真犯人の貌 の商品レビュー
2008年、夫の実家に帰省していた夫婦がおびただしい血痕を寝室に残して失踪。夫の兄が殺人で起訴されるも無罪となり、以来未解決のままとなっている通称「川口事件」を調査したフリージャーナリストによるノンフィクション…という体裁のフェイクドキュメンタリー。 気付けば最近小説はフェイク...
2008年、夫の実家に帰省していた夫婦がおびただしい血痕を寝室に残して失踪。夫の兄が殺人で起訴されるも無罪となり、以来未解決のままとなっている通称「川口事件」を調査したフリージャーナリストによるノンフィクション…という体裁のフェイクドキュメンタリー。 気付けば最近小説はフェイクドキュメンタリーばかり読んでいる。 前川裕作品は久々だが、これまで同様、犯人を含めて異様な人間が次々に登場する展開は不気味でありながらどことなく安心感すら覚える。文章もところどころ(特に妙に官能小説めいた性的な箇所)引っかかる部分はあるが相変わらず妙に読みやすく、あっという間にラストまで進んでしまった。 しかし、似た手法で書かれた同作者の『死屍累々の夜』と比較すると、事件自体や真犯人とされる人物に魅力が乏しく、オチが煮え切らないこともあってあまり好きにはなれなかった。
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「川口事件」を取材するジャーナリスト杉山。犯人と思われた男(被害者の兄)は無罪となるが、真相が全く掴めず独自の調査をしていく… フェイクドキュメンタリーと分かっていても、実際にそういう事件があったような気がするし、周りの人々の対応とかがリアル。 結局のところ全くすっきりはしない...
「川口事件」を取材するジャーナリスト杉山。犯人と思われた男(被害者の兄)は無罪となるが、真相が全く掴めず独自の調査をしていく… フェイクドキュメンタリーと分かっていても、実際にそういう事件があったような気がするし、周りの人々の対応とかがリアル。 結局のところ全くすっきりはしないエンドだけど、それも実際の事件みたいで、面白かった、、
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※このレビューにはネタバレを含みます
2月はこちらの作品から。 著者の前川裕さんは「クリーピー」「イアリー」を読んでいて好きな作家さんの一人です。 「真犯人の貌」はフェイクドキュメントですが、 実際にあった事件のように感じてしまうくらい描写がリアルでした。 起きる事件も凄惨で読みながら気分が悪くなりましたが読む手が止まりませんでした。 八王子市川口町で大量の血痕が残されたまま教師夫婦が失踪する。被害者の兄が逮捕されるも無罪が確定していた。 この川口事件を追うジャーナリストの杉山の目線で物語は進んでいきます。 読みながら読者も真実に近づいていくドキドキ感が良かった。でも少しモヤモヤが残る部分や展開が少し強引な感じが少しした。 関係者たちが次々と死んでいく(他殺、自殺、病死)ので「また死んでしまった…」となるのと ジャーナリストが犯人と思っている人物にあと一歩で手が届かない歯痒さがあり「こいつが犯人!」というはっきりした結末ではないので 自分の中で整理しないといけない。 「真犯人の貌」というタイトルの意味がうまく自分の中で消化できなかった。 でもぐいぐい読み進められて面白かった。 いい読書でした!
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私のある小説のコメントに対して「いいね」してくれたフォロワーさんが高評価していたので手にした作品です。この方の作品は初めて読むと思っていましたが、もしかしたら、クリーピーは話題になっていたので、当時読んだかもと今は思っていますが、ハッキリとは覚えてません。 さて、そういう感じで読み始めましたが、非常に面白い。警察が判断を誤ってしまった殺人事件を追うジャーナリストの目線という珍しい目線で描かれています。 警察ではないし、そもそも、ほぼ自分一人で追っている訳で捜査の力はかなり限定される。ただ、警察ではない分、遠慮なく突っ込んでいける部分もあったり、それが逆に警察の逆鱗に触れたり。また、周りからも妨害されるし、やっかみも言われるし。中には好意的な人もいるけど、裏切られることもあるし。 そんな中でたどり着いたほぼゴール。ただ、結局、全容解明とはいかないという意味の「ほぼ」ゴール。個人的には終わり方にもう少し何かが欲しかったという思いがあります。全容解明はしなくてもいいのですが、大きな障害だった弁護士、裏切られた編集担当との決着もモヤっとしているのが、もう少し何かスパイスがあると良かったという思いです。 でも、この方の作品をもう一冊、まずは読んでみようかと思いました。
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