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青嵐寮の献立 お料理男子、ときどき考古学 の商品レビュー

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2024/05/19
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※このレビューにはネタバレを含みます

こんな言い方は、有間先生に対して、メチャクチャ失礼だろう、と解ってはいるんだけど、あえて言わせてほしい。 予想していたよりも、凄く良かったです、この食漫画。もしかすると、私が有間先生の代表作である『そんな女、ジルバ』を読んでいたら、この作品の良さをより実感できたのかも知れない。 まぁ、そこは言っても仕方ない話なので、気持ちは切り替えて、この『青嵐寮の献立 お料理男子、ときどき考古学』の良さを語ろう。 まず、この作品の良さは、料理がどれも美味しそうってのが大きい。わざわざ言う事じゃないが、登場する料理が美味しくなさそうでは魅力的じゃない。 この作品っつーか、有間先生の画風は、割と淡泊めな方なんだろうが、その画風で描かれる料理が、どれも良い意味で庶民向きで美味しそうなのだ。また、どのメニューも、材料が特別なものじゃないから、ある程度の調理スキルがあったら、大抵の読み手が作れるんじゃないだろうか。 どれも美味しそうだが、個人的に、これは最高だなァ、と感じたのは、二十品目「ローストポーク」だ。私も、もう、三十代半ばなんだが、やはり、どデカい肉には魅了されてしまう。三品目「モツ煮込み」や五品目「ハンバーグ」もグッと来たが、どれが食べたいか、十秒以内に決めろ、と聞かれたら、やはり、ローストポークなのだ。 こればっかりは、直感的な決定なので、どうしてか、と問われちゃ困ってしまうが、あえて理由を挙げるなら、塊肉は最高だ、と言うより他ない。 次点は、十七品目「アクアパッツァ」である。肉が大好きな私だが、魚だって同じくらいに大好きなのだ。しかも、こんな風に、ドンッと立派な魚がそのままで調理されてたら、その魅力は凄まじかろうよ。 そんな魅力的な食事に負けないくらい、この作品の良さを引き立てているのが、主人公・大迫の人間的な成長が、丁寧に描かれているところだ。最初は、なよなよしていた大迫が、良い先輩らに振り回され、また、考古学特有の浪漫に触れていく事で、気弱さが抜けていき、図太くなっていく過程は微笑ましく見守れる。 何より、サークルのマドンナたるエイコ部長に片想いをしている様が、実に可愛らしい。終盤で、大迫が勇気を振り絞った事で、仲が進展するのも、これまた、キュンキュンして好い。 この台詞を引用に選んだのは、そりゃ、異性と接するのが得意じゃなかった大迫にとって、エイコ部長が特別な存在になるわ、と感じたので。 端的だからこそ、確かに、そうだよなぁ、と思えるのも大きい。 人は、他の生き物の命をいただいて、自分の生を繋ぎ、命のバトンを次代に託してきている。 であれば、アレルギーでない限りは、口にする食べ物に感謝しなきゃいけないんだよな、本来。 これでハッとして反省し、もつ煮込みを食べ、「美味しい」と言える大迫は、ホント、良い子だな。 「いきもののいのちだったんだよ」(byエイコ部長) こちらの台詞を引用に選んだのは、大迫、よくぞ言った、と惜しみない拍手を送りたくなったので。 男ならって言い方は古い、を通り越して、時代錯誤かも知れんけど、やっぱり、男には勇気を出さなきゃいけない時があるんだよ。 そのタイミングを間違わなかった大迫は、実に立派で、同性の目から見ても、十分にカッコいい。 きっと、そんな大迫の良さに、エイコ部長は、他の誰よりも気付いていたんだろうな。 あー、可能なら、この作品、続きが読みたいわぁ。 後輩が出来た大迫の先輩風や、エイコ部長との遺跡巡りデートも見たい。 「卵と生クリームのカスタードに、アーモンドプードルの甘いお菓子、好き?」 「す・・・好きです。ぼく、ずっと、エイコ部長は、縄文の女神よりステキだと思ってます」 「え、あ、ありがと」(by大迫、エイコ部長)

Posted byブクログ