四重奏 の商品レビュー
面白かったけれど、どちらかというと音楽に限らず私たちは芸術作品をなんの先入観もなく純粋に味わえているかという問いが深く残る作品でした。 あることをきっかけに離れていった思い人が火事で不慮の死を遂げることから、イップスになりチェロを自由に弾けなくなった奏者の話です。 主人公が師弟関...
面白かったけれど、どちらかというと音楽に限らず私たちは芸術作品をなんの先入観もなく純粋に味わえているかという問いが深く残る作品でした。 あることをきっかけに離れていった思い人が火事で不慮の死を遂げることから、イップスになりチェロを自由に弾けなくなった奏者の話です。 主人公が師弟関係や友人に恵まれていて、忸怩たる葛藤の末、希望が持てるラストだったのでよかったです。
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ある音楽家の死、その真祖とは。 音楽を絡めたミステリだが、殺人や犯人探しといったミステリ度数はそれほど高くない。 音楽に向かう人々がどのように構え、考えているのか。そういった事を知る事は特別な機会でもない限りできないが解釈の話はなるほど、そう考えているのかと楽しめた。
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※ 主人公はチェリスト男性で、話の大半は 音楽のこととチェロに関することなので、 クラッシックに疎いわたしには些か退屈に感じ、 想像が追いつかなかったのが残念でした。 でも、習い事で楽器を触ったり、クラッシック に携わったことのある人にはきっと興味深くて 楽しめると思います。 ...
※ 主人公はチェリスト男性で、話の大半は 音楽のこととチェロに関することなので、 クラッシックに疎いわたしには些か退屈に感じ、 想像が追いつかなかったのが残念でした。 でも、習い事で楽器を触ったり、クラッシック に携わったことのある人にはきっと興味深くて 楽しめると思います。 演奏することとは別に人を信じること、 人が信じられないこと、他人の考えはわからない から疑心暗鬼になったり、極端になれば拒絶したり して自分を守る、そんな風に思い悩む感情がテーマかなと思いました。
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Amazonの紹介より チェリストの黛由佳が自宅で放火事件に巻き込まれて死んだ。かつて音大時代に由佳の自由奔放な演奏に魅了され、彼女への思いを秘めていたチェリストの坂下英紀は、火神の異名をもつ孤高のチェリスト鵜崎顕に傾倒し、「鵜崎四重奏団」で活動していた彼女の突然の死にショックを...
Amazonの紹介より チェリストの黛由佳が自宅で放火事件に巻き込まれて死んだ。かつて音大時代に由佳の自由奔放な演奏に魅了され、彼女への思いを秘めていたチェリストの坂下英紀は、火神の異名をもつ孤高のチェリスト鵜崎顕に傾倒し、「鵜崎四重奏団」で活動していた彼女の突然の死にショックを受ける。演奏家としての自分の才能に自信をなくしている英紀にとって、音楽は求めれば求めるほど遠ざかっていく世界だ。同じように苦しんでいた由佳の死に不審を感じた英紀は、「鵜崎四重奏団」のオーディションを受け、クラシックの演奏に独特の解釈を持つ鵜崎に近づき、由佳の死の真相を知ろうとする。音楽に携わる人間たちの夢と才能と挫折、演奏家たちの秘密に迫る、長編ミステリー。 事件の謎を解くというよりは、主人公を含む音楽の道に志そうとする人達の葛藤や信念、こだわりに重視していて、音楽に対する印象が変わったかなと思いました。 なかなか演奏家として目がでなく、バイトのかたわら、演奏団のサポート役ばかり。そんな時、由佳の死をきっかけに由佳が所属していた演奏団に潜入しようとオーディションを受けることになります。 途中から運が巡ってきた⁉と思うくらい、トントン拍子感はあったのですが、苦悩する英紀が何かに取りつかれたように真相へ知ろうとする展開は、気になるばかりでした。 もちろん、由佳の死の真相もわかります。由佳のこれまでの行動を深堀りしていくことで、知らなかった真相が次々と明らかになります。死の真相というよりは、これまでの人生における様々な「なぜ?」が浮き彫りになり、一つ一つ潰していくような展開だったので、どこか遠回り感がありました。 また、「音楽」における見方も考えさせられました。良い楽器を使っているから。知っている演奏家だから上手いでしょう。といった先入観によって、音楽を本当に味わっているのか?読むにつれて、段々と色んな迷いが生じました。 また、作曲家が思い描いていた構想を、果たして音楽家達が解釈することができるのか?人によって、解釈はさまざまであり、どれが正解なのかわかりません。 作品内では、色んな作曲家によるクラシック曲が紹介されていますが、指導する人によって解釈が違ってくることもあり、よりクラシックが難しいなと思ってしまいました。 自分ではこうと思っていても、相手は別の答えがあり、はたまた曲を作った人は、もういないので、どんな本当の解釈かもわかりません。そういった中で、こうでしょうと生きている人たちが唱えると本当に合っているのか疑問を感じる時もあります。 なかなか音楽って難しいなと改めて思ってしまいました。 真相から見えてくる音楽のこだわりに、音楽の奥深さを感じた作品でした。
