シンデレラはどこへ行ったのか の商品レビュー
京都大学大学院人間・環境学研究科教授の著者が、外からくる何かが、自分の人生を変え、守ってくれるだろうという、女性自身の中に潜在する無意識の依存願望である「シンデレラ・コンプレックス」に対して、試練を乗り越えて自力で幸せを獲得する新しいタイプの女性像を描いた作品群の源流を『ジェイン...
京都大学大学院人間・環境学研究科教授の著者が、外からくる何かが、自分の人生を変え、守ってくれるだろうという、女性自身の中に潜在する無意識の依存願望である「シンデレラ・コンプレックス」に対して、試練を乗り越えて自力で幸せを獲得する新しいタイプの女性像を描いた作品群の源流を『ジェイン・エア』に見定め、これに影響を受けた各国の作品の紹介を通じて、シンデレラ・コンプレックス脱却にいたる変遷を考察しています。 が、本書の8割ほどがそのあらすじを追うことに終始しているのが残念な点でした。
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2023年刊。 第1章は、勢いがあって引き込まれる。シンデレラのコンパクトな解説と脱シンデレラ物語としての『ジェイン・エア』。 第2章以降は、その『ジェイン・エア』を源流とする系譜、『若草物語』『リンバロストの乙女』『あしながおじさん』『赤毛のアン』『木曜日の子どもたち』。その流...
2023年刊。 第1章は、勢いがあって引き込まれる。シンデレラのコンパクトな解説と脱シンデレラ物語としての『ジェイン・エア』。 第2章以降は、その『ジェイン・エア』を源流とする系譜、『若草物語』『リンバロストの乙女』『あしながおじさん』『赤毛のアン』『木曜日の子どもたち』。その流れがよくわかる。 なによりもフェミニズムの土俵にあがらないのがよい。ただ、論の展開が少々強引、個々の作品の解説がちょっとくどいようにも感じられた。ブロンテ姉妹のなかのシャーロットの特異性、アンやエミリとの違いにも言及してほしかったかな。
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・お姫様のあり方が少しずつ変わってきた現代におけるシンデレラのポジションを知りたいと思ったこと ・児童文学関連の新書を探していたこと ↑これらの点を踏まえ、この新書を読むことにしました。 白雪姫で有名な歌のひとつ「いつか王子様が」ではないですが、シンデレラのように王子様が来てく...
・お姫様のあり方が少しずつ変わってきた現代におけるシンデレラのポジションを知りたいと思ったこと ・児童文学関連の新書を探していたこと ↑これらの点を踏まえ、この新書を読むことにしました。 白雪姫で有名な歌のひとつ「いつか王子様が」ではないですが、シンデレラのように王子様が来てくれることなんて現実では本当に起こりません。自分から王子様を迎えにいくような、自分から道を切り開いていく女性たちの話を『ジェイン・エア』を中心に『若草物語』『リンバロストの乙女』『あしながおじさん』『赤毛のアン』の物語構成だけでなく、それぞれの作者自身の経験や時代背景をもとに紐解いていきます。 それぞれの話を読んでいなくても内容も適宜載せてくれているのでスラスラ読めますが、それぞれのストーリーが軸になると、途中から結局シンデレラとどう違うのか、『ジェイン・エア』とどう絡んでいるのかが分からなくなり、何を言いたいんだ?となる瞬間がありました。また、『ジェイン・エア』において、高貴な身分ではなく、過去の隠し妻も無くなり、身体障害を抱えた男性と結婚するとなった時、それ二人はで対等であると言えるのか?というところには疑問が残りました。個人的には、もともと社会的立場に差があった二人の間で、男性側を女性側に依存させるための男の方を急降下させたという読み取り方もできるのではないかと感じました。
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英米文学者の廣野由美子さんと「少女小説」について考える 今回もがっつりイギリス文学の名作『ジェイン・エア』についてネタバレしているが、大丈夫!先に『ジェイン・エア』読んだから 絵に描いたような「本末転倒」やったぜ!(なぜ自慢げ?) まぁ、でも廣野由美子さんの書く本の主旨から...
