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二人の稚児 の商品レビュー

3.7

10件のお客様レビュー

  1. 5つ

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  2. 4つ

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2024/09/08
  • ネタバレ

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とても考えてしまった。自分ならどうだったろうか?と。「世俗」を知らずにいてそれで幸せなのだろうか。籠の中の鳥のように思えてしまう。知った上で選んだ道のであれば良いのだけど、いったん知ってしまうと「煩悩」で苦しむことになるのだろう。会ったこともない「女人」に悩まされるのは摂理なのだろうか。 千手丸のことは、自分で切り開いて納得できる道を進めてよかったとは思ったけれど、時代的なものなのか、調子に乗りすぎてないかと思った。

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2024/08/10

イラストに酔わされて耽美さが強めにでてる。 煩悩に悩める少年達。気持ちに素直に生きた1人と、信仰心を優先した1人。 何を信じ何を軸にするかは人それぞれ。 ここまで極端じゃなくても、欲か理性かは我々にも問われることがある。どっちを選んでも後悔はある。 そんな当たり前のことをこ...

イラストに酔わされて耽美さが強めにでてる。 煩悩に悩める少年達。気持ちに素直に生きた1人と、信仰心を優先した1人。 何を信じ何を軸にするかは人それぞれ。 ここまで極端じゃなくても、欲か理性かは我々にも問われることがある。どっちを選んでも後悔はある。 そんな当たり前のことをこんな耽美的な作品にしちゃうんですねぇ 2024.8.10 125

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2024/07/11

難解な仏教用語がたくさん出てきます。 観行を積まれたとか五濁の世界とか兜率天とか菩提心とか当たり前に出てくるし。 でもそういった難しいところは読み飛ばしても、物語自体はシンプルでわかりやすいので面白く読めました! なにより乙女の本棚の最大の魅力であるイラストの美しいこと! 谷崎...

難解な仏教用語がたくさん出てきます。 観行を積まれたとか五濁の世界とか兜率天とか菩提心とか当たり前に出てくるし。 でもそういった難しいところは読み飛ばしても、物語自体はシンプルでわかりやすいので面白く読めました! なにより乙女の本棚の最大の魅力であるイラストの美しいこと! 谷崎潤一郎の知られざる短編にスポットライトが当たり、その素晴らしさを再確認できるのは何より嬉しいです! 本棚に置いておきたい素敵な一冊!

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2024/06/20
  • ネタバレ

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夜汽車の絵が美してすごく好きだ。綺麗で可愛らしくて神々しい稚児の瑠璃光丸と千手丸が、目映いばかりに神秘的に描かれている。 生まれてこの方、ずっと俗世を離れて比叡山で共に暮らしてきた稚児の千手丸と瑠璃光丸。美しい容姿を持つ点は共通しているけれども、千手丸は2つ年上、瑠璃光丸は血筋が高貴という点で違いがあった。 似たような境遇の二人が、異なる選択の末、全く違う人生を歩んでいくことになるのだが、幻想的な美しさに加えて、人の生き方をも考えさせる良書だと思った。 俗世を何も知らずに仏閣で暮らせるなんて素晴らしいと、二人は俗世を知る人々から言われ続けていたが、本当にそうだろうか。比較する対象を知っているからどちらが良いか言えるのであって、俗世を知らない二人が好奇心を持ち、体験していない俗世を羨むことは当然だと思った。 生まれてから一度も女という生き物と接したことがなく、「女は魔物。女は危険」とだけ聞かされ続けたら、確かめたくなるのは正常な反応だ。まぁ、それで頭から離れなくなってしまうのはまさに煩悩というのだろうが、耐えきれずに行動を起こして、女というものを確かめに行った千手丸は、煩悩に負けたといえども、行動的で素晴らしいと思う。女のいる俗世こそ極楽だったと発見できたことは、行動しなければ至らなかった境地だったろう。 女がいる俗世に一緒に行こうという千手丸の誘いを断った瑠璃光丸も、それはそれでスゴイ。血筋が違うと言われ続けて、同調したくないという思いがあったのだろうか。知っている世界は狭まったかもしれないが、誰も到達できない所に行ける可能性があるのは、彼の魅力だ。 どんな道を選ぶかで、人の人生は全く違う方向へ進んでゆく。どれが正しいということはないと思うけれど、人と違う生き方をしたいなら、大勢と同じことを選んでいては駄目だと思った。 こっちは行かないほうがいいと言われているのに、惹かれる気持ちもよくわかる。弱くったって、誰も責められない。人はないものねだり。なくても幸せだよと言われても、欲しくなってしまう。その煩悩や悩める姿に親近感を感じて、私は千手丸が愛おしいと思った。 行ってみたい方に行けばいいのだと思う。 どんな景色を見たいのか、堪えても見たいものがあるから耐えるのか、求める気持ちに屈してその世界を見に行くのか。 究極の選択という場面に誰しも巡り合うのだろう。どちらを選んでもいいのだけれど、尊敬されるのは少数の道を選んだ人。大多数はそうできないから、畏敬の念が生まれるのだ。そういう点で、瑠璃光丸を見習いたい。 できるならば、少数の人が選ぶ道の一つを、私も選んでみたいものだ。