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音楽の話かと思ったら、何か深い話になってた クラシックはわからない。 確かに奏者がヨーヨー・マだったら、いい音、いい音楽だと思う。 小沢征爾の指揮のオーケストラは、ゲネプロでも音が違った気がした 最後に主人公の今後がどうなるかが気になる
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音楽を受け取る側です。感動や解釈は 演者のテクニックや模倣や演技力によるもので錯覚だ というチェリストの言葉 「音楽ミステリー」として読み始めた身には辛いものがありました。主人公が 葛藤の末 光を見出だすことが出来て良かったです。
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ミステリー(特に死が絡むもの)は暗くてえぐいものが好きなので、その点でいくと物足りなさはあった。でもそれを凌駕するほどの『解釈』に圧倒されてしまった。音楽とは何か、演奏家の演奏はなんなのか、聴く側は一体何を鑑賞しているのか、という問いかけがとても冷たくて、かつてクラシック音楽に携...
ミステリー(特に死が絡むもの)は暗くてえぐいものが好きなので、その点でいくと物足りなさはあった。でもそれを凌駕するほどの『解釈』に圧倒されてしまった。音楽とは何か、演奏家の演奏はなんなのか、聴く側は一体何を鑑賞しているのか、という問いかけがとても冷たくて、かつてクラシック音楽に携わっていた身からすると、当時自分の演奏にああでもないこうでもないと言ったり言われたりしていたことに果たしてなんの意味があったのだろうか、という気持ちにさせられた。 そしてこれは音楽に限った話ではないと思う。この世の全ての事象、表現する側とそれを受け取る側がいる限り付き纏う。私たちは世界の何を見ているのだろう。全くの私情や先入観なしに世界を見ることはできないのではないだろうか。 読みながらそういったことを考えていると、小説ではなくもはやデカルトについての哲学書を読んでいるような感覚に陥った。 こんな風に重厚な読後感を残せるのは、楽器が他でもないチェロだったから、というのもあると思う。
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異端の楽団に入った知り合いの女性が死んだ。死の謎を解こうとまだプロになりきれていないチェリストが挑む。 ミステリーとしては微妙。しかし音楽とは何かを大胆に解釈する様は最高。所詮この世は錯覚とバイアスで成り立ってるだけなのかも
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自由闊達な演奏をしていた女性チェリストが火事で死亡した。しかしその死に方に不審を抱いた彼女の友人は、彼女に何が起こったのかを知ろうとする。音楽家たちの苦悩を描いたミステリです。 自分には音楽の才能なんてなくて良かったなあ、と思い、しかし同時に音楽に生きられる人を少し羨ましくも思い...
自由闊達な演奏をしていた女性チェリストが火事で死亡した。しかしその死に方に不審を抱いた彼女の友人は、彼女に何が起こったのかを知ろうとする。音楽家たちの苦悩を描いたミステリです。 自分には音楽の才能なんてなくて良かったなあ、と思い、しかし同時に音楽に生きられる人を少し羨ましくも思いました。どちらかといえばここに登場する人たちの生き方は苦しいとしか思えないのですが、しかし他に生き方を見出せないくらいに音楽に囚われてしまうというのは、一種の幸福でもあるのかなあ、と。真摯に音楽に向き合うからこそ、「錯覚」と認識した時にそこまで苦しく思えてしまうのでしょうか。 英紀の変貌が恐ろしくて、はらはらさせられました。自分の音楽を見失い、それでも音楽の道を捨てられない彼がいったいどのような道に踏み込んでしまうのか。目の離せない展開でした。
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芸術という世界では才能が何においても重要で、努力なんて天賦の才の前では霞んでしまうのかな。そして財力が必要な分野では、生まれ落ちたときにその未来がほとんど決まっているという儚くも切ない現実。縋りついて諦めきれなくて、もがき苦しむ。その葛藤が苦しくなる。
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