国家心中 枝田作品集 の商品レビュー
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枝田さんについては大団円だったか愛の式日だったかで知ったと思う。国家心中も好き。冥の、子供の頃から一切変わっていない笑顔が好きだなあ。晃はこれからどうするんだろうか。冥はどうするんだろうか…。
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吐き気がするほど面白い、面白過ぎて吐きそう、どっちを書くべきか、迷うところです。 どっちにしろ吐いちゃうのであれば同じだろ、と言われそうだが、私的には微妙に違ったりする。どう違うのか、そこが上手く説明できないのだが、頭を軽く混乱させるだけの「何か」が、この漫画にはある、と感じて貰えたのなら、十分なんですが・・・ 感想を書くからには、他の人にも読んで欲しい、この作品を知って貰いたい、って気持ちがある。それは、本読みに共通する願望でしょう。違うかもしれませんが、私はそう思います。 私の中にだって、もちろん、この『国家心中』を大勢の漫画読みに読んで欲しいです。しかし、読ませて大丈夫かな、って不安はあるんですよ。他の作品をお勧めする時は、面白い、と思って貰えるかな、そういう感じの不安なんですが、この『国家心中』は、それだけじゃなくて、他の漫画読みの精神にダメージを与えないかなって心配の方が強い訳で。 漫画読みであれば、己が面白い、と感じる作品を、他者の都合など気にせず、全力で勧めればいい、って強気な意見もあるんでしょうけど、この『国家心中』に関しちゃ、そんな剛毅な態度も萎縮しちゃうレベルなんですよねぇ。 漫画としてのレベルが高いって意味では、間違いなく、面白い、と私は断言できます。そこは、一漫画読みとしてのプライドとして、保証します。 どういう作品なのか、と問われたのなら、正直に、人間そのものを、人間の中にある様々な感情、人間だからこそ築かれる関係性、それらを、ありのままに、飾らず、媚びず、変容させずに描いている、としか説明できません。 残酷な描写は、ほとんどないんですけど、シンプルに、おっかないんですよ。オカルト色は強いっちゃ強いんですけど、人あらざる存在よりも、人間の方がよほど、おっかない、陳腐ではあるけど真理でもある感想を抱かされます。 月並みな意見ですが、最後まで一気に読み切れる人間は限られるでしょうね。私も、途中で休みを挟みました。そうでなきゃ、しばらく、鬱々とした気持ちに囚われてしまっていたでしょう。YJに掲載されていた読み切りは、あれでマイルドな方だったのか、と痛感させられました。他の読み切りだったら、恐らく、誰も書店で、この『国家心中』を手に取らなかっただろうな。 こんな書き方をすると、本当に面白いのか、枝田先生を傷付けたいのか、と疑われそうですが、そんな意図は一切、ありません。凄い漫画、と自信を持って言えますし、枝田先生がとんでもない事も確かです。しかし、これほどまでの漫画を描ける枝田先生は、これから、人間として生きていけるのか、そんな憂いも過るんですよね。この作品を描くのに必要なズレを抱えたままでいたら、いつか、枝田先生の心は・・・・・・それを、私が懸念する必要などない、と解っちゃいるが、私はまだ、枝田先生の作品を喰らい足りないんだよなぁ。 この台詞を引用に選んだのは、問答無用に、私の総毛を逆立たせるほどの凄味を感じさせるものだったので。 一切の濁りがない、純粋な情念ってのは、斯くも恐ろしく、眩しく、そして、憐れなのか、としみじみ感じますね、この台詞と、これを言った時の冥の表情を見てしまうと。 無邪気ってのは、無自覚が過ぎる邪な気持ち、と表現される事もありますけど、これこそが、そうなのかもしれません。 悪、ではないんでしょうが、善でもない。 では、何なのか、と尋ねられたら、少し迷って、私は自信なさげに、こう答えましょう。 彼こそが、人間なのだ、と。 「な!晃、次はなにして遊ぼうか」(byキサラギ冥)
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