射手座の香る夏 の商品レビュー
ジュブナイルSF短篇集。 著者は、子供の頃ハリポタが大好きだったそうで、そういえばなんだか、SF的なガジェットを魔法であるかのように用いていて、それはSFというよりファンタジー小説の興趣があった。舞台設定は近未来だけど、物語の構造はわりと古典的魔法ファンタジーな味わいが特徴的。
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言葉では言い表せないほど素晴らしかった。どの作品も、文章から夏の匂いとノスタルジックな雰囲気が漂っている。伏線の張り方が緻密でありながら、書きすぎずさらりと読者の想像に任せる部分もあり、バランスが良かった。 「射手座の香る夏」 話は二視点で進行していく。どこか幻想的でありながらも、作業員たちの身体が消え失せるという身に迫った事件が現実的。最後収束していく様子に震えた。 「十五までは神のうち」 一番のお気に入りの作品。生まれるかどうかを自分で決められる<巻き戻し>という魅力的な設定が、ワイダニットに繋がっていくのが圧巻。過去は手を伸ばすには遠く、記憶は薄れていく。それでも過去は甘く苦く心に残り続ける。 「さよなら、スチールヘッド」 2つの視点で全く異なる世界観の話が進んでいくが、そのニ視点は夢で繋がっている。ここは夢なのだろうか、現実なのだろうか。立っている場所が揺らぐような怖さがあった。 「影たちのいたところ」 こちらもすごくお気に入り。病床にある祖母が思い出を語る。舞台はイタリアの小さな島。少し未来の設定なのか、設定が現実と地続きなように感じた。若かれし祖母・ソフィアは影を運ぶ青年・ロランと出会う。影狩りと呼ばれる人々からの逃走劇にはハラハラし、そして明かされる秘密もまた衝撃的だった。若かれしソフィアの選択ははっきりとは描かれていないが、きっと「そう」なんだろうなと思う。余韻がとても良かった。
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「十五までは神のうち」問題提起作。15歳出生巻戻し選択権。生まれなかった状態に。家族にとって15歳の喪失は痛ましい。 射手座:身体消失と動物乗り スチールヘッド:人工知能 影達:影の運び屋
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CL 2024.7.6-2024.7.9 SF連作短篇集 「十五までは神のうち」がよかった。 ただ、何もかも無かったことになるのに残された人の記憶には残り続けるというのは、残酷だし整合性が取れていないのではないかと感じた。
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2024-06-13 うん、瑞々しい。アイデアもなかなか非凡だし、きちんと各作品のテーマと絡んでいる。その分、急に結末に至って物足りなく思うことも。
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SF短編集。短編といっても300ページ超えの本に4作なので、それぞれ70ページくらいはあるので読み応えはある。 『射手座の香る夏』 自分の意識を動物に載せることができる世界。なんというか、最初からすごい未来感で不思議。 『十五までは神のうち』 十五歳で、このまま生きていくかリ...
SF短編集。短編といっても300ページ超えの本に4作なので、それぞれ70ページくらいはあるので読み応えはある。 『射手座の香る夏』 自分の意識を動物に載せることができる世界。なんというか、最初からすごい未来感で不思議。 『十五までは神のうち』 十五歳で、このまま生きていくかリセット(生まれなかったことにする)を選べる世界。リセットされてもその人に関する記憶がなくなるわけではなくて残された家族はつらい。兄がリセットを選んだのは何故なのか。 『さよなら、スチールヘッド』 これが個人的に難しかった。一番長い作品なんだけど、自分の意識を仮想空間に入れることができる世界。二つの世界を行き来する物語にちょっとついていけなくなったりした。 『影たちのいたところ』 おばあちゃんが話してくれたのは嘘みたいな体験談。子供の頃に出会った9つの影を持つ子との出会い。その影たちがみんな違う人の影でちゃんと自我があるのが面白い。 全体的にSFでもしかしたら未来にはこんなことが起きるのかも?いやまさか起きないでしょ、とも思える作品たちだった。 個人的には影たちのいたところが好きかな。たくさんよ影を連れてみたい。
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24/05/12 Xでたびたび推薦コメントを見かけたので。 どの作品も良作で、タイトルのセンスがある。繊細でロマンチックで、過剰ではない。できれば夏の気だるい暑さの日に読みたかったな。好きなのはやはり十五までは神のうち、か。 飛浩隆の解説もよかった。ジュブナイルとアクチュアル、...
24/05/12 Xでたびたび推薦コメントを見かけたので。 どの作品も良作で、タイトルのセンスがある。繊細でロマンチックで、過剰ではない。できれば夏の気だるい暑さの日に読みたかったな。好きなのはやはり十五までは神のうち、か。 飛浩隆の解説もよかった。ジュブナイルとアクチュアル、というワードがぴったりの作品たちだった。インタビューの引用箇所も素晴らしい。 私の考える「世界の果て」というのは、つまりこの感覚です。自分が信じられないほど遠くにーーこの後の人生で二度と訪れることが出来ないであろうほど遠くに来てしまったという(若さゆえの)感覚。その一瞬を切り取ることが、物語を書くうえで一番のモチベーションになっています。
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