壁 94年の思索の旅 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
壁、というテーマの章は決して厚くなく、全体的には著者の随想的な内容が多い感じ。 でも、1929年。世界恐慌生まれで今も現役の方からの言葉は含蓄に富む。 東大で学んだお医者さん、というイメージから恵まれた環境で不自由なく幼少から過ごしてきたお姿であったが、決してそんな事はなかった。9人きょうだいの中で率先して東京から岡山へ疎開。そのまま一度会社勤めをするも、岡山で改めて学び、その体験から医師の道を志す下りは最後の章に詳しい。若い頃に興味を持って漢文の白文や英語など学ばれた経験は、今も原文で英語はもちろん、独語や多様な言語に触れ、楽しむ趣味に生きている。 ご自身の難聴歴から、早々に手話に対する取り組みもされており、全編に渡り随所にそのテーマが散りばめられている。色々なシーンで手話に対する想いやその必要性を訴えていらっしゃるのは印象的であった。
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