遠い唇 の商品レビュー
どことなくノスタルジックな感じでした。 心温まるような日常の謎から 本格的なミステリまで色々楽しめました。
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暗号や謎解きは、解いている過程が楽しい。その心理を著者はうまくついている。解き終わった後にこみあげてくる様々な心情。特に最初の作品「遠い唇」はその真骨頂といえる。
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しりとり/パトラッシュ/解釈/続・二銭銅貨/ゴースト/ ビスケット/遠い唇/振り仰ぐ観音図/ わらいかわせみに話すなよ 付記—ものがたりの島 日常の謎作品集とある。 なにこれ?と感じてすぐに謎解き出来ることがあれば、数日考えてもわからないことがある。長い時間が経ってから、あぁと...
しりとり/パトラッシュ/解釈/続・二銭銅貨/ゴースト/ ビスケット/遠い唇/振り仰ぐ観音図/ わらいかわせみに話すなよ 付記—ものがたりの島 日常の謎作品集とある。 なにこれ?と感じてすぐに謎解き出来ることがあれば、数日考えてもわからないことがある。長い時間が経ってから、あぁとわかる瞬間もある。あたりまえの時間の中でふと引っ掛かりを覚えたことをほぐすことが出来るのは幸せなことかもしれない。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
あの寺脇くんとまりえ姉さんがこんな形で出会うなんて。 どうしてこんな優しい世界が描けるのだろう…… そうは言っても、ふたりが通ってきた道には暗闇もあって、 そしてその暗闇も誰の人生にもありうる暗さで。 自分にも起こりうる暗さには身を刺すような苦しさを感じる。 「月の砂漠をさばさばと」の解説に (著者は)”こういうことが、起こりうるのだ、と読み手の肩に手を回して共に唇を噛み締めているようだ。” とあったけど、先生の描写はいつもこちら側にいて、「共にここにいる」と感じる。 「盤上の敵」冒頭で被害者のありふれた日常、人生のとりとめのない記憶を見せておいてから一転、この世から切り離すこと。 単なる「被害者」という記号にしないことへの優しさ、恐ろしいまでの丹念さ。 「共にいる」ことへの妄執を感じる。 その妄執が優しい方へふれたのが「詩歌の待ち伏せ1」で、 《さきちゃん》を”愛する愛する子です”と紹介し、 「空飛ぶ馬」の男の子より強い「みよちゃん」が私のその後を書いて!と急かしてくるとおっしゃっる。 このくだりにはいつも泣いてしまう。 先生にとって、登場人物は皆「愛する子」なのだろうと思う。だから、不幸の中でもその不幸を徹底的に描く。おざなりにはしない。 そして、 そして、冒頭の2人に訪れる結末も、我々に起こりうる、「共にあれる」幸せだ。 日常を愛すること。 後輩がくれたとうもろこしを大事に食べること。 珈琲党の寺脇さんがまりえさんが好きなら紅茶を飲んでみようかと歩み寄ること。 翡翠が飛ぶ一瞬をつかまえること。 こういうところが、本当に大好き。 先生の新刊が読める時代に生まれて、ほんと幸せである。
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