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春画でわかる 江戸の性愛術 の商品レビュー

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2024/08/19

宝島社のムック本なので、多少下世話なテキストも目立つが、きちんとした監修者がついており、学術的な知見も得ることができる良書。図版も豊富かつ大きくて見やすい。 春画の背景には、リアルな日常つまり「ケ」の世界が描かれているという指摘はなるほどと思った。花魁や歌舞伎役者など「ハレ」の...

宝島社のムック本なので、多少下世話なテキストも目立つが、きちんとした監修者がついており、学術的な知見も得ることができる良書。図版も豊富かつ大きくて見やすい。 春画の背景には、リアルな日常つまり「ケ」の世界が描かれているという指摘はなるほどと思った。花魁や歌舞伎役者など「ハレ」の世界が題材とされやすい浮世絵に対し、春画においては誇張された性器やアクロバティックな体位での性行為が描かれる一方、背景にはリアルな日常の世界が精緻に書き込まれており、その対比が春画をより扇情的なものにしているらしい。春画を扇情的にするかはよくわからないが、ケの日常が精緻に描きこまれた春画は、江戸時代の風俗を知るための歴史史料として価値が高いのではないかと感じた。 また、春画は公式には禁じられていたため、「裏」で流通しており、個人が高いお金を出して発注したりと、通常の浮世絵に比べて色数や彫り・刷りの技術が卓越しているものが多いため、芸術的価値も高いと言えるのかもしれない。 春画が好きなどと、昔はあまり大っぴらに言えなかったが、最近女性の間でも愛好者が増えているようで、こういった本が多数出版されているのはありがたい限りだ。

Posted byブクログ