月のうらがわ の商品レビュー
母を亡くした13歳の綾と、訳アリ侍の交流を軸に、長屋に住む人達の人生が動いていく。最初からスーッと話の世界に入り込めて、中弛みもなく最後まで楽しめた。綾ちゃんはどんな女性になるのかな〜 幸せになって欲しいな。
Posted by
なんていい子なんだ。 なんて健気なんだ。 健気すぎて いい子すぎて… お母さん泣いちゃう 。・゚・(*ノД`*)・゚・。 深川の新兵衛長屋に住む十三歳のお綾。 三年前に母を亡くし、父と7歳の弟 正太と慎ましく暮らしている。 お綾の家の隣に坂崎という写本を生業とするお侍さん...
なんていい子なんだ。 なんて健気なんだ。 健気すぎて いい子すぎて… お母さん泣いちゃう 。・゚・(*ノД`*)・゚・。 深川の新兵衛長屋に住む十三歳のお綾。 三年前に母を亡くし、父と7歳の弟 正太と慎ましく暮らしている。 お綾の家の隣に坂崎という写本を生業とするお侍さんが越してくる。部屋の片付けの苦手な坂崎。お綾は部屋の掃除をするかわりに、坂崎から読み書きを習うことに。 ある日、坂崎の部屋で「月のうらがわ」という書きかけの本を見つけたお綾。それは、母を亡くした子が『月のうらがわへ行けば亡くなった人に会える』という昔話を信じ、どうにか月のうらがわへ行こうとする物語だった。 物語は「月のうらがわ」への行き方は神さまにもわからない、と父親に言われた子が、それでも諦めきれずにいる。というところで話が途切れている。 お綾はその続きを書かせて欲しいと坂崎にお願いするのだけれど、その理由が切ない( ߹ㅁ߹) お綾はかなーりしっかりした子どもだけれど、それはそれは賢い子どもだけれど、お綾も正太も お母さんの手から離れるにはまだ幼いものね。 お母さんだって こんなに幼い子を残してこの世を去るのは辛かったよね。 正太と、幼なじみのおはるが「月のうらがわ」への行き方を一生懸命に考えて 実行に移そうとする。二人が亡くなった母親にどうしても会いたかった理由。これが本当にもう泣く。 。゚(PД`q*)゚。 天国のお母さん。安心して欲しい。あなた達の子どもはめちゃくちゃいい子に育っていますー! また、隣りに越してきた坂崎には 人殺しをして故郷を追われたという噂があるのだけれど、真実はとても辛いもので、「月のうらがわ」の続きが書けない理由にもなっている。 お綾の綴った物語の続きはきっと、坂崎にとって生きる希望になったはず。 そして故郷へ戻った坂崎もまた その物語の続きをお綾に送る─。「これは生きるための新しい物語だ」と涙するお綾。素敵すぎる!お綾と坂崎、もう絶対に幸せになって欲しい! 子どもたちの、亡くなった母親に対する優しすぎる気持ちに 切なくもなり温かくもなり。 胸がいっぱいです。 『ほんとうに大事な人には、会いたい、と思ったらいつでも会える』 私が死んだら 子どもたちは月のうらがわまで会いに来てくれるかな? いや、みんなもういい歳だからなぁ笑
Posted by
10歳で母を無くしたお綾は大工の父直次郎、弟の正太と暮らしていた。父の同僚の重蔵は怪我が元で、大工が出来なくなったが、実はその怪我の原因が父の忘れ物だったため、父は何かと面倒を見ていた。金も貸していた。その為、お綾は手習所に行けなくなり、13歳の今もまだ仮名しか読めず、早くまた手...
10歳で母を無くしたお綾は大工の父直次郎、弟の正太と暮らしていた。父の同僚の重蔵は怪我が元で、大工が出来なくなったが、実はその怪我の原因が父の忘れ物だったため、父は何かと面倒を見ていた。金も貸していた。その為、お綾は手習所に行けなくなり、13歳の今もまだ仮名しか読めず、早くまた手習所に通えるようになるといいと考えていた。 今でいうヤングケアラーのお綾が長屋の隣に越してきた武士の坂崎から部屋の片付けと引き換えに文字を教えて貰える事になり喜んでいたのに長屋の女たちに勘ぐられる。 坂崎は秘密を抱えていたが、お綾は真っ直ぐな坂崎を尊敬し、慕う。正太や重蔵の娘おはるも同じだ。 長屋の暮らしとお綾や直次郎の心を丁寧に描いているため、読むのに時間をかけすぎると、テンポが悪くなってしまうが、読後感は悪くない。
Posted by
悲しい話ではあるが、人の心がよく描かれててうまい。この世の中もそうやって乗り越えて行くしかないないんだよな。綾と坂崎の再会の日をまた読みたいものだ
Posted by
人を思いやる優しさが沢山伝わってきました。悲しい別れのあと月のうらがわで死者に逢うことはできないが、その人を思い忘れないことが心の拠りどころになるのだと思いました。
Posted by
とても優しい物語だった。綾の純粋な気持ちが分かりやすく表現されていて、すんなり伝わった。綾と坂崎さんが再会するといいな。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
月の灯りのような冷たく温かい物語でした。 美しくはかなく、凛としてそれでいて優しさに満ちた月の灯りのような。 誰もが心に一つは持っている傷。その傷を抱えてみんな今日を生きている。 もう二度と立ち上がれないほどの苦しみや一歩も動けないほどの悲しみの中で絶望と出会うこともあるだろう。 明日なんて来なければいいと思うこともあるだろう。 心にぽっかりと穴が開き、そのからっぽな重さを抱えて途方に暮れることもあるだろう。 そんな暗闇から人はどうやって這いあがっていくのだろうか。 人は一人じゃ生きていけない。誰かに支えられ、誰かを支えることで、今日を生き、明日を待つことができる。 支えられるだけが救いじゃない。誰かを支えることで人は救い掬われるのだろう、絶望の淵から。 月のうらがわには会いたい人がいるのだ、と、思いたくなる夜がある。 もう二度と会えない人がそこにいるのだと。 どれだけ時間が経っても心の傷は消えない。癒えたとしても消えない傷をかかえて、人は月のうらがわを思うのだろう。 冷たく温かい月のうらがわに、みんなの笑顔が咲きますように、と祈りながら読み終えた。
Posted by
- 1