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はじめて話すけど・・・・・・ の商品レビュー

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2024/10/19

小森収インタビュー集。本や映画に関する話題がいっぱい。 やはり皆川博子さんのお話はとても興味深いです。でも「皆川博子になるための136冊」を読んだところで、皆川さんになれるとはちっとも思えません。そもそもねえ、いくら本がない状態でも牛乳瓶のフタに行きつくということはないもの。本当...

小森収インタビュー集。本や映画に関する話題がいっぱい。 やはり皆川博子さんのお話はとても興味深いです。でも「皆川博子になるための136冊」を読んだところで、皆川さんになれるとはちっとも思えません。そもそもねえ、いくら本がない状態でも牛乳瓶のフタに行きつくということはないもの。本当に活字がないと生きられない人ってそうなんだ。心底活字を愛し、活字が血肉となっているのだなあ、ということが理解できたエピソードです。

Posted byブクログ

2023/12/18

 本書の元版は2002年刊行の『はじめて話すけど…』(フリースタイル)で、文庫のボーナストラックとして北村薫との記事が新たに収録されている。聞き手の小森氏は「短編ミステリの二百年」の編著者であるから、そのご縁での創元推理文庫入りだろうか。  〇各務三郎さん、懐かしいお名前。各務...

 本書の元版は2002年刊行の『はじめて話すけど…』(フリースタイル)で、文庫のボーナストラックとして北村薫との記事が新たに収録されている。聞き手の小森氏は「短編ミステリの二百年」の編著者であるから、そのご縁での創元推理文庫入りだろうか。  〇各務三郎さん、懐かしいお名前。各務さんもミステリマガジンの編集長をされているのか。田村隆一、生島治郎、都筑道夫、常盤新平など錚々たる人たちが早川書房の草創期に働いていたのだな。  〇皆川博子さん、皆川さんには濃いファンが多いと聞いたことはあるが、残念ながらその著作を一冊も読んでいない。子どものころに読んだ本のことをこんなにも覚えているものなのか。巻末付録の「皆川博子になるための136冊の本」は戦前の本から最近の本まで、日本のものから外国のものまでバラエティに富んでいて、タイトルを見ているだけでも楽しい。  〇三谷幸喜さん、「作戦もの」について熱く語っておられる。理想とする作戦ものの条件を占めつつ、具体的に作品の長短を指摘するのだが、中でも「スパイ大作戦」は名作との評価。これまたほとんどの作品を見たことがないのだが、文章からだけでもその言いたいことは伝わってくる。「古畑任三郎」シリーズのことなど自作品の作劇術のことなどを率直に語っているところも興味深い。  〇法月綸太郎さんはアントニー・バークリーについて語る。世界探偵小説全集で『第二の銃声』の新訳、さらに『ジャンピング・ジェニイ』の刊行などでバークリーの再評価が始まった時期に行われたインタビューだったが、まだその全貌は出ていなかった。『殺意』と『レディに捧げる殺人物語』もキモになる作品なのだが、あまりに昔に読んだきりなのでほとんど記憶に残っていない。このインタビューを読んで、バークリーを再読したくなった。  〇石上三登志さん、お名前は知っていたがその評論を読んだことはないので、このインタビューは興味深かった。自らの好き嫌いの評価軸がはっきりしている方のようなので、名作と言われている作品でもはっきり面白くないと言っているところなど面白かった。  〇松岡和子さん、劇団雲に2年弱在籍していとは知らなかった。主にシェイクスピア戯曲の翻訳について、役者さんの疑問から自分の訳語や訳文、解釈の見直しに至ったことなど、深い話が聞ける。  〇和田誠さん、本業のデザインやイラストのことはもちろん、アメリカ映画やミステリーなどバタくさいものが好きとのこと。  〇北村薫さん、イーディス・ウォートン「ローマ熱」を熱く語る。すぐにも読みたくなった。

Posted byブクログ