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わたしが誰かわからない の商品レビュー

4.4

8件のお客様レビュー

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2024/11/06

おそるおそる、しかし、しっかりと踏みしめるような文章で、心に染みついた。 「わたしの心は言語化されず、行き場をもたないからこそ自由なのだ。」

Posted byブクログ

2024/04/24

とにかく全て真摯に向き合っている。いろいろな感情が沸き起こる。私はヤングケアラーではない、と思うけど、父がアル中で病気で大変ではあった。ただみんなの父親より家にいたので、よく一緒に話してた兄のようでもあった。酷いこともあったけど、良いこともあった、そんな日々を思い出した。

Posted byブクログ

2024/03/13

本書の裏帯に「」自他の境界線をめぐる冒険的セルフドキュメント!」とあるが、その通りの書である。「ヤングケアラー」という言葉が広まっているが、何となく座りが悪い。そのような子供たちに目が向けられる視点は良いと思うが、言葉できていしまうと、その本質や多様性がぼやけてしまう。精神疾患の...

本書の裏帯に「」自他の境界線をめぐる冒険的セルフドキュメント!」とあるが、その通りの書である。「ヤングケアラー」という言葉が広まっているが、何となく座りが悪い。そのような子供たちに目が向けられる視点は良いと思うが、言葉できていしまうと、その本質や多様性がぼやけてしまう。精神疾患の母親を抱えて育ってきた著者が、自身の出産を契機に「ケア」の本質に迫っていく「セルフドキュメント」で言葉では一言では言い表しにくい。ただ「ケア」は自他境界線が曖昧になる部分だけ、そこには支配や抑圧、そして暴力が生まれることはあり、その曖昧な関係性に耐え続けるネガティブ・ケイパビリティが必要になる。そのことを実感した読後感であった。

Posted byブクログ

2024/03/13

著者はヤングケアラーにあたるのだろうが、冒頭でヤングケアラーという言葉への違和感が語られる。名状し難い困難な状況が定義づけられることにより救われるひとびとがいる一方、それがスティグマのように作用することもあるし、一括りに扱うことで個別の事情がオミットされることもある。 200頁...

著者はヤングケアラーにあたるのだろうが、冒頭でヤングケアラーという言葉への違和感が語られる。名状し難い困難な状況が定義づけられることにより救われるひとびとがいる一方、それがスティグマのように作用することもあるし、一括りに扱うことで個別の事情がオミットされることもある。 200頁ほどの本書だが、全編を通してのテーマがあるとすればこれだろうか。重要なことは、定義ではなく固有性であるということ。 ヤングケアラーという定義への異議申し立て、とまでは言わないまでも、言葉自体の因数分解がなされるような文章が続く。ヤングケアラーだけに限らないが、社会的弱者に対する言葉たちは似たり寄ったりのものが多いなかで、より深度を持って語ろうという意欲が感じられる。

Posted byブクログ

2024/02/19

出版社(医学書院)ページ https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/111967 「序文」、目次、書評紹介 著者本人の評(『CREA WEB』2024年2月13日) 「毎日新聞」20240217斎藤環氏書評 https://mainic...

出版社(医学書院)ページ https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/111967 「序文」、目次、書評紹介 著者本人の評(『CREA WEB』2024年2月13日) 「毎日新聞」20240217斎藤環氏書評 https://mainichi.jp/articles/20240217/ddm/015/070/021000c

Posted byブクログ

2024/02/04

ケアするされるの境界の消失、消失への欲望、当事者性をめぐる葛藤などなど、大きな言葉やメッセージからこぼれ落ちるものを集めた良著。時に外からおしつけられる枠組みへの当事者の違和感、自分の中でも形になっていない言葉たちに、耳を傾けられる世界であってほしいと。

Posted byブクログ

2024/01/20

一般的にヤングケアラーだったと思われる著者の、ヤングケアラーとは精神疾患とは家族とはケアとは自己とはといった様々な事をすごくしっかり掘り下げて、分かりやすく書いてある。(比喩が多いが、そこは実態のない事柄を語るので) 自己犠牲の上に成り立つケアを自己犠牲をも自己の生まれ変わりのた...

一般的にヤングケアラーだったと思われる著者の、ヤングケアラーとは精神疾患とは家族とはケアとは自己とはといった様々な事をすごくしっかり掘り下げて、分かりやすく書いてある。(比喩が多いが、そこは実態のない事柄を語るので) 自己犠牲の上に成り立つケアを自己犠牲をも自己の生まれ変わりのためであり、対象はないというもの。ケアとは自己の境界をなくし、スライムのように変幻自在のかたちをとるということ。 それは自己を水滴に喩え、自己と他者・社会との繋がりを考えるととても分かりやすかった。 家族を決して離れられないトライアングル(ページを忘れて、この言葉のみひどく頭にこびりついてる)に喩えたのはハッとさせられた。確かに…そうだ。 ヤングケアラー、全く当事者(この言葉にも注意が必要!)になり得ないわたしにとって目からウロコの読者体験で非常に有意義な思考の時間だった。

Posted byブクログ

2024/01/10

自他の境界が解けてなくなる体験として、ヤングケアラーと著者自身の出産体験を並列して記述していて、特に後半は目眩を感じました。  また、ヤングケアラー経験者へのインタビューの中で、自分をヤングケアラーと軽い名称で呼ばないで下さい、と話している辺りはハッとしました。分かりやすさやキャ...

自他の境界が解けてなくなる体験として、ヤングケアラーと著者自身の出産体験を並列して記述していて、特に後半は目眩を感じました。  また、ヤングケアラー経験者へのインタビューの中で、自分をヤングケアラーと軽い名称で呼ばないで下さい、と話している辺りはハッとしました。分かりやすさやキャッチーな名称で、その人固有の体験を他の人たちと一括りにして理解した気になってしまう危うさがあり、自分を含めて誰もが犯しがちな過ちだと思いました。

Posted byブクログ