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セカンドキャリア 引退競走馬をめぐる旅 の商品レビュー

3.8

16件のお客様レビュー

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2024/12/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

引退競走馬を取り巻く現状や支援活動についてわかりやすくまとめられた一冊。毎年引退する約六千頭の馬の多くが行方不明になっている、というのは読んで衝撃を受けましたが、様々な形で馬のセカンドキャリアを繋ごうと支援されている方々の姿が丁寧に書かれており、とても前向きな気持ちで最後まで読めました。 個人的に馬と関わり始めてまだ日は浅いものの、馬にたくさん癒してもらったと思っているので、著者の馬への思いには共感する部分も多く、今後も自分にできる形で関わり続けられたらいいな、と思いました。

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2024/11/13

『優駿』に毎号紹介されており、気になったので読んでみました 映画『今日もどこかで馬は生まれる』が問題提起メインの作品とすれば、本書は問題解決の糸口になる活動の紹介が中心です 今年から競馬を見始めた者なので引退競走馬事業のことは多少知っていましたが、本書が執筆、刊行された当時はま...

『優駿』に毎号紹介されており、気になったので読んでみました 映画『今日もどこかで馬は生まれる』が問題提起メインの作品とすれば、本書は問題解決の糸口になる活動の紹介が中心です 今年から競馬を見始めた者なので引退競走馬事業のことは多少知っていましたが、本書が執筆、刊行された当時はまだまだメジャーでは(もちろん今も大多数の人は知らないでしょうが)なかったんだろうなと感じました 著者が取材した活動内容がわかりやすく書かれていて読みやすい反面、文体が平易すぎて大学生の課題レポートのような印象を受けるのが残念かも 競馬に楽しみを与えてもらった者として、これからは少しでも引退競走馬の力になることができればと思います

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2024/08/22

引退した競走馬の共同オーナーになった著者が、引退競走馬たちが次の場で輝けるように支えている人たちや施設を取材して歩く。 競走馬(サラブレッド)は、毎年7000頭生まれ6000頭が引退していくという。そして、そのほとんどの行く末は「行方不明」だという事に驚く。あんな大きな動物が何千...

引退した競走馬の共同オーナーになった著者が、引退競走馬たちが次の場で輝けるように支えている人たちや施設を取材して歩く。 競走馬(サラブレッド)は、毎年7000頭生まれ6000頭が引退していくという。そして、そのほとんどの行く末は「行方不明」だという事に驚く。あんな大きな動物が何千頭も行方不明って…。競馬で一斉を風靡した名馬でも、種付け馬となった後は…?なのだとか。人間って何てわがままな動物なんでしょう。でも、そんな馬たちに手を差し伸べているのも、かつて競馬に関わっていた人たちであることに安心する。 著者の動物への愛が感じられた。

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2024/08/16

引退した競走馬とそれに携わる人たちの活動を追ったノンフィクション。 著者は動物愛護関連の著書がある作家で、競馬ファンではないが、引退した競走馬の共同オーナーになったことをきっかけに、競走馬のその後について調べるようになる。競馬業界の引退馬の現状とJRAの取り組み、JRAの角居元調...

引退した競走馬とそれに携わる人たちの活動を追ったノンフィクション。 著者は動物愛護関連の著書がある作家で、競馬ファンではないが、引退した競走馬の共同オーナーになったことをきっかけに、競走馬のその後について調べるようになる。競馬業界の引退馬の現状とJRAの取り組み、JRAの角居元調教師の活動などを中心に、引退馬のその後のキャリア構築に地道に取り組む人たちの姿をインタビューや体験を通じて紹介する。引退競争馬を引き取って生涯面倒を見る馬主もいるが(それも素晴らしい事だが)、引退馬を再トレーニングして仕事を与え、人々の生活に役に立てる活動を目指す人達がいる。長年、競馬ファンを続けているが、競争馬の引退後の様々な取り組みについては知らないことが多く、いろいろ勉強になった。引退馬に関心がある人は勿論、競馬ファンにも一読する価値があると思う。

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2024/08/14

いち競馬ファンとして知らなかったでは済まされない問題を浮き彫りにしてくれた。JRAが本気になって取り組み出していることに安心しつつも、今後も自分の目でしっかりと見過ごさないように努めていきたい。角居厩舎の素晴らしさを改めて実感。

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2024/08/07

 ディープインパクトの息子3兄弟の馬達がもともと人とのコミュニケーションが取りにくく、こんな馬で大丈夫だろうか?と思っていたが、1頭1頭の個性を大事にしながら世話と調教を重ねてきたら乗れる馬になった事、競走馬を引退したら、子供を産むために残すか馬肉用に回されるかが今までは多かった...

