街場の成熟論 の商品レビュー
成熟に関わるさまざまな論考。 努力、友情、勝利のもたらす弊害というか、その価値観だけでは足りないものがあるという言及に、ハッとする
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内田樹氏が、いろいろな媒体に寄稿したものを、 ウクライナ危機後の世界 沈みゆく社会 成熟について ジェンダーをめぐる諸相 語り継ぐべきこと の各章に分け載せている。 彼の思想やこだわりがよく見え、共感する部分が多く感じたので、もう少し拡げてみよう。 ・図書館 図書館はそこを訪...
内田樹氏が、いろいろな媒体に寄稿したものを、 ウクライナ危機後の世界 沈みゆく社会 成熟について ジェンダーをめぐる諸相 語り継ぐべきこと の各章に分け載せている。 彼の思想やこだわりがよく見え、共感する部分が多く感じたので、もう少し拡げてみよう。 ・図書館 図書館はそこを訪れた人たちの無知を可視化する装置である。自分がどれほどものを知らないのかを教えてくれる場所である。だから、そこでは粛然と襟を正して、「寸暇を惜しんで学ばなければ」という決意を新たにする。図書館の教育的意義はそれに尽くされるだろう。 図書館に向かって「みんなが読みたがるベストセラーだけを並べて置け。読まれない本は捨てろ。そうすれば来館者は増える」と言う人たちは知性と無縁な人間である。だが、今の日本では、そういう人たちが行政の要路を占めて、教育や文化予算の配分を決めている。日本の知的生産性が急坂を転げ落ちるように低下したのも当然である。 ・国旗と国歌については、強制すべきではなく、信頼できる国家となることが先で、かのアメリカ合衆国においても、国旗の損壊は個人の権利として認められているという。 ・どんな教師であれ、「子どもたちを歓待し、承認し、祝福する」ことが教師の本務だ。そんなことはしたくない、できないという人間は教壇に立つべきではない。 ・安倍元首相の国葬について 岸田首相は「聞く力」ということを繰り返し語ったが、政治家に最も必要なのは「ここ一番」というときに、割れる世論をとりまとめて、合意形成をもたらす「語る力」ではないのか。耳元で大声でがなり立てる人の話を「聞く」だけで、国民的合意を形成するために「語る」ことを惜しんだせいで、首相は支持を失った。 ・選挙と公約 選挙に勝った政党は政策が正ししいから勝ったのではない。「勝ちそうな政党」だったから勝ったのである。選挙に負けた政党は政策が間違っていたから負けたのではない。「負けそう」だから負けたのである。 有権者たちは「勝ち馬に乗る」ことを最優先して投票行動を行っている。その「馬」がいったいどこに国民を連れてゆくことになるのかには彼らはあまり興味がない。
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学ぶということは生まれ変わったかのように変わること、という話は最後のページを読むまで忘れなかった。 自分も今の仕事を始めた20年前、学ぶものを変えたときから変わったのだろうか。生まれ変わったのだろうか。 蝉が殻を破って出てくるようには変わったのだろうと思うが、生まれ変わったかのよ...
学ぶということは生まれ変わったかのように変わること、という話は最後のページを読むまで忘れなかった。 自分も今の仕事を始めた20年前、学ぶものを変えたときから変わったのだろうか。生まれ変わったのだろうか。 蝉が殻を破って出てくるようには変わったのだろうと思うが、生まれ変わったかのようには変わっていないと思う。 心と直感に従う勇気を持って生きてきた…とまで果たして自分のことを認められるのだろうか。
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半分以上(もっとかな)は既に一度読んだものだが、読んでなかったものと合わせて1冊の本となりまとめて読めるのはありがたいことだ。
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いつも聴いているpodcastの番組に著者の内田樹さんがゲスト出演していて、本書についてお話ししていました。 内田さんの主張は、ご自身の “思考の軸足” にブレがないので、昨今のいろいろな社会事象に関する私自身の考え方の揺らぎをアジャストするのにとても参考になります。
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内田さんが、雑誌等に寄稿した文章を集めたもの。 求められたテーマを内田流に考察した文章は、主観に基づいた記述であることから、大いに納得するものから、なかなか理解が追いつかないものまで多岐にわたる。 ロシアのウクライナ侵攻についても書かれている。以前のクリミア半島の時と異なり、ゼ...
