ヨーロッパ史 拡大と統合の力学 の商品レビュー
ヨーロッパ史を事件ではなく、意識や思想を基に拡大と統合の歴史を辿っていく。イエ経済から救済の摂理に進化したオイコノミヤや地中海経済から脱落し独自の経済を創造して主役に躍り出た西北ヨーロッパ(フランク)などを通して、少し難解な解説が繰り返される。 特に白眉だったのはヨーロッパに根強...
ヨーロッパ史を事件ではなく、意識や思想を基に拡大と統合の歴史を辿っていく。イエ経済から救済の摂理に進化したオイコノミヤや地中海経済から脱落し独自の経済を創造して主役に躍り出た西北ヨーロッパ(フランク)などを通して、少し難解な解説が繰り返される。 特に白眉だったのはヨーロッパに根強く蔓延る週末観念。「紀元千年の恐怖」による世界の終わりが人々の意識に刷り込まれていて、自然災害、イスラム勢との戦い、レコンキスタ、大航海など人々の行動に影響を与えていた。
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題名から想像していた内容と大きく違いました。国別の歴史を俯瞰したヨーロッパの地域史だと思っていましたが、まさにもっと「大きな」歴史でした。何が起こったか?ではなくその時代の人間はどう感じていたか?で語るヨーロッパ史です。なぜ、ヨーロッパという意識が生まれたか?を解き明かそうとする...
題名から想像していた内容と大きく違いました。国別の歴史を俯瞰したヨーロッパの地域史だと思っていましたが、まさにもっと「大きな」歴史でした。何が起こったか?ではなくその時代の人間はどう感じていたか?で語るヨーロッパ史です。なぜ、ヨーロッパという意識が生まれたか?を解き明かそうとする著者のスタンスが感動的です。本書で何度も使われるキーワード「伏流水」という歴史的遺物や国別の歴史には現れない時代の潜在意識を掘り下げていきます。今もウクライナの戦争においても間見えるヨーロッパの究極形態としてのEUの西ヨーロッパ中心の視点ではなく、著者は専門のビザンツ帝国という視座から汎ヨーロッパという視野を拡げていきます。ヨーロッパ史の「重要な出来事」、476年ローマ帝国の崩壊、800年カール大帝の戴冠、962年オットー一世の戴冠と神聖ローマ帝国の誕生、15世紀〜16世紀のイタリアルネサンス、1492年レコンキスタの完成、新大陸発見、1789年フランス革命など教科書に載っている有名な出来事の裏に潜む「伏流水」としての時間意識、とりわけ世界暦6000年という終末への怯えが歴史を駆動していたという指摘に新鮮さを感じました。まさにキリスト教あってのヨーロッパなのだ、と思いました。きっと今、起こっていることもこの流れで意味を理解する日が来るのでしょう。自分にとっての永遠の積読「地中海」、読みたくなりました。
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配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。 https://www.cku.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?AL=01426329
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