掌編 源氏物語 の商品レビュー
源氏物語の各帖を2~3ページ数ほどのボリュームにまとめて解説し、帖ごとの場面や連想される情景を現した現代の日本画家さんの作品も五十四幅併せて鑑賞できる、手軽な文庫本なのにとても贅沢な一冊です 著者の馬場あき子さんは歌人でもあり、各帖に登場する重要な和歌の解説も手厚く読めてありがた...
源氏物語の各帖を2~3ページ数ほどのボリュームにまとめて解説し、帖ごとの場面や連想される情景を現した現代の日本画家さんの作品も五十四幅併せて鑑賞できる、手軽な文庫本なのにとても贅沢な一冊です 著者の馬場あき子さんは歌人でもあり、各帖に登場する重要な和歌の解説も手厚く読めてありがたかった 収録された日本画の作風が多岐にわたるのもまた良くて、伝統的な日本画の技法や構図で描かれた作品もあれば、現代的な美人画もあるし、ちょっとシュルレアリズム入ってる作品もある どれもめっちゃいい 源氏物語好きによくある(どの帖が好きか?)という議論に併せて(どの帖の絵画が好きか?)というアプローチでも楽しめるので、源氏物語未読でも分かりやすいし入門書としても読めそう 既読の人は復習にもちろんなるし、帖ごとのエピソードを把握していれば各日本画の味わいもより深くなる すごく楽しいです 収録された作品で個人的に好ましいのは【真木柱】での、北の方や真木柱が去った後の髭黒邸のうら寂しい様子に夜の闇が垂れ込める風景の絵です 精緻な木目の柱に歌を書き付けた紙が結ばれて、ささやかにそよいでいる悲しさが伺える そのすぐ次の帖の【梅枝】での大胆な紅梅となよやかな白梅の生命力あふるる絵も素敵です 対比も効いている それがすごく源氏物語らしさを感じる シュルレアリズム風味の日本画の【須磨】 横顔の空蝉がとてもイメージに合致する【関屋】 現代的な美人画のタッチで描かれた五節の舞姫の【少女】もどれも素晴らしいので、推し絵をひとつに絞れない悩ましさがありました
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