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平和に生きる権利は国境を超える の商品レビュー

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2024/04/23

著者二人とも「なんとかしなければ」と現地にたびたび足を運んでいる。その強い思いと行動力に敬服するばかり。さすが現地を見ているのでアフガニスタン、パレスチナ、今回のガザの日常について、というか何年にもわたって日常が破壊されてきた様子について具体的に教えてくれる。ガザの人はいつ死んで...

著者二人とも「なんとかしなければ」と現地にたびたび足を運んでいる。その強い思いと行動力に敬服するばかり。さすが現地を見ているのでアフガニスタン、パレスチナ、今回のガザの日常について、というか何年にもわたって日常が破壊されてきた様子について具体的に教えてくれる。ガザの人はいつ死んで身元不明の死体になってしまうかわからないので手のひらに名前を書いているとどこかで読んだことを思い出した。毎日こんな気持ちで暮らしていればどれだけストレスがたまるだろうか。物理的にも環境汚染がひどい、必要物資が入ってこない、貧困(そうなるようにイスラエルがずっと仕向けてきた)などで肥満や糖尿病、それに障害児も多いそうだ。まったく理不尽だ。そんななか医師は精神的ケアも含め治療を、法学者は研究のかたわら子供たちに絵画教室を提供しているという。この人は表紙の絵も描いたようだし趣味でバイオリンも弾くそうだ。忙しいだろうにパワフルな人だ。医師のほうは中村哲さんを思わせるが、実際に中村さんから背中を押されたとのこと。 日本国憲法は9条が話題に上ることが多いが、この著者たちの活動の指針が前文に謳われている平和的生存権なのだそうだ。「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」。憲法でこんなに立派なことを言っているのを全部無視して、政府は日本を「平和国家」から「戦争国家」に変えてしまった。現地に赴いて時間をかけて信頼関係を培ってきた人にとって、信頼関係が壊れることは命にかかわる危険なことだ。関係者に実害が及びませんように。 北海道の人たちだけあって、アイヌの問題にも詳しい。イスラエルと北海道の成立は、どちらもその陰にパレスチナとアイヌの人たちの犠牲があったという共通性は、これまでまったく気が付かなかった。 全体に非常に中身の濃い良い本だった。

Posted byブクログ