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なみだあめ 哀愁 の商品レビュー

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5件のお客様レビュー

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2024/08/18

ひたひたと心に染みる作品集。 「夏草ケ原」は浮浪児の幼い女の子を巡る物語。  責任のある善とは何かを問いかけてくる。  気軽に何も考えずに行える善はいい。責任などないからだ。  だけど、それが重荷を伴う場合はどうか?責任を伴う場合はどうか?  中途半端で向き合えない時にどうする...

ひたひたと心に染みる作品集。 「夏草ケ原」は浮浪児の幼い女の子を巡る物語。  責任のある善とは何かを問いかけてくる。  気軽に何も考えずに行える善はいい。責任などないからだ。  だけど、それが重荷を伴う場合はどうか?責任を伴う場合はどうか?  中途半端で向き合えない時にどうするのか?  悲しい物語だったが、それだけで終わらないところかいい。 向き合い考えるところに救いがある。

Posted byブクログ

2024/06/01

「なみだあめ」と題して6人の作家さんの哀愁をテーマにした作品が選出されている。 江戸時代を舞台とした時代小説。 初めて読む作家さんの作品に出合うチャンス! 志川節子「文」は幼馴染の親友と隠居生活を楽しみにしていた主人公に襲った悲しみ。 高瀬乃一「雨夜の月」は同じ隠居の話でも、ま...

「なみだあめ」と題して6人の作家さんの哀愁をテーマにした作品が選出されている。 江戸時代を舞台とした時代小説。 初めて読む作家さんの作品に出合うチャンス! 志川節子「文」は幼馴染の親友と隠居生活を楽しみにしていた主人公に襲った悲しみ。 高瀬乃一「雨夜の月」は同じ隠居の話でも、まだまだ若いモンには負けんって感じの主人公。年のせいか性格のせいかイライラは増すばかり。この人は心底悪い人では無い。悲しみを抱え、素直になれない損な性格な人だ。 梓澤要「夏草ヶ原」は死にかけている浮浪児の対処で苦悩する主人公。それは偽善なのか。至らない自分を責める悲しみ。 馳月基矢「神童問答」は前の三作とは違い、手習所を舞台に繰り広げられるお話。悲しみよりもいい話感がある。 諸田玲子「深情け」は祝言を挙げたばかりの世間知らずの娘が盗賊に犯されるが、逆に惚れてしまうと言う話。その娘のストーカーぶりは悲しみよりも恐ろしさを感じさせる。 宮部みゆき「野槌の墓」は心が壊れてしまった物の怪の野槌を退治する話。そこには悲しみよりも切なさを感じさせられる。 他にも時代小説傑作選として何冊か出ているみたいなので、読んでみたいなぁと思った。

Posted byブクログ

2024/03/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

【収録作品】「文」 志川 節子/「雨夜の月」 高瀬 乃一/「夏草ヶ原」 梓澤 要/「神童問答」 馳月 基矢/「深情け」 諸田 玲子/「野槌の墓」 宮部 みゆき 現役で活躍している女性作家の作品集とのこと。 「文」郷里での隠居を決め、江戸から戻ってくる親友を心待ちにする旅籠屋の主・源兵衛。しかし、江戸で大地震が起きる。『煌』所収。 「雨夜の月」老いによる心身の不調に苛立つ料亭の主人・徳兵衛。養子にした甥が店の采配を振るのも気に入らない。書き下ろし 「夏草ヶ原」元奥右筆の庄右衛門は、見かけた浮浪児を気にしており、弱っているのを見かねて助けようとする。しかし、運び込んだ医師の下でどこまで面倒を見るか問われて困惑。自己満足や偽善かと悩む。『夏草ヶ原』所収 「神童問答」勇実の手習い所にやって来た教育熱心な母親と従順な子ども。勇実と妹の千紘は、過剰な熱意をもつ母親の抱える事情を知る。『拙者、妹がおりまして1』所収 「深情け」新婚初夜に自分を手籠めにした盗賊団の親玉に一目惚れした娘。また会いたくて仕方がない。『逢来橋にて』所収 「野槌の墓」妻に先立たれ、娘を一人で育てる〈何でも屋〉の源五郎右衛門。化け猫のタマから、人を襲うようになった物の怪を退治するよう頼まれる。『お文の影』所収 通り一遍でない、他者に対する情けが感じられる一冊。知らなかった作家さんも知ることができてよかった。

Posted byブクログ

2024/03/10

哀しく淋しくせつない小説集。心に沁みる短編ばかりではあったが、諸田玲子さんの作品は、怖くて苦痛を伴う読後感であった。

Posted byブクログ

2024/01/20

2023年第1刷、PHP研究所のPHP文芸文庫。6編。「哀愁」というテーマで、いずれも悲しい方向の話なのだが(『神童問答』は若干方向が異なるが悲哀だが)、いずれも前向きに悲哀を乗り越えて行こう、という感じの終わり方である。志川節子『文』と梓澤要『夏草ケ原』について、この終わり方は...

2023年第1刷、PHP研究所のPHP文芸文庫。6編。「哀愁」というテーマで、いずれも悲しい方向の話なのだが(『神童問答』は若干方向が異なるが悲哀だが)、いずれも前向きに悲哀を乗り越えて行こう、という感じの終わり方である。志川節子『文』と梓澤要『夏草ケ原』について、この終わり方は嫌いではないが、この話ならバッドエンド系の終わり方もあると思う。読後感もさほど悪くならないとも思う。結局明るく終わる話を集めたということだろうか。宮部みゆき『野槌の墓』の場合はバッドエンドで終わったらシャレにならないとは思う。 掲載作:『文』志川節子、『雨夜の月』高瀬乃一、『夏草ケ原』梓澤要、『神童問答』馳月基矢、『深情け』諸田玲子、『野槌の墓』宮部みゆき、解説:「解説」細谷正充(文芸評論家)、出典:文『煌』(きらり)所収 徳間文庫、雨夜 書き下ろし、夏草『夏草ヶ原』所収 講談社、神童『拙者、妹がおりました1』所収 双葉文庫、深情け『蓬莱橋にて』所収 祥伝社文庫、野槌『お文の影』所収 角川文庫、

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