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神武天皇伝承の古代史 の商品レビュー

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2023/11/08

『古事記』を読んだのはかなり前のことなので、神武東遷(東征)の話も断片的にしか覚えていない。それは次のような道行きとのこと。日向を出発→豊国の宇沙(大分県宇佐市)→筑紫の岡田宮(福岡県遠賀郡芦屋町)→阿岐国の多祁理宮(広島県安芸郡府中町)→吉備の高嶋宮(岡山県高島)を経由、大阪湾...

『古事記』を読んだのはかなり前のことなので、神武東遷(東征)の話も断片的にしか覚えていない。それは次のような道行きとのこと。日向を出発→豊国の宇沙(大分県宇佐市)→筑紫の岡田宮(福岡県遠賀郡芦屋町)→阿岐国の多祁理宮(広島県安芸郡府中町)→吉備の高嶋宮(岡山県高島)を経由、大阪湾から河内湖岸の日下(大阪府東大阪市日下町)に上陸、奈良に入ろうとした。しかし、登美能那賀須泥毘古(長髄彦)の強力な抵抗に遭遇して退却。紀国を経由して紀伊半島南端の熊野まで南下。再び上陸して大和に入り、抵抗勢力を平定して橿原宮に即位。  本書で主として取り上げられる主題は、神武天皇が(「記」と「紀」で順路は異なるものの)、八咫烏の先導により吉野川流域に向かったのはなぜか、またそこで三者(贄持之子=阿陀の鵜養の祖、井氷鹿=吉野首等の祖、石押分之子=吉野の国巣の祖)と遭遇しているが、彼らの地を訪れた目的は何か、また彼らとどのような関係があったのかということ。  ポイントは、畿内に移住した隼人の存在。その実態を記紀その他の文献の詳細な分析や考古学的資料等から解き明かしていく過程が実に面白い。  著者の論自体の適否を云々することは到底できないが、非常に興味深い内容だった。

Posted byブクログ