かくして彼女は宴で語る の商品レビュー
時は明治末期。国語便覧でお目にかかる木下杢太郎や北原白秋ら芸術家たちが集う「パンの会」が、浅草十二階からの転落事件や華族のお屋敷の猟奇殺人事件等の謎に挑む。 思っていたミステリーの形態と違って最後まで読みきれるか不安だったが、各章の最後であっさり横から推理合戦の解決をかっさらって...
時は明治末期。国語便覧でお目にかかる木下杢太郎や北原白秋ら芸術家たちが集う「パンの会」が、浅草十二階からの転落事件や華族のお屋敷の猟奇殺人事件等の謎に挑む。 思っていたミステリーの形態と違って最後まで読みきれるか不安だったが、各章の最後であっさり横から推理合戦の解決をかっさらっていく女給あやのの正体が気になって気づけば最終章。あやの、やっぱり只者じゃなかった! この時代の情勢や思想に疎いから、事件の真相と動機はわかりづらいところもあり…。でも当時の息吹をリアルに感じる刺激的なタイムトリップ体験になった。
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明治時代を舞台に、実際に存在した芸術家たち、木下杢太郎、北原白秋、石川啄木などを登場人物にすえ、彼らが事件の推理を巡らせる。短編連作であるが、それぞれの物語を構築するための資料、参考文献の数の多さに驚かされる。単なるミステリではなく、登場人物たちや当時の出来事などの事実を絡ませて...
明治時代を舞台に、実際に存在した芸術家たち、木下杢太郎、北原白秋、石川啄木などを登場人物にすえ、彼らが事件の推理を巡らせる。短編連作であるが、それぞれの物語を構築するための資料、参考文献の数の多さに驚かされる。単なるミステリではなく、登場人物たちや当時の出来事などの事実を絡ませているところが、新鮮で面白い。
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女給の示す推理が蓋然性の推理というか、他の可能性を示唆する程度なのが残念。ここはやっぱり快刀乱麻を絶つような、明快な論理性に基づく推理が聞きたいところ。綿密な資料調べによる、大正文化人たちの青春群像は微笑ましい。
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