世界史の中の戦国大名 の商品レビュー
足利政権による明との勘合貿易の主体が有力守護大名へ移っていく流れ、キリシタン大名の動きと西欧との関係、カンボジアとの善隣外交を行う島津氏などなど、戦国大名の政治的、経済的な諸外国との付き合いや、その時代の各地域の国際性などあまり知らなかったテーマだったので面白く読みました。これら...
足利政権による明との勘合貿易の主体が有力守護大名へ移っていく流れ、キリシタン大名の動きと西欧との関係、カンボジアとの善隣外交を行う島津氏などなど、戦国大名の政治的、経済的な諸外国との付き合いや、その時代の各地域の国際性などあまり知らなかったテーマだったので面白く読みました。これらの動きを知ることで、秀吉や家康の外交的な動き、あるいはその後の徳川政権の鎖国へ向かう流れなどをより立体的に考えられるようになったのが読んで良かった点です。流石に最後に幕末や維新への影響を断じ始めたのは勢いが余りすぎてる気がしましたけども。
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なかなかに興味深く読了した一冊だ。「知られているようで、知られていないかもしれない?」という要素、「少し新しい観方?」を盛り込んでいる歴史関係の話題を纏めた本だと思う。 本書では15世紀から16世紀の「戦国」という様相になっている中での様々な動き、そして17世紀に入って様々な動き...
なかなかに興味深く読了した一冊だ。「知られているようで、知られていないかもしれない?」という要素、「少し新しい観方?」を盛り込んでいる歴史関係の話題を纏めた本だと思う。 本書では15世紀から16世紀の「戦国」という様相になっている中での様々な動き、そして17世紀に入って様々な動きが如何いうようになって行ったかという辺りに関して、見受けられた事象や伝えられている様々な事柄、人物等を取上げて論じている。非常に興味深い。 「国内での動向を追う歴史」と「各国史が束ねられた世界史」というようなモノが在って、そこから零れてしまっているような何かが、実は色々と在るのかもしれない。実は過日も、欧州の地域に纏わるそういう視点が入り込んだ論を読んだのだった。本書もそういう傾向を少し帯びている。 「国内での動向を追う歴史」ということで日本の歴史を観ると、所謂「中央の権威の変遷」というようなことになるのであろう。が、所謂「戦国時代」は「中央の権威」が曖昧化し、やがてそれが再度確立されようとして行った経過が在った時期で、そんな時期に「各々の場所から各々に考えて“外”を観る」という動きも在った。言わば「境界地域」というようなモノの動きなのだと思う。それが本書の題名でもある『世界史の中の戦国大名』というような話しになるのだと思う。 「戦国時代」という様相になってはいたが、室町幕府は存続していて、一定の権威や権限は有していた。大陸の明との貿易を独占的に行うことが出来る権利となる「勘合」は、室町幕府が独占していて、有力者にそれを利用させるというような性質だった。これに関して、将軍を輩出する系譜が分裂して争うような様相になって行った中で、「こちらの陣営に与するのなら“勘合”を」と「将軍の権威や権限で認めることも出来る巨大な利権」という様相になって、人々の中で飛び交うような感じになって行った。そして方々の大名が貿易に乗り出す、既に参入していた大名が更に力を入れるというようになって行くのである。 やがて方々の大名は、室町幕府の権威等とは余り関係無い様子で、独自に自分達の地域の視座で、自分達なりの思惑で国外と独自に交流をするようになる。そして交流相手に認識される大きな存在感も放つようになって行く。国外での記録に、地方領主たる大名が“国王”であるかのように取り上げられる例も見受けられるようになって行く訳だ。 所謂「戦国時代」は、軍事行動とそれを支える経済活動との時代かもしれない。が、各地の大名が自分達の地域の視座で、自分達なりの思惑で活動することを志向し、それが実現した時代だったという要素が凄く大きいのかもしれない。そんな文脈で国外と独自に交流という例さえ現れた。後の豊臣政権や徳川幕府は、外交迄も展開してしまう地方の大名を抑え込んで、外交を中央の権威による専権事項として掌握しようとした面が在る。それが徳川幕府の所謂「鎖国」という様子となる。 「国内での動向を追う歴史」である“日本史”や、「各国史が束ねられた世界史」というようなモノの「隙間」に在るのが、本書で論じられている各地の大名等の動きということなのかもしれない。そして「戦国時代」だが、これは軍事行動や経済活動の展開という中で、寧ろ「権威の相対化」が進んで、「相対化した権威の下での独特な展開が発展」というような要素が重要なのかもしれない。 「知られているようで、知られていないかもしれない?」という「戦国時代」の様相、言葉を換えると「少し新しい視点」を示唆している本書は、非常に興味深い。また、もっと単純に、日本国内の或る地域で代表的な立場に在った人達のことが、遠い国の記録に堂々と残っているという辺りに浪漫を感じる。大変に興味深い本書を広く御薦めしたい。
