人的資本経営まるわかり の商品レビュー
本書は、慶應大の特任教授として産学連携による経営学の研究活動をされたきた著者が、「人的資本経営のポイントがざっくりわかる一冊」を目指して執筆されたものである。タイトルのとおり、人的資本経営とは何か、言葉の定義から歴史、現状などについて、幹の部分を解説されている。私自身、何となく...
本書は、慶應大の特任教授として産学連携による経営学の研究活動をされたきた著者が、「人的資本経営のポイントがざっくりわかる一冊」を目指して執筆されたものである。タイトルのとおり、人的資本経営とは何か、言葉の定義から歴史、現状などについて、幹の部分を解説されている。私自身、何となく興味を持って図書館で借りてみて、仕事でも人事面は全く関わっていないというレベルであったが、そもそもの言葉の意味や組織において人的資本という考え方が重要なのだということがわかり、読んでみてよかったと思った。 【メモ】 ○はじめに ●人的資本=Human Capitalを日本語に訳した言葉 ●現代における人的資本=個人が持つ知識、技能、能力、資質など、付加価値の源泉となり得る資本 ●人的資本経営=Human Capital Management →人的資本に積極的に投資し、企業価値を向上させる経営のこと ●HRテクノロジー(Human Resources×テクノロジー)は2015年に発信 →HRテクノロジーの情報通信システム→HCMアプリケーション(人的資本経営) →2020年後半~2021年頃、人的資本経営という言葉が流行り始める。 ○各章 ●人的資本経営では、人材を資源(Resources)ではなく、資本(Capital)と捉えて経営を行う(資本は投資をして価値を高めるもの)。 ●人材マネジメントにROI(投資利益率)の考え方を導入 ●企業価値が無形資産にシフト→人的資本経営への移行 ●HRテクノロジー(HRテック)=人事・労務業務分野で用いられるシステムやアプリケーション →近年、人材活用や人材育成領域における利用が注目 ●HRテクノロジーのツール=HCMアプリケーション →ユーザーはコンサルティングファームなど ●人的資本開示=財務諸表に載らない非財務情報である人的資本を社内外に向けて公表すること →開示を義務化する政策が世界中で検討・策定 ●人的資本経営のポイントは従業員一人ひとりの「活躍」と「成長」 →企業は人なり →日本が続けてきた年功序列の仕組みとは相いれない(労使協調関係など)。 ○おわりに ●人的資本経営とは「企業は人なり」※これが言われ始めた時代と異なる点 →産業構造の変化によって伸ばすべきビジネスは「プロフェッショナル型」 →第四次産業革命によるデータやデジタルといったテクノロジーの進化 →SDGsという世界共通の目標に向けてすべての企業がビジネスを推進 【目次】 第1章 人的資本経営とは何か 第2章 世界で進む「人的資本開示」の動き 第3章 人的資本経営の落とし穴-表面的な理解では逆効果にもなる 第4章 人的本経営の実践-結局、何をすればいい? 第5章 人的本経営の現状-海外企業と日本企業
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人的資本経営について、基礎的なことを学びたくて購入。基本的な知識は身に付けることができた。 特にROIとしての考え方、無形資産への注目について流れもよく分かり、大変参考になった。
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日本で「人的資本」という言葉が注目されるようになったのは、2020年9月の「人材版伊藤レポート」、更には2022年5月の「人材版伊藤レポート2.0」が公表されて以降であるが、学問的には研究の歴史の長い概念である。 人材が資本であるという考え方は、18世紀のアダム・スミスの思想まで...
日本で「人的資本」という言葉が注目されるようになったのは、2020年9月の「人材版伊藤レポート」、更には2022年5月の「人材版伊藤レポート2.0」が公表されて以降であるが、学問的には研究の歴史の長い概念である。 人材が資本であるという考え方は、18世紀のアダム・スミスの思想までさかのぼると言われている。スミスは「国富論」で、特別の技能を習得するためには教育や訓練への投資が必要であること、そしてこのような投資を通して、労働者の生産性を高めることができると説いている。 人的資本とは、個人が持つ才能、能力、知識、健康といった総合的な生産能力を指す(Becker, 1993) 。人的資本は、投資により蓄積され、その結果、独自の生産性や収益性を高めることができる。人的資本の理論と実証で数多くの功績を残したゲーリー・ベッカー教授は、1992年にノーベル経済学賞を受賞している。 人的資本理論は、ミクロでは賃金決定や労働移動を含む労働市場の分析、また、家族、結婚、出産など、人間行動と意思決定を解明する手法として、経済学、社会学、人口学、経済学などの分野で幅広く取り入れられている。マクロでは教育投資と経済成長、社会福祉の設計など、政策面でも多大な影響力を及ぼしてきた。 上記した、日本で「人的資本」が注目されるきっかけを作った「人材版伊藤レポート」は、2014年に発表された「伊藤レポート」の続編的な位置づけで、経済産業省から発表されているものである。2014年の、オリジナルの「伊藤レポート」は、正式な題名を、「"持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家との望ましい関係構築~"プロジェクト」の最終報告書として2014年8月に公表されたものである。 オリジナルの「伊藤レポート」では、日本経済の低迷の原因の1つとして、企業の低業績があげられ、それを改善するために、企業は資本コストを意識し、ROE8%以上の収益目標を設定し、また、その実現のために、投資家と対話を重ねることにより、より良い企業経営を行うべきという主張がなされている。 「人材版伊藤レポート」も、この流れを受けており、目的は、企業業績・企業価値の向上であり、人的資本の充実はそのための手段であること、また、人的資本に関しての指標とKPIを公表・開示し、投資家を始めとするステークホルダーと対話を重ねることによって、人的資本の更なる充実、そして、企業業績・企業価値の向上を図っていくべきであるとい主張がなされている。 株式を発行する企業の側と、株式を購入する株主・投資家側の間には、情報の非対称性があり、投資家が株式市場において有価証券の売買によって、不当な損失を被ることを防止するために、上場株式会社には、適切な情報の開示が義務付けられている。また、最近では機関投資家と呼ばれる、大量に株式を保有する投資家が存在し、株主総会で、企業側の提案に反対したり、あるいは、株主提案を行うなど、積極的に企業経営に対して発言するようにもなっている。上記で述べられている、情報開示と投資家との対話というのは、そういう文脈で語られていることである。 オリジナル、人材版ともに、「伊藤レポート」は、そういう背景で生まれたものであり、基本的には、株主に対しての対応をテーマにしたレポートであるように、私には思える。 本書は、「人的資本経営」に関する全体像をクリアにしようとしたものであり、特に、①日本でのこれまでの「人的資本経営」および「情報開示」をめぐる動き②「情報開示」に関しての、実際の日本企業の対応(実例を含め)を解説したものである。 大きな文字の新書で170ページ程度のものであり、また、非常に要領よくポイントがまとめられているので、すらすらと読め、「人的資本経営」に関してのポイントを把握することができる。
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さらりとしすぎてる気もするが、概観掴むのにはよいかも。90分以内で読み終わる。 参考になりそうな資料がたくさん出てくるので、そちらの原文のいくつかに目を通してみる。
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