比嘉正子 GHQに勝った愛 の商品レビュー
すごい、すごすぎる。 虎に翼を見ている最中っていうのもあり、戦時中〜戦後の世界で生きていた女性がどのような生活をしていたのか、今の日本社会を作り上げるにあたってどのような運動が行われてきたのかに興味を持ち、新聞に載っていて、リクエストして借りた。 関西の主婦たちをまとめて主婦連盟...
すごい、すごすぎる。 虎に翼を見ている最中っていうのもあり、戦時中〜戦後の世界で生きていた女性がどのような生活をしていたのか、今の日本社会を作り上げるにあたってどのような運動が行われてきたのかに興味を持ち、新聞に載っていて、リクエストして借りた。 関西の主婦たちをまとめて主婦連盟を作ったこと、お米をくださいとGHQに直談判したこと、お米と砂糖が等価交換にはならないことを伝えたこと、口減しに売られた売春婦たちの力になったこと、働く人々と子どもたちのための保育所を作ったこと、本当にすごい人だ。この時代にこんなに素晴らしい人がいたことを、だからこそ今の日本があるのだということをもっと多くの人に伝えたい。 本も大きい字でどんな年代にも読みやすく、わかりやすくかいつまんで作られている。ぜひ多くの人に手に取られてほしい。 p.226 日本の消費者運動について話しながら正子は、マーサ・デウイットからアメリカの婦人運動について逆に聞いた。女性として話を聞きたいと言った彼女が話すアメリカの婦人運動に、正子は自分たちの運動と通じるものを感じた。「私のは無手勝流だよ』としばしば言うように、状況を読みながら、時々に一番良いと考える落としどころを見つけながら続けてきた消費者運動だったが、本家アメリカの婦人たちの運動と底流でつながっていた。 日本とアメリカ、海を挟んだ二つの国の婦人運動の底にあるのは生活だった。日々の暮らしのやりくりをする女性たちの、生活のある闘い。それぞれの地理的条件や生活様式、文化による違いはあっても、衣食住を整え生命を守るという人の生活に根づいた消費者運動。自分の国の歴史と文化を愛し、それを子どもたちへと渡していこうとする願い。正子は、「浮かれ二十世紀」の風潮に踊る日本人よりも、今、話している目の前のアメリカ人女性に通じ合うものを感じた。そしてマーサ・デウイットからも、正子への親和の情を感じ取った。 マーサ・デウイットとの対談から一年数か月経った一九七二(昭和四十七)年の六月、またアメリカからの訪問者があった。日本の婦人運動に深い関心を持つアメリカの婦人教育のお番わくドロジー・ロビンズマウリという女性だった。正子がユーモアを加えながら話す関 西主婦連合会の歴史や運動方針に、にこやかに耳を傾ける彼女との対談は終始和やかで、それぞれの国の婦人運動、消費者運動にはやはり、生活者としての感覚に根づいた共通点が多くあった。
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