 ディープインパクトの息子3兄弟の馬達がもともと人とのコミュニケーションが取りにくく、こんな馬で大丈夫だろうか?と思っていたが、1頭1頭の個性を大事にしながら世話と調教を重ねてきたら乗れる馬になった事、競走馬を引退したら、子供を産むために残すか馬肉用に回されるかが今までは多かったがこれからはJRAも観光用の乗馬が出来る様応援体制が整ってきたことなどが書かれていました。

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2024/08/04

著者は本書の取材を始めるまで馬についてはほとんど知らなかったそうですが、その観点からホースセラピーなどの取材をとおして書かれた内容は共感できるものでした。 引退馬問題の変革の兆しも捉えてると思いました。

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2024/07/01

日本には約7万頭の馬がいるという。このうち7割が競馬に出馬するサラブレッドである。 競馬の世界では、年間7千頭が生産され、一方で6千頭が引退する。実は、この引退馬の多くが「行方不明」になっているという。ちょっとショッキングな数字だが、多くの引退馬はいったいどこへ行ってしまうのだろ...

日本には約7万頭の馬がいるという。このうち7割が競馬に出馬するサラブレッドである。 競馬の世界では、年間7千頭が生産され、一方で6千頭が引退する。実は、この引退馬の多くが「行方不明」になっているという。ちょっとショッキングな数字だが、多くの引退馬はいったいどこへ行ってしまうのだろう。 著者はノンフィクション・ライターで、アニマルウェルフェア(動物福祉)に関心が深い。 競馬については、ギャンブルに興味がなく、漏れ伝え聞く業界の実情もあり、深入りすることはなかったのだが、あるとき、「引退競走馬」のニュースを聞き、この問題に引き付けられた。 そこから著者の「旅」が始まる。 現在、日本に暮らす多くの人にとって、馬はさほど身近な動物ではないだろう。 馬には「お金がかかる」イメージがあり、一般人が個人で所有するのはハードルが高い。 一方で、馬と触れ合う機会を持った多くの人が、何とも言えない「多幸感」を味わうという。乗馬は身体を鍛える意味でも有意義なのだが、それと同時に馬と触れ合うことで精神的にもプラスの効果があるというのだ。 引退馬たちが、例えば乗馬馬として、あるいはセラピー馬として、それぞれの「セカンドキャリア」を見つけられればよいのだが、なかなかそう簡単にはいかない事情がある。 競走馬の存在意義は「速く走る」ことにある。そのため、馬たちは幼いころからそのために特化して訓練される。気性が荒く、競争心が強い方がよい。 ひとたび引退したとして、穏やかに、周囲の出来事に動じず、役目を果たせるかというと、それにはそれに合わせた訓練がいる。 そうでなくても馬は概して、環境の変化に敏感だ。中には怪我をした馬もいる。 馬のキャリア転換は実は一筋縄ではいかないのだ。 しかし、散々走らされた後、余生を穏やかに送れないというのも何だか惨い話である。 日本は世界でも有数の競馬大国だという。JRA(日本中央競馬会)の年間売上は約3兆円というから、まさしく一大産業である。売り上げの10パーセントが国庫に入ることになっており、「日本中央競馬会法」に定められている。 一概に、競馬を廃止しろ、というには無理があるほど、業界としては大きい。 著者は、ホースセラピーの現場、リトレーニングの様子、住宅街で飼われている馬、地方馬主の現実、馬糞堆肥の利用など、引退馬に関わるさまざまな人や場所を訪ね歩く。 その過程で、著者自身、馬のかわいさの虜になって、ある引退馬の「一口馬主」になってしまったというからすごい。 全体に馬への温かい気持ちがあふれ、それでいて一歩引いた、競馬業界外部にいるからこその冷静な視点があり、問題が俯瞰できる形になっていて、気持ちよく読み進められる。 何より、写真と合わせ、登場する馬たちの描写がとてもよい。 引退馬の支援に関わる人の多くが、馬に関わる仕事をしてきたり、馬に気持ちを救われたりしてきた人である。彼らの真摯な姿勢には心打たれるところがあるが、しかし、個人個人の力で問題全体を解決することは困難なのもまた事実である。 近年はJRAも引退馬の支援に力を入れてきているとのことなので、構造的な解決につながっていくことを期待したい。