英米文学者の廣野由美子さんと「少女小説」について考える 今回もがっつりイギリス文学の名作『ジェイン・エア』についてネタバレしているが、大丈夫!先に『ジェイン・エア』読んだから 絵に描いたような「本末転倒」やったぜ!(なぜ自慢げ?) まぁ、でも廣野由美子さんの書く本の主旨から言ってネタバレしてないと話進まないので、廣野由美子さんにネタバレなしを期待するわいが悪い 廣野由美子さんは全く悪くない はい、今回はいわゆるシンデレラストーリーの少女小説から離れ、少女が自らの力で成長し、ハッピーエンドを掴み取るという『ジェイン・エア』に端を発する作品群を「ジェイン・エアシンドローム」と名付け、再発見して行こうとい試み 廣野由美子さんが『ジェイン・エア』の娘たちと呼ぶ作品には英米文学の不朽の名作たちが並びます なるほどな〜 そういう視点もあるんやな〜 と新しい作品の読み方を教えてもらった気持ち それにしても、やっぱり古典の名作は面白いよね 『ジェイン・エア』とか160年前ですよ なぜこれほどまでに残るのか? 答えは至極簡単、「面白いから」 日本も含め古典もっとどんどん読まないと!たいへんだ!
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
憧れのヒロインはジェイン・エア? 英米文学の中で『ジェイン・エア』で示された「試練を乗り越えて自力で幸せを獲得する」女性像を描いた作品に注目する論考。確かにシンデレラ・コンプレックスという言葉は有名ながらも、少女小説には勉強で上のステージを目指す話もある。そのような物語を愛読していれば、自然と人生の設計図も似た形を取るだろう。もしくはそののうな人生に価値を見出すからこそ、同じようなタイプの物語をロールモデルとして愛好するのかもしれない。 『アイドル』『かわいいだけじゃダメですか?』と流行歌が移り変わる中で、シンデレラとジェイン・エアの次に現れるのはどのような主人公だろうか。
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『若草物語』『赤毛のアン』『秘密の花園』『あしながおじさん』、このあたりが小さい頃から大好きで、『小公女』もアニメで慣れ親しんでいたため、全体的に非常に面白かった。 現状に抗い、自分で自分自身の未来を切り開く新しいヒロイン像は、確かに今の自分に多大な影響を与えていると思う。読ん...
『若草物語』『赤毛のアン』『秘密の花園』『あしながおじさん』、このあたりが小さい頃から大好きで、『小公女』もアニメで慣れ親しんでいたため、全体的に非常に面白かった。 現状に抗い、自分で自分自身の未来を切り開く新しいヒロイン像は、確かに今の自分に多大な影響を与えていると思う。読んだことはないが『ジェイン・エア』など仲間として紹介された本も読んでみたい。
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シンデレラからジェイン・エア(ゼロから出発してがむしゃらにもがき、倒れても起き上がって前に進み続ける)へ。 そうした現象や物語群を「ジェイン・エア・シンドローム」と名づけることと、それらを再評価することを目的とする本だとあとがきにあった。 そういうふうなものは、ジェイン・エア...
シンデレラからジェイン・エア(ゼロから出発してがむしゃらにもがき、倒れても起き上がって前に進み続ける)へ。 そうした現象や物語群を「ジェイン・エア・シンドローム」と名づけることと、それらを再評価することを目的とする本だとあとがきにあった。 そういうふうなものは、ジェイン・エアに関係ないところにもありそうな気はして、どこまでがジェイン・エアの血筋を引くのか私には分からない。現代のフェミニズムのおおもとにあるエネルギーにはジェイン・エア的なものが確実にあるのだろうし、取り分け女性の物語として書かれる必要があったそういうものは、自分自身の身体と心で自律的に行きてゆく「自由」な主体としてのありかたに繋がるとだと思う。昨今では一方で「その先」が求められ、しかし実は旧態依然のものも(少なくとも日本には)頑固に残っていて、ごっちゃになって溢れている気がする、というのが、とりあえず読んですぐの雑感でした。 「木曜日の子どもたち」のところがいちばん面白かった。
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〈脱 シンデレラストーリー〉の様々な物語の概要をざっと拾うことができて、色々興味持てたのが楽しかった! そもそも物語を読む時に、これはシンデレラストーリーか?とかそういう視点で考えることなかったから、新しい視点が1つ手に入ったなと思います!
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起立!礼!英米文学論における少女小説の源流と発展に関する講義を始めます! あくまで文学の見地から「女性が最終的に『内側』から自らを変えていく」物語、即ち「強固な内発的意志」(それぞれp8)を示すようになる物語の起源をシャーロット・ブロンテの英古典『ジェイン・エア』に定め、この作...
