なれのはて の商品レビュー
イサム・イノマタの個展を開くー。 ある一枚の絵画。そこには、羽を持った繊細そうな少年が描かれていた。 その肖像画に魅了された守谷と吾妻は、猪俣勇という画家の生い立ちを調べるために秋田県へ向かいます。 勇は、1960年頃、火事で兄が死亡した時期に失踪したとされており、勇の作品の著...
イサム・イノマタの個展を開くー。 ある一枚の絵画。そこには、羽を持った繊細そうな少年が描かれていた。 その肖像画に魅了された守谷と吾妻は、猪俣勇という画家の生い立ちを調べるために秋田県へ向かいます。 勇は、1960年頃、火事で兄が死亡した時期に失踪したとされており、勇の作品の著作権がどうなるのかを探っていたところ、勇の甥・輝と出会います。 猪俣家、そして猪俣石油化学株式会社の歴史を戦時中まで遡り、一人の画家の生涯が徐々に明らかになっていくー。 "彼"は何を思い、何を伝えたくて絵を描き続けたのか。 加藤シゲアキさんの著書に関しては、『オルタネート』を以前読んだことがあります。 そちらは学生が主役で比較的ポップな内容でしたが、本作は全く毛色が異なります。 一族の繁栄と衰退、そしてタイトルの『なれのはて』の不気味さ…。 しかし、真相に辿り着いたとき、この長く苦しい物語を読んできて良かった…!という感情になるはずです。 人と人の出会いは、まさに奇跡で溢れていますね。私も良い本に出会えて良かった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
1枚の絵から展開される物語。 調べるうちにある一族の秘密が… スケールの大きな話で登場人物が多く読み返しつつ読み進める感じ。 登場人物の説明ページが欲しかった。中盤までは頭が追いついていかなかったのだが、途中からペースアップ! 絵、空襲、石油産業、血縁、地縁、報道とは… 重いテーマだったけれど興味深く読まされた。方言が印象的。 読み終わった後フーッと息をついてしまった。 日本最後の空襲、土崎空襲。 まだまだ知らないことがたくさんある。
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アイドル歌手NEWSのメンバーとして活躍しながら、作家としての活動もされているということで、とても気になり手に取りました。 猪俣家の人間関係は途中頭がこんがりましたが...何とか読み進めるうちにまとまって来て、物語にも没入することができるようになりました。 最後まで読んで、や...
アイドル歌手NEWSのメンバーとして活躍しながら、作家としての活動もされているということで、とても気になり手に取りました。 猪俣家の人間関係は途中頭がこんがりましたが...何とか読み進めるうちにまとまって来て、物語にも没入することができるようになりました。 最後まで読んで、やっと素敵な作品と思えました。 最後のシーンにはうるっときました。そこまでに辿り着くのが長かったかな...
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直木賞候補おめでとうございます。 すごい鳥肌。心が動いた。 記者会見を見ているとき制作に3年かかったと聞いて、「そんなに」と思ったが、読み終わった後には、「よくこれが3年で...」と思った。 『オルタネート』の感想にヤング向けというものが多かったが、その反動なのか、この本はとても...
直木賞候補おめでとうございます。 すごい鳥肌。心が動いた。 記者会見を見ているとき制作に3年かかったと聞いて、「そんなに」と思ったが、読み終わった後には、「よくこれが3年で...」と思った。 『オルタネート』の感想にヤング向けというものが多かったが、その反動なのか、この本はとても大人向け、大人でも難しく、重く、そして深いストーリーだと思う。 加藤先生の作品はほとんど読んでいるが、この本は圧倒的にファンを置いて突き進んだ、そして高いところへ連れてきてくれた感覚。 「たった一日。それだけでどれほどの人が救えたか。国を恨むにはあまりにも理由がありすぎる。そして石油だ。当時、製油所は内地にいくつもあったが、秋田市周辺の原油産出量は日本本土最大だった。ゆえに重要な攻撃地として選ばれた可能性が高い。ここから石油が出なければ、終戦前夜は蒸し暑いだけの日常として過ぎていっただろう。」
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1枚の絵からここまで壮大な物語を書けるのが凄い。家族、仕事、戦争… 他の作品も読んだことはあってあまり得意な方ではなかったが、これは1番楽しく読めた。
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加藤シゲアキ作品初読み。 結論良かったですね、非常に重厚感のあるストーリー。これだけの深みのある作品に仕上げるためには、膨大な時間と労力がかかったのだろうと容易に想像できた。一アイドル作家として見るのは失礼にあたるなと。 "ISAMU INOMATA"と書かれ...
