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房思琪の初恋の楽園 の商品レビュー

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2024/08/11

なかなか(気持ち的に)重く暗い読書となりました。「これは実話をもとにした小説である。」この文言が読者を苦しめます。 作者が早くに自ら命を絶ってしまったことや、美しく聡明であったこと、メディアの内容等から、またこの物語がリアリティを持って迫ってきて辛いです 先日、フランス映画「...

なかなか(気持ち的に)重く暗い読書となりました。「これは実話をもとにした小説である。」この文言が読者を苦しめます。 作者が早くに自ら命を絶ってしまったことや、美しく聡明であったこと、メディアの内容等から、またこの物語がリアリティを持って迫ってきて辛いです 先日、フランス映画「コンセント/同意」という映画を観ました。こちらも実話で原作本もあるのですが、ファンスーチーの物語と構造が同じで状況も似ており、古今東西このような悲しい状況はたくさん起きてきた(起きている)のだと思わされました。 再読は気持ちが回復するまではないと思います。 しかし読んでよかった1冊でした。 「今回、房思琪はしくじった。魂が離れてのち、彼女は二度と戻ってくることはなかった。」 この文を読んだとき、とてもショックだった。

Posted byブクログ

2024/07/22
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※このレビューにはネタバレを含みます

これだけの密度のある小説だと、一読で理解するのは難しいので、大抵はもう一度読みたくなる。ただ、この小説は、もう一度この文章を目にすることが本当に嫌になる、そんな辛い小説だった。この本が唯一の著作で、出版から二ヶ月後に亡くなったという著者の言葉を借りる以外に説明のしようがないが、「誘惑された、あるいは強姦された女の子の物語」ではなく、「強姦犯を愛した女の子の物語」である。 13歳の頃から、尊敬していた塾講師「李国華」によって強姦され続けた少女「房思琪」は、大学生となったとき、ついに発狂し、正常な精神を失ってしまう。李国華によって縄で縛られ、強姦されようとしているとき、彼女が、正常な精神を失ったそのときの描写が、一番印象に残っている。 よかった。魂が身体から離れようとしている。いまこの屈辱を、忘れられる。また戻って来たときには、わたしはまた元通り。 <中略> 今回、房思琪はしくじった。魂が離れてのち、彼女は二度と戻ってくることはなかった。 (p237) 被害者がなぜ助けを求めることができなかったのか。その微妙な心が痛々しく描かれ続ける一方で、加害者の考え方が描かれる。本当に腹が立ってきて、本当に、辛くなってくる。 本文を読んでもらいたい。どこまでも説明のしようがない小説だった。

Posted byブクログ