ともしい日の記念 の商品レビュー
歌人でアイルランド文学翻訳家の片山廣子の晩年の随筆集。疲れてささくれだった心に寄り添ってくれた一冊。この方のような生活や考え方が「丁寧な暮らし」なのかもしれないと感じた。
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晩年に書かれた随筆を中心に編集された文庫本。アイルランド文学の専門家であることもあるのか、著者の好む季節の植物や食べ物などが記された文は、国内のこと(もっというと家の中のこと)であるのに、どこか果てしなく遠くのほうから眺めているような客観的で冷静な筆致だ。だが、敗戦前後のことが書...
晩年に書かれた随筆を中心に編集された文庫本。アイルランド文学の専門家であることもあるのか、著者の好む季節の植物や食べ物などが記された文は、国内のこと(もっというと家の中のこと)であるのに、どこか果てしなく遠くのほうから眺めているような客観的で冷静な筆致だ。だが、敗戦前後のことが書かれた文章には、感情がほとばしる瞬間があり、著者の感情が抑圧されざるを得なかった時代背景も感じ取れる。それだけに、編者解説での早川茉莉による「何とすてきなものをたっぷりと包含していたのだろう、明治という時代は」(p325)というような意見には全く賛同できない。この人の編集した本にはいつも違和感がつきまとう。
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歌人でアイルランド文学の翻訳も手がけた片山廣子の名前は村岡花子が朝ドラになった頃に覚えた。東洋英和女学校の大先輩で村岡花子を文学の道にいざなった恩人らしいが、朝ドラには登場しなかった。 なにか読んでみたいとずっと思っていたら、ついに文庫オリジナルアンソロジーが出たのでうれしく手に...
歌人でアイルランド文学の翻訳も手がけた片山廣子の名前は村岡花子が朝ドラになった頃に覚えた。東洋英和女学校の大先輩で村岡花子を文学の道にいざなった恩人らしいが、朝ドラには登場しなかった。 なにか読んでみたいとずっと思っていたら、ついに文庫オリジナルアンソロジーが出たのでうれしく手にとった。暮しの手帖社から出て第3回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した「燈火節」を底本として選んだ作品に、単行本未収録の随筆二編を加えたもの。文字づかいは底本の表記(旧仮名づかい)に従いつつ、正字(漢字の旧書体)は新字にしてふりがなを補ったとのこと。
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