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社会をあるべき姿へ変えていく ソーシャルデザイナーの仕事術 の商品レビュー

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2024/06/14
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【俯瞰的に、横断的に、社会課題に取り組む】 ソーシャルデザイナー、つまり、社会を構築する専門家、 デザインの対象は社会全体であり、よって、社会のさまざまな課題の解決につながる仕事。 本書では、 ソーシャルデザイナーのプロとして働くには、どのような能力が必要か、 実際にどのような役割を担うのか、 などについて、 ソーシャルデザイナーである著者が、自身のご経験も交えて紹介されています。 「既存の街の強みを活かしながら、本質的な課題をとらえ、横断的に考え、実践する」。 スマートシティとして各国にも参照される、デンマーク・コペンハーゲンの視察をきっかけに、 日本国内でもこのソーシャルデザインの視点を活かすために、コンサルティング会社を設立されたとのことです。 ・・・ 著者が強調していることの一つに、 俯瞰的に、横断的にモノを見て取り組むこと。 著者が視察したデンマークの街づくりは、部署やセクターの垣根を越えて、連携・協力が自然とおこなわれていた、 一方,日本国内での取り組みで経験したのは、それとは対照的な、日本の自治体に根強く存在する硬直化した縦割り型の組織構造。 この仕組み自体が、社会課題を生んでいるともいえる、その認識の下で、 ソーシャルデザイナーとしての大きな役割が、今の日本社会にあるのだということを理解しました。 ・・・ また、実務マネジメントのスキルも大事であると書かれています。 状況を分析し、 地域のプレイヤー 組織をマッピング、抽出し、 課題を整理し、 解決策の仮説を立て、実証していく。 解決策を導き出すためのフレームワークも紹介されています。 個人的には、コミュニティ開発のプロジェクト計画を策定する際のログフレーム手法と重なる部分もあると思いました。 ・・・ 「ソーシャルデザイナーの役割とは、地域の未来や住民の幸福度といった社会貢献性を第一としながら、技術サービス等を提供する企業へのメリットを最大化していくことにあります。それぞれの社会課題はもはや従来の方法では解決できないという認識を共有し、課題解決のためのプレイヤーを増やし、広域連携して自治体に提言していきます。」 個人的によく思うのは、 競争原理の働いている民間セクターでは、どんどん新しい技術が取り入れられ、 ものを売るという点では最先端の知恵と技術が使われ続けている。 その最先端のマーケティング手法や民間の技術は、社会課題を解決するためにはまだ十分に生かされていない。 お金にならないから? 政治家と市民の意志で、できることがもっとあると思う。明確な共通目標があれば、その目標達成に資する技術を活用することができるのでは、と思う。 例えば、デジタル化、デジタル革命の流れは呼ばなくてもいつか来る。 多くの自治体が、DXを進めているように。 でも、ただ時代の流れで取り入れることになったのと、 主体的に地域の未来を構想し、例えばその新しい技術をどのように活用することでそれを実現できるか、という視点をもって変革していくかで、 大きな違いがあるように思う。 そこに必要な意志であったり、選択肢であったり、知識・知見を持って、官民をつなぎ、地域の変革を促進する立場として、 ソーシャルデザイナーへのニーズがあるのだろうと思う。 著者か取り上げ、取り組まれている、日本社会の負の連鎖ー若者流出、過疎高齢化、労働力の先細り、地場産業の衰退、 今までの方法では、しくみの中では、断ち切ることはできない。 一方で、この連鎖を一気に逆回転させようというのではない。 はじめの一回転は小さくても、好循環の回転を始めること、 その周りの回転にも好循環をもたらすものであること、 そして、その後も継続して、さらに好循環の回転を高めていく構想が描かれていること。 現場に根差し、俯瞰的・横断的・長期的な視野で考えることを通して、 人にまず活力を生み、 地域、社会の活力を高められるのではと感じました。 ・・・ あらためて、 ソーシャルデザイナー、一見いろんな解釈ができそうでとても聞こえ心地もよい。 言ってみれば政治家だって、社会を構想し、設計する重要なお仕事だから、ソーシャルデザイナー。 誰もが社会の一員として、ソーシャルデザインの視点を持って働ける社会が最終的な理想形かもしれないですね。

Posted byブクログ

2024/02/09

さささあっと読める、社会課題や地域課題の解決までの提案方法。事例がありわかりやすい。 けっこう、具体案ベースでコンセプトメイクのしがいがあるように見えて、網羅的にふわっと上段で打診していく、という感じで、個人的にはなんだかなーという仕事の類だと思った。 --- 課題を設定してメ...

さささあっと読める、社会課題や地域課題の解決までの提案方法。事例がありわかりやすい。 けっこう、具体案ベースでコンセプトメイクのしがいがあるように見えて、網羅的にふわっと上段で打診していく、という感じで、個人的にはなんだかなーという仕事の類だと思った。 --- 課題を設定してメカニズムを分析しますが、現在の策がうまくいかない原因探しという直接的な作業ではなく、その悪循環を生み出している本質的な課題を見いだします。そして解決策を提示する際には、「〇〇を買ってください」ではなく、買うための資金をどうするのか、金が回るようにするにはどうするのか、どんな制度が必要なのかを考えます。

Posted byブクログ