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西日本の戦国大名を中心に、積極的に展開された海外交流の実態を明らかにし、世界史における戦国時代の位置付けを示そうとする内容。分散した外交権が統一政権のもと集約される過程や、近世以降への視点なども興味深い。
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世界史の中で、戦国大名がどのように貿易をして評価されてたかを、主に海外の文献から調べた一冊。 大友宗麟をはじめ、日明貿易や南蛮貿易をしていた戦国大名について知ることができた。
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国外の文献に戦国大名がどのように描かれているかという記述は少なく感じたが、戦国大名それぞれの独自外交で活発になった外国との交流が統一政権樹立で下火になっていく経緯が勉強になった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
<目次> プロローグ 戦国大名は世界史の中でいかなる活動をしていたのか 第1章 「倭寇」となった大名たち~戦国大名と中国 第2章 外交交易対象の転換~対中国から対東南アジアへ 第3章 対ヨーロッパ外交の開始とその影響 第4章 戦国大名領国のコスモポリタン性 第5章 東南アジア貿易豪商の誕生 第6章 日本と世界をつないだ国際人たち 第7章 戦国大名の「世界」と徳川政権の「世界」 エピローグ 「世界史の中の戦国大名」の精神性 <内容> 簡単に言えば、戦国時代は世界にひらかれた日本であった、ということだ。室町時代後半、日明貿易を独占した大内氏、ポルトガルと深く付き合った大友氏、そこにザビエルがやってきて、島津氏や大村氏、有馬氏、松浦氏なども介入した。やがて秀吉の朝鮮侵略は、一面でこうした先行した戦国大名を乗っ取る形で、東南アジアからせかいに目を開いた秀吉が、その精神性に対し、行動が戦国大名の発想だった故に、朝鮮で躓いたともいえる訳だ。江戸時代当初、新たにノヴィスパン(メキシコ)経由のスペインと、家康や伊達政宗がチャレンジしたのも、この流れにつながる。江戸幕府が九州の大名を押さえ込むためには「鎖国」しかなかったのは、残念だったのかも知れない。
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やっぱり戦国時代は面白い グローバル化する大航海時代のなかの日本 戦国時代にこれほどのコスモポリタン性が日本にあったからこそ、徳川鎖国によって日本文化は熟成していったのかもしれない
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読み応えありました。 『大航海時代』、『信長の野望』、子どもの頃に熱狂したゲームタイトルですが、最新の学問の進展状況を鑑み、2つのタイトルを合併させるべきかもしれませんね。私、買うと思います(w。 分権と集約の波、集約時の原動力には国際性が関与する。これからの日本は、分権のステー...
読み応えありました。 『大航海時代』、『信長の野望』、子どもの頃に熱狂したゲームタイトルですが、最新の学問の進展状況を鑑み、2つのタイトルを合併させるべきかもしれませんね。私、買うと思います(w。 分権と集約の波、集約時の原動力には国際性が関与する。これからの日本は、分権のステージでしょうかね?国境が曖昧になり、気軽に容易く飛び越える人材が頻出するのでしょうか?未来へと思考を誘う歴史、いいですね!
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大友や島津といった九州の戦国大名が、自らの両国を「国家」と認識して、東南アジアや西欧の海外勢力と活発に外交を行ったという、とても刺激的な内容です。 西国大名の勘合貿易への参入と対立、「地域国家」による独自外交、秀吉による強硬外交、家康による協調外交、そして「鎖国」へと、まさに、世...
大友や島津といった九州の戦国大名が、自らの両国を「国家」と認識して、東南アジアや西欧の海外勢力と活発に外交を行ったという、とても刺激的な内容です。 西国大名の勘合貿易への参入と対立、「地域国家」による独自外交、秀吉による強硬外交、家康による協調外交、そして「鎖国」へと、まさに、世界史の中の戦国大名の姿を見て、新鮮な驚きの連続でした。
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