加藤シゲアキ作品初読み。 結論良かったですね、非常に重厚感のあるストーリー。これだけの深みのある作品に仕上げるためには、膨大な時間と労力がかかったのだろうと容易に想像できた。一アイドル作家として見るのは失礼にあたるなと。 "ISAMU INOMATA"と書かれた一枚の絵、その真相にたどり着くまでには壮絶な物語があるわけだが、とてもこの書評の中では語りきれない濃密さ。450ページ近くのなかなかの量のある小説でしたが、久々に集中的に一気に読みたくなってしまう作品でした。 現代と昔の描写が交互に描かれている点も、最後まで飽きずに楽しむことができたポイントかも知れませんね。これはぜひ読んでほしい一冊。 そして、ほぼ間違いなく近いうちに映画化されるなと思いました。映画化されたらぜひ見てみたいなと。今後の作品にも期待したいです。
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#読了 #なれのはて #加藤シゲアキ ある事件をきっかけに報道からイベント事業部に異動になったテレビ局員の守谷は、異動先の吾妻に祖母の遺品の不思議な絵を使って展覧会を企画したいと相談を受ける… 疲れました。文章が濁流のように流れてきて、怒りや悲しみ、いろんな感情に。こんなにハマ...
#読了 #なれのはて #加藤シゲアキ ある事件をきっかけに報道からイベント事業部に異動になったテレビ局員の守谷は、異動先の吾妻に祖母の遺品の不思議な絵を使って展覧会を企画したいと相談を受ける… 疲れました。文章が濁流のように流れてきて、怒りや悲しみ、いろんな感情に。こんなにハマるとは…
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
とにかく壮大なストーリーだった。 これを書くために、どれだけ取材し資料を読み込んだのだろうと驚嘆する。 読み終わって表紙を見ると、この文字の書体や色、墨で描かれたようなデザインはこの世界観を表しているんだなと思った。 ある一枚の絵を展覧会に、という強い思いからどんどん話は広がっていく。 魅了される絵なのだろうがそうまでして?と思わなくはなかったけど、そこからは引き込まれた。 人の業を感じて胸が痛くなるところも多々あった中、輝と道生の関係がそういうところから離れた純度の高いものを感じていいなと思った。 コロナ禍まで引き込まなくてもと思うくらい、いろんなテーマ盛りだくさんだったかな。でも読みやすく、また加藤さんのこの物語への思いを強く感じた。
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今年は少し気合を入れて読書に取り組んできたが、おかげさまですばらしい本に出会えた。「存在のすべてを」と本作「なれのはて」がそれである。偶然だが両作とも絵をめぐる物語であるところが面白い。自分が心動かされたことをあれこれ語りたいとも思うがこれから読む人の邪魔はやめておこう。 塩田武...
今年は少し気合を入れて読書に取り組んできたが、おかげさまですばらしい本に出会えた。「存在のすべてを」と本作「なれのはて」がそれである。偶然だが両作とも絵をめぐる物語であるところが面白い。自分が心動かされたことをあれこれ語りたいとも思うがこれから読む人の邪魔はやめておこう。 塩田武士さん、加藤シゲアキさん、楽しい時間をありがとう。ほんと本っていいなあ。
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