陰キャギャルでもイキがりたい!(1) の商品レビュー

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2024/02/04

 話も良いけど、まずは絵柄に一目惚れした。デフォルメとリアルを上手く融合させながら、シーンによってその間を行き来する(漫画の基本かもだけど、この辺のバランス感覚が好きだった)。ダボついてるのにすらっと見えるキャラも良い。  良く分からん部活で、女の子二人が仲良くだらっと過ごす、と...

 話も良いけど、まずは絵柄に一目惚れした。デフォルメとリアルを上手く融合させながら、シーンによってその間を行き来する(漫画の基本かもだけど、この辺のバランス感覚が好きだった)。ダボついてるのにすらっと見えるキャラも良い。  良く分からん部活で、女の子二人が仲良くだらっと過ごす、というある種ありきたりの入れ物でありながら、各話毎で異なったサブカルチャーへの九蘭の持論が突っ込まれることで、同じようにサブカルチャーに関心がある読者には、きっと刺さるだろう内容になっていると思う。  各話で題材が異なるのは、引き出しの多さに驚くとともに、深掘りが難しくなるのが少し残念だが、作品を通じて総体としての「サブカルチャー」への思索は深まると期待しているし、片鱗は少し見えているかな、と。  九蘭と市子の関係は、メタ的にはある種ワトソンとホームズ的というか、ミーハーな市子がいればこそ、物語としては、様々なサブカルチャーへ九蘭が抱いている思いの丈を、開陳する様を描ける訳で、良い取り合わせだと思う。  彼女のキャラクターもまた、細かな描写の積み重ねによって性格を演出することで、単に記号化された「クール系」と「アホの子」では終わっていないと感じた。  二人は徹底して仲良く描かれており、距離も近いし、言葉の上では好意を伝え合ってはいるものの、ここぞというシーンでは、コマが大きかったり、セリフが少なかったり、言動の余白を感じさせる描き方になっているのも、演出として良かったように思う。個人的には、こうしたコマには、上記したような仲の良い描写とは、質の違いや空気の切り替わりを感じて、恋愛と安易に結びつける訳でなく、その言動が内包するキャラクターの本気度が違うように感じた。  概して良かった。連作短編という形式も好みだけど、今後、もう少し大きなストーリーが展開されていくようになると、もっと楽しみになるかも。

Posted byブクログ