラマ、というよりは連続テレビ小説。 なんと激動の世の中を生きた画師であることよ。 生きるとはままならないなあ。 しゃあんめえ。 祈ることの尊さと描くことへの業がないまぜになって明治から大正、昭和という時代の荒波に揉まれている。こういう時代が有ったのだと、一口に語ることは簡単だけれど、社会の有り様というのはこうまでも変化してしまうものであるのだと驚愕する。 いま私が見ている景色、社会はほんの少し先にはまったく違ったものになっているかもしれない。 それでも生きていく。 醜かろうが、過去の己の無知に恥の念を覚えようが、圧倒的劣勢だろうが、誰かに嫌われようが。 しゃあんめえ、と唱えて、それでも歩いていく。 生きるとはそういうことかもしれない。

Posted byブクログ

2024/06/28

実はラグーザお玉の話と間違えて手を出した。 明治時代・女性画家・渡欧… 経歴もちょっとかすってるっぽいですが こちらはロシアに留学して イコン制作で多くの作品を残した人でした。 山下りんさん、なかなかの気丈夫さんで 留学先の修道院でも 言葉もわからないのに納得するまで激論。 西...

実はラグーザお玉の話と間違えて手を出した。 明治時代・女性画家・渡欧… 経歴もちょっとかすってるっぽいですが こちらはロシアに留学して イコン制作で多くの作品を残した人でした。 山下りんさん、なかなかの気丈夫さんで 留学先の修道院でも 言葉もわからないのに納得するまで激論。 西洋絵画を学べると思って行ったはずが 模写させられるのはロシア正教のイコンばかり。 (教科書に載ってた、あの平面的なモザイク画?) そりゃ腹も立ちますわ。 宗教画に美は不要、という修道女たちの考えもわかる。 逆に信仰心のない人間でも 心を込めて描かれた宗教画を見て グッとくることもあるのが難しいところ。 帰国してからは、ロシアの政変と 日本の軍国化に巻き込まれ 彼女自身も絵で名をなすことへの渇望と 信仰心との間で悩んだり。 波乱の人生を追体験する物語でした。

Posted byブクログ

2024/06/25

序章 紅茶と酒とタマ―トゥ/開化いたしたく候/ 工部美術学校/絵筆を持つ尼僧たち/分かれ道/ 名も無き者は/ニコライ堂の鐘の音/終章 復活祭 絵師になりたい りんの眼鏡に適う師匠はなかなかいない 西洋画を極めようとするも 留学先ではイコンしか学べない 彼女のじりじりと焦...

序章 紅茶と酒とタマ―トゥ/開化いたしたく候/ 工部美術学校/絵筆を持つ尼僧たち/分かれ道/ 名も無き者は/ニコライ堂の鐘の音/終章 復活祭 絵師になりたい りんの眼鏡に適う師匠はなかなかいない 西洋画を極めようとするも 留学先ではイコンしか学べない 彼女のじりじりと焦りに似た気持ちが伝わってくる。 絵を学ぶための手段に見えた信仰が少しずつ心になっていくようにも見える。 そんな事をしてもいいの?と思う時もあったけれど、絵画への望みを見つめ続ける彼女がまぶしい

Posted byブクログ

2024/06/10

イコン画というものをこの本を読んで初めて知った。 たまたまだけど、今見てる朝ドラの主人公と重なる部分もありました。(本書の感想では無いですが) 読むのに時間がかかった1冊。

Posted byブクログ

2024/05/31

日本初のイコン画家、それも女性画家の物語。 ただひたすらに絵を描くことを愛し、求めて求めて求めて、突き進んで、ロシア留学までして、帰国してからも、という物語。物事を突き進むすさまじさに息をのむ。 正直、「これは主人公・りんが悪いのでは?」と思うシーンも多々ある。それくらいでなけれ...

日本初のイコン画家、それも女性画家の物語。 ただひたすらに絵を描くことを愛し、求めて求めて求めて、突き進んで、ロシア留学までして、帰国してからも、という物語。物事を突き進むすさまじさに息をのむ。 正直、「これは主人公・りんが悪いのでは?」と思うシーンも多々ある。それくらいでなければ、己を突き進めないのだとも思わされる。そしてりんはロシアである疑問を抱くのだが、その謎が後半になって紐解かれていくにつれ、絵画と時代と宗教と、それらの意味深さに胸が熱くなるのだ。 骨太の物語を求めておられるかたへ、胸を張ってオススメできる1冊である。

Posted byブクログ

2024/04/27

明治時代に茨城県笠間で生まれて一人の女性が15歳で故郷を飛び出し、 日本初の宗教画家になった山下りんの生涯を描いた小説。 明治維新になる前の江戸時代の終わり頃という古き時代に 女性で絵を描くことが好きで、絵師になりたいという志を 一心に背負い上京をし、その後美術学校に入学して...