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2024/06/09
  • ネタバレ

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三十七乙女読了です♪ ようやく図書館で順番がまわって来ましたが、返却日に予定がある為、そのまま図書館で読み終えて返却してきました(笑) なので今日は追加でお借りすることもなく帰って来ましたよ^^; よく頑張ったヾ(・ω・*)ナデナデ 夜汽車さんと「刺青」以来のコンビ復活ですね。 滋賀にいる時に行きましたよ、比叡山。 あそこの空気はヤバイです!! 澄み切った空気がキーーーンと。 そんな比叡山で女人禁制の生活を送る二人の稚児の物語です。この作品は、読者に深い印象を与える力強い物語であり、主人公たちの内面的な葛藤と成長を描いています。 物語は、幼い千手丸と瑠璃光丸が比叡山で仏道を志す上人に引き取られることから始まります。二人は世の中や煩悩を知らず、浮世を知らずにも女人の顔を見たことがなく、その好奇心が苦しめられるようになります。千手丸は特に苦悩し、瑠璃光丸は彼の苦しみに共感しようとしますが、それでも解決することができません。 物語は、二人が成長していくにつれて、それぞれの道へと分かれていく様子を描きます。千手丸は浮世を知ることで苦悩が解消されるように思い込みますが、実際にはそれがもっと複雑な問題になります。一方で瑠璃光丸は、千手丸の苦しみを理解しようと努力しますが、自分自身の道も見つけることができません。 この物語は、人間の内面的な葛藤や成長過程を深く掘り下げており、読者に多くの感情を呼び起こします。谷崎潤一郎の筆致は鋭く洗練されており、物語の展開やキャラクターの心理描写において非常に巧みです。また、比叡山や仏教的な背景も物語に深みを与えており、読者に新たな視点を提供します。 人気シリーズ「乙女の本棚」第37弾は、文豪・谷崎潤一郎×イラストレーター・夜汽車のコラボレーション! 小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。 その悶えは苦しいと同時に甘かった。 幼いときから稚児として寝食を共にしてきた千手丸と瑠璃光丸。何をするにも一緒だった二人の運命は、成長とともにそれぞれの道へと分かれていく。 谷崎潤一郎の名作が、ノスタルジーを感じさせる美しい作品で大きな話題を呼び、本シリーズでは江戸川乱歩『人でなしの恋』、谷崎潤一郎『刺青』、坂口安吾『夜長姫と耳男』を担当するイラストレーター・夜汽車によって描かれる。 名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。 自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。 著者について 谷崎潤一郎 明治19年(1886年)東京生まれ。東京帝国大学国文科中退。在学中に同人雑誌「新思潮」(第二次)を創刊し、「刺青」などを発表する。代表作に、『痴人の愛』『春琴抄』『細雪』『陰翳礼讃』などがある。「乙女の本棚」シリーズでは本作のほかに、『刺青』(谷崎潤一郎+夜汽車)、『魔術師』(谷崎潤一郎+しきみ)、『秘密』(谷崎潤一郎+マツオヒロミ)がある。 夜汽車 イラストレーター。少女を描くことと19世紀末の挿絵画家を好む。懐かしいような落ちついた雰囲気のイラストを目標に制作している。著書に『人でなしの恋』(江戸川乱歩+夜汽車)、『刺青』(谷崎潤一郎+夜汽車)、『夜長姫と耳男』(坂口安吾+夜汽車)、『おとぎ古書店の幻想装画』、『Illustration Making & Visual Book 夜汽車』がある。

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2024/05/20

 乙女の本棚シリーズから、谷崎潤一郎さんと夜汽車さんのコラボ作品『二人の稚児』です。夜汽車さんのイラスト、とってもきれいで好きなんです。  幼いころから稚児として比叡山で過ごしてきた千手丸と瑠璃光丸…寝食をともにし、精進してきた二人だったが、世の“煩悩”の中でも、その最たるもの...

