列 の商品レビュー
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列に並んでいる。とても長い列に。何人並んでいるのか、先頭がどこから始まっているのか末尾がどこなのか、わからない。そもそも何のために並んでいるのかもわからない。 そんな列に並んでいる間に。起こる、こと。 ぞわぞわする。何とも言えない不気味さに、尾てい骨辺りがぞわぞわする。 そんな「列」の話の後には、いや、後じゃなく先にか。いや、後とか先とかではなく同時になのかもしれないいつか、に何かが起こっている。 「どんな話」と聞かれたら、答えるのが難しい。 「列」の話。「列に並んでいる人」の話。何かが起こって、何かが終わる話。 さて、そんな説明聞いてもわからないだろう。そう、わからないんだ、読んでも。読んだから、かも知れない。
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『現代社会そのものを描いた壮大なメタファー』 まあ列だった。とにかく列だった。読んでいてこんなにも情景が思い浮かばない作品はない。しかし、面白い。文学的且つ哲学的であるため読み手を選ぶかもしれないが、この独特なテンポで綴られる世界観を楽しんでほしい。 列から脱落者が出るたびに...
『現代社会そのものを描いた壮大なメタファー』 まあ列だった。とにかく列だった。読んでいてこんなにも情景が思い浮かばない作品はない。しかし、面白い。文学的且つ哲学的であるため読み手を選ぶかもしれないが、この独特なテンポで綴られる世界観を楽しんでほしい。 列から脱落者が出るたびに、口角を上げながら一歩前に詰める主人公。先が見えなければ、最後尾も見えない。どこに行きつくかもわからない。待っていても何もつかめない。それでも列に並ぶ。脱落者が出れば口角を上げながらまた一歩前に詰める。とてもシュールな光景だ。 この列に並ぶという行為は、人間の社会そのものを描いていると思う。勉強して良い大学に入り、大企業に就職して定年まで働く。少し前まではそんな画一的な価値観が良しとされていた。しかし、令和のいま多くの人がそんな価値観に疑問を抱き始めている。 ロールモデルがいないので、列からはみ出て道なき道を歩むことは大変である。列からはみ出ず、並び続けるほうが安心だ。でも、列からはみ出してみるのも良い。失敗してもまた最後尾から列に並べば良い。楽しくさえあれば。そんな読者の背中を押してくれる著者のメッセージを受け取った気がする。
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今読めてよかった この世界はちゃんと暗いし僕らは最悪だし人生に生きる価値なんてものもない 中村文則はそこから逃げない だからこそ生まれる「楽しくあれ」 その反転こそ、希望
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久しぶりの中村作品。 書店で偶然見つけページ数も少なく読み易そうだと思い購入。 題材はとても今日意味深く物語に惹き込まれるんだが、おそらく完全に理解出来ないのでその分の面白さは半減していると思う。 何回か読み返せばもっと面白さがわかると思うがおそらくそれはしないだろう。 最...
久しぶりの中村作品。 書店で偶然見つけページ数も少なく読み易そうだと思い購入。 題材はとても今日意味深く物語に惹き込まれるんだが、おそらく完全に理解出来ないのでその分の面白さは半減していると思う。 何回か読み返せばもっと面白さがわかると思うがおそらくそれはしないだろう。 最後も何となく読み終えた作品。
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何時からか得体の知らない列に並んでいる。先頭も最後尾も見えない長い列は動かない。前方の誰かが列から離れると少し進む。何なんだこの列は?
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とてもよかった。 また折に触れて読み返すと思う。 主人公は自分だと思った。 最悪と形容された、列に取り憑かれている人間。 作中に出てきたある言葉、私も忘れないでいようと思う。 初めて読んだときは刺激が強かった記憶があるんだけど中村さんの作風は自分の性格に合っていると思った。
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私たちは生まれたその日からなんらかの「列」に並んでる 久々に「文学を読んだなぁ」という気分になりました。特に第一部。5W2Hがまったくこちらに提示されない状態で列に並ぶ人々の言動をひたすら困惑と共に読み進める。 著者さんが2年半以上も費やして書かれた作品だから当然なんですが150ページほどしかないというのに読後は自分の人生についても考えさせられました。最後は晴れやかでありたいですね。 人を殺すかもしれないというシーンの情景と心情描写が続いて疑似体験ができました。追い詰められました。現実では私は人殺しをする気はないのででこういったところは小説の醍醐味ですね。 #列 #NetGalleyJP
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