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2024/04/29

ホースセラピーという活動が印象に残った。自閉症の子を支援する活動も行われているという。そして、そこに活躍の場を移した引退競走馬も。 冒頭にあるが、確かに馬のことが嫌いな人は少ない。大きくて怖い、と感じる人はいるだろうが。犬や猫は、その大きさからも人間がコントロールする関係になる...

ホースセラピーという活動が印象に残った。自閉症の子を支援する活動も行われているという。そして、そこに活躍の場を移した引退競走馬も。 冒頭にあるが、確かに馬のことが嫌いな人は少ない。大きくて怖い、と感じる人はいるだろうが。犬や猫は、その大きさからも人間がコントロールする関係になることが多く、不幸にも犬や猫が傷つけられることもある。しかし、馬は力ずくでは動かすことができない動物。一緒に歩いたり乗ったりするには、馬の気持ちを理解して、自分の気持ちとバランスを取る、馬と折り合いをつける必要がある。だからこそ、馬との関係から心を癒やされたり鍛えられたり、ホースセラピーが成立するのだという。 日本には約7万頭の馬がいて、その約7割が競馬に出走するサラブレッド。そして、競馬業界では毎年約7千頭のサラブレッドが生産され、一方で約6千頭が引退するが、その多くは「行方不明」になっているという4年ほど前(2018-2019頃)の記事から取材を始めた著者。過去は競馬業界では、引退競走馬の問題は表立って口にすべきではないものとされてきたが、引退競走馬の情報発信を始めた現役調教師がいるという。そして、今では引退競走馬の問題は多くの人の注目を集め、新たな潮流をつくり、法律に影響を及ぼすまでになっている。 まだ活動は始まったばかりで、もう少し大きく多様な活動が必要だという。今のところ、引退競走馬の居所が拡大すると、乗馬用の居場所が減ってしまうという矛盾も起きている。中でも引退競走馬の行き先が決まるまで、一時的に預かる施設、勝つために追い込まれ、気性まで変わってしまった競走馬をリトレーニングする施設が重要だという。

Posted byブクログ

2024/03/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

<目次> 第1章  突然だが、馬主になった 第2章  馬と生きる新しい仕組み 第3章  知られざるリトレーニングの世界 第4章  馬と暮らした日本人 第5章  ある地方馬主のリアルと挑戦 第6章  ホースセラピーの力 第7章  旅して食べて馬を応援 第8章  社会が変わる交差点 <目次> 最近、テレビで競馬を見ることが増えた。決して賭けたりするわけでなく、走る馬が美しいことと、走っている最中の馬はなにを考えているのかを考えたりしているたからだ。この本で、そんなことの一端が知れたらと思ったが、それ以上の成果があった。著者は、動物系のノンフィクションを多く書いている人。前回は『平成犬バカ編集部』を読んだ。動物への優しい視点がよい。今回は、その競走馬のセカンドキャリア(引退後の世界)を追いかけた。有名な競走馬も「安楽死」の話をよく聞く。勝てない馬は引退後に屠殺されることも多いと聞いた。JRAなどが広報しないため、知らない人が多いのだ。この本に出てくる人たちは、そうさせずに、馬の余生(大体20~30歳まで生きるらしい)を幸せに過ごさせる努力をしているのだ。その振り幅は大きいが、近年アニマルセラピーの観点が広まり、競馬については、ゲームアプリ”馬娘”のおかげもあり、理解が深まっているようだ。馬は感性豊かで、人との共生も普通らしい。ただ体が大きい分、気をつけないと人に危害を加えてしまうわけだ。詳細は触れないが、もっと日常に馬がいる生活(江戸時代までは普通だった)が広がればいい。

Posted byブクログ