シンデレラはどこへ行ったのか の商品レビュー
シンデレラからジェイン・エア(ゼロから出発してがむしゃらにもがき、倒れても起き上がって前に進み続ける)へ。 そうした現象や物語群を「ジェイン・エア・シンドローム」と名づけることと、それらを再評価することを目的とする本だとあとがきにあった。 そういうふうなものは、ジェイン・エア...
シンデレラからジェイン・エア(ゼロから出発してがむしゃらにもがき、倒れても起き上がって前に進み続ける)へ。 そうした現象や物語群を「ジェイン・エア・シンドローム」と名づけることと、それらを再評価することを目的とする本だとあとがきにあった。 そういうふうなものは、ジェイン・エアに関係ないところにもありそうな気はして、どこまでがジェイン・エアの血筋を引くのか私には分からない。現代のフェミニズムのおおもとにあるエネルギーにはジェイン・エア的なものが確実にあるのだろうし、取り分け女性の物語として書かれる必要があったそういうものは、自分自身の身体と心で自律的に行きてゆく「自由」な主体としてのありかたに繋がるとだと思う。昨今では一方で「その先」が求められ、しかし実は旧態依然のものも(少なくとも日本には)頑固に残っていて、ごっちゃになって溢れている気がする、というのが、とりあえず読んですぐの雑感でした。 「木曜日の子どもたち」のところがいちばん面白かった。
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自分もジョーとローリーが結ばれなかったことに落胆して、いけずな作者に怒りさえ覚えたクチである。 10才にしてすでにシンデレラの物語に毒されていたのだろうか…。
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〈脱 シンデレラストーリー〉の様々な物語の概要をざっと拾うことができて、色々興味持てたのが楽しかった! そもそも物語を読む時に、これはシンデレラストーリーか?とかそういう視点で考えることなかったから、新しい視点が1つ手に入ったなと思います!
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起立!礼!英米文学論における少女小説の源流と発展に関する講義を始めます! あくまで文学の見地から「女性が最終的に『内側』から自らを変えていく」物語、即ち「強固な内発的意志」(それぞれp8)を示すようになる物語の起源をシャーロット・ブロンテの英古典『ジェイン・エア』に定め、この作...
起立!礼!英米文学論における少女小説の源流と発展に関する講義を始めます! あくまで文学の見地から「女性が最終的に『内側』から自らを変えていく」物語、即ち「強固な内発的意志」(それぞれp8)を示すようになる物語の起源をシャーロット・ブロンテの英古典『ジェイン・エア』に定め、この作品が後代の米文学へどのような影響を与え、また、現代の‘強いヒロイン像’を結ぶかの流れを主要各作品を例にとりながら解説を交えつつ200ページくらいにまとめられた一冊。 非常にわかりやすく、各作品の紹介もどれもこれも興味を掻き立てられるものばかりで、あっという間に積読が増えてしまいやした。 従来のいわゆる「シンデレラ・ストーリーの型」には「おとなしく従順で、か弱い」「不遇ななかでも美徳を貫いてひらすら耐え抜き」(p26)、これが肝心だけどももちろん容姿は端麗で、最後は資産家や権力者に見初められて結婚して、いつまでも幸せに暮らしました。めでたし。というのが絶対的ヒロイン像としてある訳だが、『ジェイン・エア』は違う。全く違う。 主人公のジェインは容貌悪く気性荒く、遠慮なく憎悪を振り撒いて周囲と衝突を繰り広げるという人物な上に、やがて結婚を意識した相手には隠し妻がいた、という正に踏んだり蹴ったりの人物設定。ただ、彼女が決定的に違うのは主張と研学によって自らの居場所を勝ち得ていく点。王子様が迎えに来るのを待つだけのヒョロい女性ではないのだ。 その後「自らの人生を切り開いていくジェイン・エアの精神は、アメリカにおける『開拓者精神』と相通じるものがあった」(p55)という考察の通りアメリカ女流文学界に受け入れられて進化・発展し、カナダで『赤毛のアン』へとバトンは受け継がれて今なお支持を得ている訳である。 一方で行きすぎた『ジェイン・エア』の精神は「シンデレラ・コンプレックスを乗り越えられない女性への蔑視や優越感、あるいは能力偏重主義を生み出し、競争心を煽るという」(p209)側面があるのではとの指摘を挙げられている事も付け加えておく。そう言われればそうかもしれないけど、そうなのかな? 私個人は『ジェイン・エア』も『赤毛のアン』も恥ずかしながら読んだ事が無かったので大変新鮮に興味深く読む事が出来ました。 1刷 2024.6.15
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ジェイン・エアを少女小説の元祖として、その系譜に連なるアメリカとカナダ、英国の少女小説を紹介する評論。 美しくて心優しい少女(元々は身分も高い)が周囲のいじめに耐え、若く美しく身分の高い男性に見初められて結婚するというシンデレラ的な従来の少女向け物語に対して、貧しくて美しくもない...