 乙女の本棚シリーズから、谷崎潤一郎さんと夜汽車さんのコラボ作品『二人の稚児』です。夜汽車さんのイラスト、とってもきれいで好きなんです。  幼いころから稚児として比叡山で過ごしてきた千手丸と瑠璃光丸…寝食をともにし、精進してきた二人だったが、世の“煩悩”の中でも、その最たるもの“女人”に対しての興味を持ちはじめた…。その後二人の運命は…。  大筋では理解できたつもりですが、ちゃんと理解するのは難しい感じでした。今回も夜汽車さんのイラストに助けられました。ラストがなんとも切なくて…キレイな余韻を感じることができました。

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2024/05/09

わぁい! きれいな本! きれいな本! と思わず手にとってしまいました。 たぶん、二人の稚児という作品は、挿し絵のない活字だけの本で何回か目にしています。 作品への印象はかなり違います。 実をいうと、登場する二人の稚児を一方は、世俗で成功し、一方は努力して信仰において成就したのだと...

わぁい! きれいな本! きれいな本! と思わず手にとってしまいました。 たぶん、二人の稚児という作品は、挿し絵のない活字だけの本で何回か目にしています。 作品への印象はかなり違います。 実をいうと、登場する二人の稚児を一方は、世俗で成功し、一方は努力して信仰において成就したのだと、文字のみで読んだときにそう読んだのですが、どうも、そのようではないのではないか。 そもそも、ふたりは身分に隔たりがある。 こんな例って、他に何かあったろうか、と思ったら、そういえば、モーツアルトの歌劇「 魔笛」では、王子のパミーノ(?)と鳥刺しのパパゲーノの対照的な結末があり、そこでは高貴とおもわれる夜の女王の娘のパミーナ(?)と王子のパミーノが試練の末に結ばれ、いささか大衆的で子沢山のイメージでパパゲーナがパパゲーノと結ばれるというような対照的な結末がしくまれていたのでした。魔笛では、太陽を思わせる父王が、夜の女王を滅ぼし、大団円をむかえるのですが、かなり意図的に対照的にえがかれている感じがします。 登場人物の属性が、実は最初から設定にあつて各々の結末であるような用意周到さが、オペラの楽しさとは別にあるようです。 そう思った時に二人の稚児の作家は誰に向けて書いたのだろう、と実をいうと思いました。 発表された当時、この作品がどのようなかたちで、人の目に触れたのか。 稚児の二人の稚児の行く末に違いを考えたのはなぜなのか。 当時、小説はどんな風に読まれていたのだろう。 それを知ってどうというわけでもないのだろうけれど、かたちを変えて何度も目にする理由はたぶん作品に力があるからなのだと思います。

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2024/03/23

幼いときから稚児として寝食を共にしてきた千手丸と瑠璃光丸。成長とともに“煩悩”への向き合い方が変わって、それぞれの道へと分かれていく。女性の姿の描写が細かく丁寧で、谷崎さんの嗜好が現れているなあと…。どちらが正しいとか間違っているとも言えない難しいお話だったけど、“耽美”という言...

幼いときから稚児として寝食を共にしてきた千手丸と瑠璃光丸。成長とともに“煩悩”への向き合い方が変わって、それぞれの道へと分かれていく。女性の姿の描写が細かく丁寧で、谷崎さんの嗜好が現れているなあと…。どちらが正しいとか間違っているとも言えない難しいお話だったけど、“耽美”という言葉がピッタリな、“綺麗”なお話だと思った。

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2024/03/20
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「乙女の本棚」シリーズ37弾。 幼少期から一緒に稚児として育ってきた千手丸と瑠璃光丸。女人禁制の比叡山で成長してきた二人の運命の分かれ道。 二つ違いの年齢で、成長の具合がズレてしまうのが、なんともいえない。 どちらが正解いうのでも、幸せかというのでもなく、個々人の選択の結果を、耽美に表現しているのが面白い。 夜汽車さんのイラストが、また秀逸。

Posted byブクログ

2024/03/12

何だかとても美しい世界をみせられた感じ。 大事に育てられるのは良いことだが、ある程度世の中は知っておいたほうか楽しいと思わされた。 瑠璃光は最後は結局どうなったのだろう…

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