龍樹 新装版 の商品レビュー
本書の著者は浄土真宗と繋がりのある学者です。親鸞聖人と繋がりがあるからこその視点が本書でも生かされているため、難解な哲学書とは異なる趣が感じられます。 本書は龍樹の入門書に非常におすすめです。 難解な哲学の奥深くに入っていくのではなく、なぜ龍樹が『中論』で「空」の思想を説いた...
本書の著者は浄土真宗と繋がりのある学者です。親鸞聖人と繋がりがあるからこその視点が本書でも生かされているため、難解な哲学書とは異なる趣が感じられます。 本書は龍樹の入門書に非常におすすめです。 難解な哲学の奥深くに入っていくのではなく、なぜ龍樹が『中論』で「空」の思想を説いたのか、なぜ『中論』は難しいのかという、そもそもの大前提となる問題を本書では丁寧に追っていくことになります。こうした根本的な問題を考えた上で龍樹がなぜ大乗仏教の「八宗の祖」と仰がれるのかということも後半で解説されていきますので、私のような挫折者にとっても非常にありがたい構成となっています。 もちろん、この本を読んで難解な龍樹思想がすべてわかるというわけではありませんが、まずはそのスタート地点に立つことができるという点でこの解説書は実に画期的なものだと私は思います。 それにしても、仏教哲学の奥深さ、難解さにはいつになっても恐れおののくばかりです。独学で本を読んだからといってどうにかなる問題ではありません。やはり全身全霊を懸け、良き師匠の下専門的な指導を受け何年何十年も専心せねば体得できない境地なのだろうと頭が下がるばかりです。 本書はそんな深遠な龍樹思想の入門書たるおすすめの一冊です。浄土真宗関係の方には特におすすめしたい参考書です。龍樹に挫折した私にとってこの本は本当にありがたい一冊でした。
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