起立!礼!英米文学論における少女小説の源流と発展に関する講義を始めます! あくまで文学の見地から「女性が最終的に『内側』から自らを変えていく」物語、即ち「強固な内発的意志」(それぞれp8)を示すようになる物語の起源をシャーロット・ブロンテの英古典『ジェイン・エア』に定め、この作品が後代の米文学へどのような影響を与え、また、現代の‘強いヒロイン像’を結ぶかの流れを主要各作品を例にとりながら解説を交えつつ200ページくらいにまとめられた一冊。 非常にわかりやすく、各作品の紹介もどれもこれも興味を掻き立てられるものばかりで、あっという間に積読が増えてしまいやした。 従来のいわゆる「シンデレラ・ストーリーの型」には「おとなしく従順で、か弱い」「不遇ななかでも美徳を貫いてひらすら耐え抜き」(p26)、これが肝心だけどももちろん容姿は端麗で、最後は資産家や権力者に見初められて結婚して、いつまでも幸せに暮らしました。めでたし。というのが絶対的ヒロイン像としてある訳だが、『ジェイン・エア』は違う。全く違う。 主人公のジェインは容貌悪く気性荒く、遠慮なく憎悪を振り撒いて周囲と衝突を繰り広げるという人物な上に、やがて結婚を意識した相手には隠し妻がいた、という正に踏んだり蹴ったりの人物設定。ただ、彼女が決定的に違うのは主張と研学によって自らの居場所を勝ち得ていく点。王子様が迎えに来るのを待つだけのヒョロい女性ではないのだ。 その後「自らの人生を切り開いていくジェイン・エアの精神は、アメリカにおける『開拓者精神』と相通じるものがあった」(p55)という考察の通りアメリカ女流文学界に受け入れられて進化・発展し、カナダで『赤毛のアン』へとバトンは受け継がれて今なお支持を得ている訳である。 一方で行きすぎた『ジェイン・エア』の精神は「シンデレラ・コンプレックスを乗り越えられない女性への蔑視や優越感、あるいは能力偏重主義を生み出し、競争心を煽るという」(p209)側面があるのではとの指摘を挙げられている事も付け加えておく。そう言われればそうかもしれないけど、そうなのかな? 私個人は『ジェイン・エア』も『赤毛のアン』も恥ずかしながら読んだ事が無かったので大変新鮮に興味深く読む事が出来ました。 1刷 2024.6.15
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ジェイン・エアを少女小説の元祖として、その系譜に連なるアメリカとカナダ、英国の少女小説を紹介する評論。 美しくて心優しい少女(元々は身分も高い)が周囲のいじめに耐え、若く美しく身分の高い男性に見初められて結婚するというシンデレラ的な従来の少女向け物語に対して、貧しくて美しくもない...
ジェイン・エアを少女小説の元祖として、その系譜に連なるアメリカとカナダ、英国の少女小説を紹介する評論。 美しくて心優しい少女(元々は身分も高い)が周囲のいじめに耐え、若く美しく身分の高い男性に見初められて結婚するというシンデレラ的な従来の少女向け物語に対して、貧しくて美しくもない少女が勉学によって自立し、自分を理解してくれる対等なパートナーと結婚する『ジェイン・エア』は当時としては画期的な物語であり、世界的に大きな影響力を持ったことが分かる。その後『ジェイン・エア』に影響されて数多くの少女小説が生まれた。 本作では、その代表作として『若草物語』『リンバロストの乙女』『あしながおじさん』『赤毛のアン』を紹介する。 少女たちが受け身ではなく自ら道を切り開いていく物語は確かに魅力的だ。ただ、いつも結婚という結末になることには不満も感じる。仕事をすることが出来ても結婚しなければ一人前として認められなかったのであろう当時の社会的な圧力を想像すると、まだまだ真に女性が自立ができているとはいえないのではないだろうか(『若草物語』のオルコットも読者や出版社からの圧力でジョーを結婚させざるを得なかった不満を述べていたが)。そういう意味で、少女小説をテーマにするのなら、古き良き少女小説だけでなくもうちょっと新しい少女小説も取り上げてほしかったと思う。 あと、『あしながおじさん』は現代の感覚で見ると大分気持ち悪くて。学校に行くためのお金を孤児の少女に援助していたおじさんが、少女に恋するようになってあらゆる手段を使って少女と結婚する話…って、そこにエンパワメントされる女子は今の時代いないんじゃないだろうか。 あと4章で取り上げた『木曜日の子どもたち』については、著者の思い入れが入りすぎているようで、本筋とも少し外れるし、うーんと思いました。
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