喫茶店文学傑作選 の商品レビュー
2024年8月に出た第二集『喫茶店文学傑作選—苦く、甘く、熱く』を先に読んで、第一集が2023年に出ていたことを知り、手に取った。漱石『野分(抄)』から始まり、谷崎精二『カフェーの話』、浅見淵『漆絵の扇』、北園克衛『丸善からはじまった随想』、小山清『西郷さん』、最後は山田稔『街...
2024年8月に出た第二集『喫茶店文学傑作選—苦く、甘く、熱く』を先に読んで、第一集が2023年に出ていたことを知り、手に取った。漱石『野分(抄)』から始まり、谷崎精二『カフェーの話』、浅見淵『漆絵の扇』、北園克衛『丸善からはじまった随想』、小山清『西郷さん』、最後は山田稔『街の片隅で』で終わるという、明治以降の日本文学セレクションみたいな内容。それだけ日本文学と喫茶店は密接に関係し続けてきた、ということなのかもしれない。その枠からはちょっと外れている洲之内徹『絵を洗う』が特に印象に残る。X氏という絵画修復家のとんでもない仕事ぶりに洲之内さんが振り回される話で、通勤電車のなかで笑い出しそうになってしまった。
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ここ数年、カフェや喫茶店を舞台とする小説が多い印象をもってますが、如何でしょうか? その内容・テーマも様々で、人と人との繋がりや出会いが温かく、心に沁み癒しになる物語やミステリーまで、バラエティーに富んでいるようですね。 本書は文庫オリジナルで、28編の小説・エッセイ集です...
ここ数年、カフェや喫茶店を舞台とする小説が多い印象をもってますが、如何でしょうか? その内容・テーマも様々で、人と人との繋がりや出会いが温かく、心に沁み癒しになる物語やミステリーまで、バラエティーに富んでいるようですね。 本書は文庫オリジナルで、28編の小説・エッセイ集です。古くは明治時代の文化の香り漂うものもあり、前述した最近多く出版されているような架空のカフェ、テーマがあるわけではありません。実在の(かつて実在した)喫茶店ばかりです。 何よりも、表紙の本と珈琲の純喫茶風の絵が何とも言えない味を出していて、帯の「一杯の珈琲のように、薫り高く味わい深い作品集」という惹句が、魅力的でたまりません。 どうでもいいですが、私 NO Book & Coffee NO LIFE「本と珈琲のない人生なんて」略称「本とコ」にとって、手にしない訳にはいきませんでした。 全体の印象として、喫茶店・カフェは、今も昔も私たちにとって重要な〝場〟であることに違いないということです。ただ、時代の流れと共に、閉店の憂き目に遭っているケースもあります。現代は、癒しを与えてくれる場として、作品の舞台になっている機会が多いのは、それだけ生きにくい世の中なんでしょうか‥? 少なくとも、今ある多くの喫茶店・カフェが、訪れる私たちに今後も温かい雰囲気を与えてくれるよう祈念したいと思います。
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多くの作家・芸術家を魅了し、作品の舞台、創作の淵源、彼らの交友の拠点となった「喫茶店」。短篇小説、エッセイから、喫茶店文化の真髄に触れる。文庫オリジナル。
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