ジェイン・エアを少女小説の元祖として、その系譜に連なるアメリカとカナダ、英国の少女小説を紹介する評論。 美しくて心優しい少女(元々は身分も高い)が周囲のいじめに耐え、若く美しく身分の高い男性に見初められて結婚するというシンデレラ的な従来の少女向け物語に対して、貧しくて美しくもない少女が勉学によって自立し、自分を理解してくれる対等なパートナーと結婚する『ジェイン・エア』は当時としては画期的な物語であり、世界的に大きな影響力を持ったことが分かる。その後『ジェイン・エア』に影響されて数多くの少女小説が生まれた。 本作では、その代表作として『若草物語』『リンバロストの乙女』『あしながおじさん』『赤毛のアン』を紹介する。 少女たちが受け身ではなく自ら道を切り開いていく物語は確かに魅力的だ。ただ、いつも結婚という結末になることには不満も感じる。仕事をすることが出来ても結婚しなければ一人前として認められなかったのであろう当時の社会的な圧力を想像すると、まだまだ真に女性が自立ができているとはいえないのではないだろうか(『若草物語』のオルコットも読者や出版社からの圧力でジョーを結婚させざるを得なかった不満を述べていたが)。そういう意味で、少女小説をテーマにするのなら、古き良き少女小説だけでなくもうちょっと新しい少女小説も取り上げてほしかったと思う。 あと、『あしながおじさん』は現代の感覚で見ると大分気持ち悪くて。学校に行くためのお金を孤児の少女に援助していたおじさんが、少女に恋するようになってあらゆる手段を使って少女と結婚する話…って、そこにエンパワメントされる女子は今の時代いないんじゃないだろうか。 あと4章で取り上げた『木曜日の子どもたち』については、著者の思い入れが入りすぎているようで、本筋とも少し外れるし、うーんと思いました。
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とても面白かった。我々はみんな王子様に認めてもらえるシンデレラになれるわけではないが、ジェイン・エアになることはできる。 自分の運命を諦めない。 要約がとても上手くて挙げてある本全部読んでみたくなる。 『若草物語』のジョーがとても好きだったことを思い出しました。
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いつか王子様が・・・のシンデレラの寓話から、 自ら行動を起こす少女が主人公の少女小説へ。 そのきっかけは「ジェイン・エア」だった。 序 『ジェイン・エア』から少女小説へ 第1章 脱シンデレラ物語の原型 第2章 アメリカへ渡った「ジェイン・エア」の娘たち 第3章 カナダで誕生した不...
いつか王子様が・・・のシンデレラの寓話から、 自ら行動を起こす少女が主人公の少女小説へ。 そのきっかけは「ジェイン・エア」だった。 序 『ジェイン・エア』から少女小説へ 第1章 脱シンデレラ物語の原型 第2章 アメリカへ渡った「ジェイン・エア」の娘たち 第3章 カナダで誕生した不滅の少女小説 第4章 イギリスでの変転とその後の「ジェイン・エア」 終章 変わりゆく物語 ・あとがき 参考文献有り。 世界中に異本がある「シンデレラ」の起源と伝播による変容。 イギリスの感傷小説に、ゴシック小説にも「シンデレラ」は 影響を与えた。 そこに登場した「ジェイン・エア」は「シンデレラ」とは 真逆の主人公の物語。孤児の彼女は自ら行動し、 経験とキャリアを積み、波乱の人生を歩む。 対等なパートナーを得、そして更にその先へ。 「ジェイン・エア」はアメリカの女性たちに受け入れられる。 開拓精神と相通じる自己解放は、オルコット、ポーター、 ウェブスターたちに行動力のある少女たちの物語を描かせる。 カナダでは、モンゴメリが赤毛のアンのシリーズを執筆。 「ジェイン・エア」のちのイギリスではジョージ・エリオット。 アメリカとイギリスを行き来したバーネット。 そしてゴッデンの、シンデレラ型とジェイン・エア型が 入り混じった家族の葛藤の物語が登場する。 現代のディズニー映画でもプリンセスたちは変容している。 小学生時代に愛読し、現在も思い返したように読んでる作品が、 多く登場していたのも楽しかったし、 我が道を恐れずに歩む主人公たちの行動する姿には、 「ジェイン・エア」が影響を与えていることも、 新たな発見となりました。 それぞれの作品の内容が分かり易く要約され、未読の 「リンバロストの乙女」と「木曜日の子どもたち」は 読みたくなってしまいました。
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英文学の「ジェーン・エア」を女性の自立への小説と捉え、その後の英米文学に与えた影響について論じている。単なる、不幸な少女が最終的に結婚をし、幸福を掴むというのではなく、そこへ行き着くまでに様々な社会的自立等をしていくという。私が考えていた「ジェーン・エア」とは少し違った捉え方であ...
英文学の「ジェーン・エア」を女性の自立への小説と捉え、その後の英米文学に与えた影響について論じている。単なる、不幸な少女が最終的に結婚をし、幸福を掴むというのではなく、そこへ行き着くまでに様々な社会的自立等をしていくという。私が考えていた「ジェーン・エア」とは少し違った捉え方であり、現代の女性自立の第一歩ともいえる。
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シンデレラからジェーン・エア 女の幸せってまだまだこれから変わっていくのかも ジェーン・エアを読んだのは中学生の時。 本を握る手のひらがゾワゾワするほど物語に引き込まれたのは初めての経験だった 今も大好きな小説
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ジェイン・エアを読んだ少女たちに与えた衝撃が、世界で赤毛のアン、若草物語、あしながおじさんなどの名作少女小説が生まれる素地となった。 取り上げられた小説が大好きなものばかりだったので、とても興味深く読んだ。
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