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塵に訊け の商品レビュー

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2024/04/08

ファンテ2作目 面白かった, 青春文学は好きだ 読み終えてしまい、さみしくなっているほど。 始まりはロスのど真ん中バンカーヒルのホテル _わが生涯における重要な一夜だった、ホテルをめぐる決断を迫られていたからだ。カネを払うか、さもなくば出ていくか_ ところが同じページで目を覚...

ファンテ2作目 面白かった, 青春文学は好きだ 読み終えてしまい、さみしくなっているほど。 始まりはロスのど真ん中バンカーヒルのホテル _わが生涯における重要な一夜だった、ホテルをめぐる決断を迫られていたからだ。カネを払うか、さもなくば出ていくか_ ところが同じページで目を覚ますと、運動した方がいいなとかなんとか言って外に出てコーヒーでも飲もうと決めてる。 あーこれはまたダメ男の生き様に付き合うのかと読み始める。 だけど彼は、アルトゥーロ・バンディーニ(二十歳)は作家なのだ。『子犬が笑った』という短編が雑誌に載って、さらなる執筆のためにこの街にやって来た作家、 彼の語る言葉たちって、(ちょろい自分が頭にくるんだけど)とっても素敵なの♡ ついつい付箋してまう♡ _そのあとで女が出てきた、きれいだった、コートは銀ぎつねの毛皮だった、歩道からホテルのドアに吸いこまれていくあいだ、彼女はひとつの歌だった。_ 句読点の打ち方まで好き♡(あ、これは訳者の栗原さんの腕ですね) 塵… LAって砂漠からの塵が街を覆っているのか、いつも彼のタイプライターは塵だらけ。それとも町とビーチの砂と故郷のメタファー? 書けもしない原稿料がまだ入ってこないと、母さんにお金の無心をし、保険を解約してまで送ってくれた5ドルで街にでる。 呆れる。 なけなしの5セントはひどいコーヒーに使ってしまう。ぼろ切れを煮詰めたような味のコーヒー、その店にいたボロボロのメキシコサンダル ワラチ を履いた背の高い女の子、メキシコ系移民のカミラ。 彼女との出会いは最悪なのにすっかり恋してしまうアルトゥーロ。 ここから物語がぐいっと濃くなっていく。 ホテルの住人たち、 カミラ サミー 謎の女ヴェラと、ロングビーチの地震の辺りを読んでいると、これはファンタジーなのか、メタ構造になっているのか、不思議な感覚… 古典文学を読んでいるかのように、神との対話が出てきてしまうのも、ファンテがイタリア系の作家だからなのか、 翻訳者の栗原さんの論文のような解説にもあるように後半はカミラの物語。 アルトゥーロがつまんなくなって、カミラがどんどん美しく かなしくなっていく 子犬が、最後に出てくる コリーの子犬 純白の母犬が 大切に育てるようにって吠えていた えらくかわいい子犬が。 忘れられない物語になりそう なんどもアルトゥーロに辟易とするけれど 憎めないし まだ二十歳だし かわいくなっちゃって、、 ファンテのほかの作品も読まなくちゃ。

Posted byブクログ

2024/02/14

チャールズ・ブコウスキーが敬愛していたジョン・ファンテの代表作。 自分はジョン・ファンテ作品を読むのは初めてだが、これがすこぶる面白かった。 作家志望で、定職もなくフラフラしているアルトゥーロ・バンディーニのダメさや妄想、奇行に序盤こそゲラゲラ笑っていた。 イタリア系のアルトゥー...

チャールズ・ブコウスキーが敬愛していたジョン・ファンテの代表作。 自分はジョン・ファンテ作品を読むのは初めてだが、これがすこぶる面白かった。 作家志望で、定職もなくフラフラしているアルトゥーロ・バンディーニのダメさや妄想、奇行に序盤こそゲラゲラ笑っていた。 イタリア系のアルトゥーロと惹かれ合うメキシコ系のカミラとの傷つけ合う恋愛模様や、突然部屋に現れた傷を持つイカれた女ヴェラとのやり取りも、可笑しい。 だが、後半になるとカミラとの関係の雲行きが怪しくなってくる。 カミラはサミーという病気持ちで才能のない作家志望の男に付きまとうようになり、馬鹿にされても追い出されても受け入れている。 更にはどこかから手に入れた薬物で身を滅ぼしていく。 可笑しい物語だったのだが、終わってみるととても痛みのある小説だった。 本文後に用意されているチャールブ・ブコウスキーの言葉にもぐっときたなあ。

Posted byブクログ