明治時代に茨城県笠間で生まれて一人の女性が15歳で故郷を飛び出し、 日本初の宗教画家になった山下りんの生涯を描いた小説。 明治維新になる前の江戸時代の終わり頃という古き時代に 女性で絵を描くことが好きで、絵師になりたいという志を 一心に背負い上京をし、その後美術学校に入学してから西洋画を 極めようとロシア正教へと導かれ、自分のしたいことに 迷うことなく進んでいく姿は感嘆するばかりでした。 近年になってやっと男女平等の社会になりつつある現代であっても、 ここまで自分の意思と熱意で成し遂げるにしても相当の努力が あると思いますが、この時代では想像をつかない程の努力と忍耐力が あってここまで出来たのかと思わされました。 それだけでなく、時代の流れが明治維新から大正という 近代歴史に沿って生きてきた方なので、その歴史の流れにも 翻弄されながら自分の絵師に対する情熱も冷めることなく 続いていったのが素晴らしいと思いました。 恥ずかしながらこんな芯が強く素晴らしい方が いたというのを知らなかったので、この作品で知ることが出来て良かったです。 好きな絵師になるという所から西洋画を学ぶにあたって ふとした所からロシア正教を触れることになり、 それから今まで未知の世界だった宗教を学ぶことになり、 そしてロシア語まで学ぶこととなりどんどんと世界が広がり、 その一方で様々葛藤しながらも涙ぐましい壁を乗り越えながら 生きていく姿は本当に立派としか思えませんでした。 歳を重ねて見えない眼になってしまっても、 絵具を使わずに宙に向かって指を動かし続ける。 描くことは祈りそのものだ。そして祈りは自らのためではなく、 他者に捧げるものだろう。 という節では心震えるものがあり、心の底から絵師になった喜びや信じる心や宗教の教えなどが降り注いだものだと思いました。 山下さんは沢山の聖像画を描いてきましたが、 残念ながら歴史の狭間で焼失してしまったものが 多くなってしまいましたが、それでも日本の各地の教会や 信徒の家の隅でまだ掲げられて嘆きや祈りなどが されていると思うと心が満たされるというのも素晴らしい心の持ち主だと思いました。 時代背景や社会情勢、ニコライ堂、ロシア正教などと日本とロシアとの 当時の関係なども細かく描かれているので、今まであまり知らなかったことが 学べることができとても興味深く読むことが出来ました。 これだけ素晴らしい方だったので 山下りんさんの描いたイコン画が何処かで見れることが あったら一枚でも良いので見てみたいと思いました。

Posted byブクログ

2024/04/26

選んだ読みたい本が、思わぬところでシンクロしていたという興奮をくれた「白光」。ロシア正教のイコン画家・山下りんの生涯を描きます。 自分の心が求めるものに人生を捧げる覚悟を持ち、そのためならばまず行動という人間の山下りん。彼女の心にたぎる熱意が走りすぎて、多くの軋轢を生み出してし...

選んだ読みたい本が、思わぬところでシンクロしていたという興奮をくれた「白光」。ロシア正教のイコン画家・山下りんの生涯を描きます。 自分の心が求めるものに人生を捧げる覚悟を持ち、そのためならばまず行動という人間の山下りん。彼女の心にたぎる熱意が走りすぎて、多くの軋轢を生み出してしまう。そのことに気づくのは、失ってしまってから。 熱意があればこそ、りんを支えてくれる存在や手助けしてくれる存在もあるのですが、大きすぎる故に持て余されてしまうことも事実。安易ではあるけども、時代が違えば、彼女と周囲の人間の関係性も違ったものになっていたはず。 互いに尊敬し、互いの長所短所を慮り、終生の友人となれたはずではないでしょうか 。 りん自身が終生の道であると思い定めた画業。それが覚束なくなってから、これまでを振り返り、多くの人々との関わりに感謝することができたのは、我執からの解放のように思えて美しさもあるけども、悲しみもあるように思いました。 いつも今いる場所から離れた時に、そこにいることの意義を知る。それを手遅れと諦めずに、手遅れであろうとも、失敗であろうとも、経験から何かを得てきた得ることを諦めなかったから、物語終盤の透徹さにつながっていったのだろうと思います。 『グッドバイ』に続いての朝井まかて。 困難と不屈の女丈夫でした『白光』も。

Posted byブクログ

2024/03/26

面白かったんだけど、ずーっと重い、苦しい話だった。あまり好きになれない主人公だったな。 「道を知るというは、重荷を背負うことにございます」

Posted byブクログ

2024/02/15

【日本初のイコン画家・山下りん その情熱と波瀾の生涯!】明治13年にロシアに留学しイコンを学ぶ。一途さゆえ周囲と衝突し芸術と信仰のはざまでもがきながら生きた女性を描く感動長編。

Posted byブクログ