カフカ素描集 の商品レビュー
『カフカ断片集』で挿絵に使われていたような抽象的なピクトグラムのような図もあれば、批評的なカトゥーンような群像もあり、自画像もある。というか、全部、自画像なんだろうな。 あの、テキストを書き溜めていたカフカが、同時に、筆遊びなのか、こういう絵を描いていたのだと思いながら、しみじみ...
『カフカ断片集』で挿絵に使われていたような抽象的なピクトグラムのような図もあれば、批評的なカトゥーンような群像もあり、自画像もある。というか、全部、自画像なんだろうな。 あの、テキストを書き溜めていたカフカが、同時に、筆遊びなのか、こういう絵を描いていたのだと思いながら、しみじみと見ていく。 出版に至った経緯もまたカフカ的だといえようか。この素描の発見を含み込んだ、カフカ画文全集決定版を、ぜひ刊行してほしい。
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近年、コロナ禍で注目されたのは、『ペスト』のカミュだったか。いずれにせよ、20世紀を代表する不条理作家の双璧で、こちらは『変身』のカフカの素描画集。 2023年12月、どの新聞の書評欄だか忘れたが、取り上げていたので、図書館で借りてみたもの。 これまで、チューリッヒの金庫に保管されていた素描が160点もあったという。2019年、没後百年を目前にして、訴訟が決着し(権利関係かなにかだろう)、日の目をみたという。 画家カフカを知る貴重な史料とのことだが、絵として眺める価値は然程見いだせなかった。 画家が本業であったなら、まったく鳴かず飛ばすだったろう。作家カフカがあってこその素描画だろう。 実物大でオールカラーだそうだ。鉛筆か万年筆で、モノクロで書かれており、カラーの意味もほとんどない。 絵に魅力がないので、詳細な解説も読む気があまりしない。そもそも、作家カフカに対しても、それほど思い入れはなかった。 ま、一芸(作家)として名を挙げれば、手遊びの芸のほうも、それなりに評価してもらえるという一例だろう。
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