がんばりょんかぁ、マサコちゃん(3) の商品レビュー

魚戸おさむ(著者),宮﨑克(原作),赤木雅子,相澤冬樹

2023/12/09

公文書改ざんという違法行為を職場に強要され、罪の意識から自ら命を絶ってしまった夫・トシオ。
真相の隠ぺいを謀ろうとする周囲の人間に何度も傷つけられながら、妻・マサコは真実を知るため国を訴えることを決意する。
さらに提訴と同日、トシオが遺した手記を週刊誌で公表することに。
マサコの覚悟に、国は、世間は、どう出るか…！？
赤木雅子さんの真実を求める戦いを、元にしたノンフィクション・コミック完結編。

赤木雅子さんが、赤木俊夫さんの上司に公文書改竄の経緯を問い糺すシーン、安倍昭恵に相澤冬樹さんのツテで連絡して交流するくだりや赤木雅子さんと安倍昭恵が対面するシーンの細かいディテールや生々しい緊張感は、赤木雅子さんや相澤冬樹さんへの取材したリアル感があるが、安倍昭恵がマスコミで報道されるような夫の権力を傘に着た女王様などではなく脇の甘いフットワークも口も軽い自らの影響力に対する責任の重さを知らない甘ちゃんであることが赤木雅子さんや相澤冬樹さんとのメッセージのやり取りや会話の中で伝わり、こんな甘ちゃんのせいで不正が行われて赤木俊夫さんが自死したのかとなんともやりきれない。
また赤木雅子さんと国との赤木ファイルの開示をめぐる駆け引きや佐川理財局長の証人尋問により公文書改竄の真相が明らかになるのを避けるために認諾までして真相を隠し通す国の姑息なやり方も、赤木雅子さんや弁護士への取材を元にしているだけにディテールが細かく描かれるので、国絡みの公文書改竄の闇の深さと国を相手にした裁判の難しさを痛感した。
裁判終結後の赤木雅子さんの知られざる心境と再起もしっかり描かれていて、赤木雅子さんの公文書改竄の真相を明らかにして俊夫さんの「困った国民に奉仕する」生き様を受け継いで忘れずに生きていく姿とあとがきのメッセージに、心が熱くなったノンフィクション・コミック完結編。