大穴 の商品レビュー
めちゃくちゃ面白かった。前半は小豆相場小説といってもよいだろう。小豆相場小説の傑作としては、松本清張の『告訴せず』などを少し思だしたりもしながら読んだわけだが、まあ、面白いわ。博打小説というより青春小説の傑作であった。
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マ○カ○バ○ナ! 団鬼六といえば『花と蛇』、『花と蛇』といえばSM官能、SM官能といえば団鬼六! という訳で、店頭のちくま文庫新刊売場を覗いた私は目を見張りました。「隠し玉復刊…?経済エンタメ小説…??団鬼六が…?!」ということで、ひと筋のスケベ心を胸に颯爽と本書をレジへ。 ...
マ○カ○バ○ナ! 団鬼六といえば『花と蛇』、『花と蛇』といえばSM官能、SM官能といえば団鬼六! という訳で、店頭のちくま文庫新刊売場を覗いた私は目を見張りました。「隠し玉復刊…?経済エンタメ小説…??団鬼六が…?!」ということで、ひと筋のスケベ心を胸に颯爽と本書をレジへ。 うむ、ぐうの音も出ない程の青春成り上がり熱血譚でありました! 昭和三〇年代初頭を生きる若者たちの熱い息遣いや響く衣擦れ、今にも足音が聴こえて来るような、生命力丸出しの一冊でありました。発表した時は著者も26歳との事で、作品に登場する快傑〈大崎恭太郎〉にしろ梟雄〈鳥井耕平〉にしろ豪傑〈花岸勝江〉を筆頭にした女性陣にしろ、著者が吐く気焔をそのまま原稿上に形にしたような燃え盛る魂を持ったキャラクター達でありました。花岸勝江ともう一人の士〈沢田順吉〉は設定された年齢こそ老境に差し掛かってはいながらその精神は若々しく猛っており微塵たりとも老いなど見せず遅れを取りません。 全編に渡りコッテコテの大阪弁?で繰り広げられる会話はリズミカルかつ勢いたっぷりでうっかりすると置き去りにされそうなスピード感を纏っております。 気に入ったセリフは以下。 「人間ておかしなもんやなあ、金が入るとなんでこんなええ気持になるのやろ」(p168) 「大抵の人は大穴を狙おうと思うて墓の穴をほってますのや」(p179) 「勝負や、すべからく人生は勝負事や」(p267) 人生は選択の連続、とはよく言ったものですが勝負の連続とも言えますね。 いざ勝負というときに日和らず自分を見失わないだけの度胸と経験(と徳)は積んでおきたいものです。 あ、結局、スケベ要素はあんまりありませんよ。 1刷 2024.3.1
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