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〈砂漠〉の中で生きるために の商品レビュー

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2024/09/22

若手の研究者によるアーレントの研究書。 アーレントの政治哲学の基本概念を現象学的に読み解き、新しいアーレント像を提示とのこと。 現象学は個人的には、苦手な領域で、論者によって、かなり違うものである気もしているので、なかなかこれがどう現象学的ななのかというところからよくわからな...

若手の研究者によるアーレントの研究書。 アーレントの政治哲学の基本概念を現象学的に読み解き、新しいアーレント像を提示とのこと。 現象学は個人的には、苦手な領域で、論者によって、かなり違うものである気もしているので、なかなかこれがどう現象学的ななのかというところからよくわからない。 アーレンの主要概念、「世界への愛」と「共通感覚」が同時に立ち上がってくるような。そして、「世界への愛」と「同胞愛」との違いなどなど。 でも、到達する結論的なところは、なるほど感は高い。一つ一つの論点は面白いけど、それってそんなに新しいわけ?と思うのだが、それらを組み合わせると、なるほど新しいアーレント像が浮かび上がっているかもしれない。 その新しいアーレント像は、全く未知のものではなく、どこか懐かしいところもある。なるほど、そういう人だろうね=と思う。 で、そうしたアーレント像を提示したところで、現代的な視点に戻り、デリダやジュディス・バトラーなどの議論を踏まえながら、アーレントの今日性を探究していくところも面白かった。 いかにも博士論文という感じの地道というか、先行研究をようやくしながら問題を提示し、独自解釈を述べるというスタイルがやや硬いかな?仕方ないけど。 おそらく著者としては、この論文というか、本に入らなかった、さまざまな研究テーマが他にありそうで、今後の研究の展開が楽しみ。

Posted byブクログ