銀河鉄道999 エターナル編(愛蔵版)(5) の商品レビュー
「時間は夢を裏切らない、夢も時間を裏切ってはならない」という『999』の長い旅の物語が行き着く先に至ったというような感である本巻の物語だと思う。 所謂「アンドロメダ編」、「エターナル編」というのは、出版社側が発表時期に間隔が開いたことに鑑みて言い出した便宜的呼称で、作者はそういう...
「時間は夢を裏切らない、夢も時間を裏切ってはならない」という『999』の長い旅の物語が行き着く先に至ったというような感である本巻の物語だと思う。 所謂「アンドロメダ編」、「エターナル編」というのは、出版社側が発表時期に間隔が開いたことに鑑みて言い出した便宜的呼称で、作者はそういうような呼び方はしていない。壮大なSF設定を背景に展開される説話文学のような作品で、作中の人々の有様を介して、社会や人々を問い続けるのが『999』なのだ。 作者が「遥かな世界」へ旅立ってしまったという感な中、この巻の挿話であの鉄郎が寧ろ近い世代や、鉄郎自身よりもやや若い人を見守るかのような位置で登場している様子に何となく動かされる。 宇宙が奇妙な力の影響で変わろうとする様子の中で鉄郎が旅に出ているが、その様子の明確な結論はこの「エターナル編」には出ていないかもしれない。が、それでも惹かれて止まない何かが在る。 いい加減に「キャリアの終焉?」が見え隠れするような年代に差し掛かり、何処か『999』が心の中で走り続けていて、何処かに至り付くかのような感覚を抱くようになって、本作が酷く「心に刺さる」というようになっているのかもしれない。 何か凄く興味深く読んだシリーズが終焉というのが寂しいが、「続き」は無いのが残念だ。
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