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女性非正規雇用者の生活の質評価 の商品レビュー

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2024/09/28

 ケイパビリティ・アプローチを用いて、未婚女性の非正規雇用者の生活を質的に評価しようとした力作。ケイパビリティの先行研究の整理が勉強になった。また抽象的なケイパビリティの概念を実証研究に応用しようとしている点が本書の最大の貢献なのではないかと思う。 本書の分析結果を踏まえて、自発...

 ケイパビリティ・アプローチを用いて、未婚女性の非正規雇用者の生活を質的に評価しようとした力作。ケイパビリティの先行研究の整理が勉強になった。また抽象的なケイパビリティの概念を実証研究に応用しようとしている点が本書の最大の貢献なのではないかと思う。 本書の分析結果を踏まえて、自発的な非正規労働者の評価を考え直してみたいと思えた。  ケイパビリティ・アプローチの分析単位が個人であるならば、なぜ非正規雇用者と正規雇用者との比較、つまり集団を単位とした比較をするのかという疑問が残った。 特に7章の個別事例の比較(個人間の比較)のところで、一般化するのは難しいと思った。著者自身も一般化できないと述べつつも、所々で一般化した論述になっている箇所がある。 またインタビューの時期が5年くらい開いているが、そのことの影響はあるのかどうかが気になった。例えば、非正規雇用者へのインタビューのあとに、改正されたパートタイム有期雇用労働法の影響とか。正規雇用者へのインタビュー時には施行されていた。 同様に個々の未婚女性非正規雇用者の分析から、独身女性非正規雇用者一般のことが言えるのかどうかも。  ケイパビリティに関して、あってはならないという価値判断がなされるとすれば(ケイパビリティの欠如が問題とされるならば)、どういったものなのか。それはどの時代、どの社会でも変わらない絶対的なものなのか、時代や社会によって異なる相対的なものなのか。そういったことも気になった。

Posted byブクログ