内田さんが、雑誌等に寄稿した文章を集めたもの。 求められたテーマを内田流に考察した文章は、主観に基づいた記述であることから、大いに納得するものから、なかなか理解が追いつかないものまで多岐にわたる。 ロシアのウクライナ侵攻についても書かれている。以前のクリミア半島の時と異なり、ゼレンスキー大統領が政治的な正しさを打ち出したことが、世界の共感をもたらしたという。単にウクライナが攻め込まれたという事ではなく、上位の観念に持っていくことで、我々のため、我々の自由のために戦っているというストーリーに持って行ったことで各国の支援を受けられたとの主張だ。 他の事柄も、いくつかの論点で書かれているので、自分の納得するものを読み込んでいけばよいと思う。
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内田樹氏が、様々な雑誌に投稿した原稿を選択して、テーマ別にまとめたもの。2021〜2023年のものが多かったように思う。 言葉は、さすがに難しいと感じるけれど、内容はとても腑に落ちて、納得したり感嘆したり、、。 「ウクライナ危機後の世界」と「沈みゆく社会」の章には、暗澹たる気持ち...
内田樹氏が、様々な雑誌に投稿した原稿を選択して、テーマ別にまとめたもの。2021〜2023年のものが多かったように思う。 言葉は、さすがに難しいと感じるけれど、内容はとても腑に落ちて、納得したり感嘆したり、、。 「ウクライナ危機後の世界」と「沈みゆく社会」の章には、暗澹たる気持ちを抱きながら読んだし、 「成熟について」の章の、鬼滅の刃の構造分析には大きく頷きながら読んだ。 いつもいつも難しく考えながら生きていくわけにはいかないのだけれど、自分の心や体に問いかけながら考えることは大切だと、内田氏の本を読むといつも思う。なぜ、モヤモヤするのか、腹が立つのか、、、、回答をもらったように感じる。 興味のあるところだけ読んでも。
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お世話になっている整形外科医院の本棚からお借りした 神戸にお住いの内田樹さん たくさんの著作があるが、なんか難しそうで…… 最新の本(2023・9・15発行)を手に取った 今の世界、日本 なんかヘン イヤな肌触りがする そんな違和感が少し分かるかなと たくさんの脳にビンビン...
お世話になっている整形外科医院の本棚からお借りした 神戸にお住いの内田樹さん たくさんの著作があるが、なんか難しそうで…… 最新の本(2023・9・15発行)を手に取った 今の世界、日本 なんかヘン イヤな肌触りがする そんな違和感が少し分かるかなと たくさんの脳にビンビン響く言葉たちを届けて頂いた 書きだせばきりがない でもプレ認知症の私はすぐ忘れるんだろうなあ 自分も含めてホントみんなが「幼い」! もっと寛容で学べる「成熟」した大人になりたい ・ウクライナ危機後の世界 ・沈みゆく社会 ・成熟について ・ジェンダーをめぐる諸相 ・語り継ぐべきこと ≪ 大人たれ 自分の「VOICE」 みつけよう ≫
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生きていると様々な事柄を考える場面に出くわす。そしてその考えは得てして自分の視点からの見方だけに終始してしまい偏ったものになりがちである。 内田樹さんの本はいつも少しそのようなものの見方をずらしてくれる。 「反抗のうちで死ぬのは、自分個人の運命を超える『善きもの』のため」 運命...
生きていると様々な事柄を考える場面に出くわす。そしてその考えは得てして自分の視点からの見方だけに終始してしまい偏ったものになりがちである。 内田樹さんの本はいつも少しそのようなものの見方をずらしてくれる。 「反抗のうちで死ぬのは、自分個人の運命を超える『善きもの』のため」 運命を越えると思える時、命すら惜しまない状況が起こる。 「反抗的人間は孤独ではない。」 関係性は戦いという形でも万人と繋がる。人は関係性の中で生きている。 「全能感を手早く求める者は必ず破壊に走る。」 権力を振りかざす周りの人はやはりこのスタイルを取る。 「文学的素養のない人たちが他者の内面についての想像力の行使を惜しむ傾向があるのはたしかな事実である。」 文学の持っている大切な側面だと思う。 「科学者は個人的な努力によって科学的であることはできない。」 科学は公共性を必要としている。 「複雑な現実は複雑なまま扱い、焦って単純化しないこと」 とても難しい。そしてそうありたい。 「「勇気・正直・親切」と「友情・努力・勝利」はまるで違う。」 大切にするべきものを何かが歪める。見極めないとと思わされる、 「「自分が何を学ぶのかわからないが、学び始める」というのが師弟関係である。」 そのような学びだからこそ師弟関係には超えてはいけない線がある。それは道徳でも公正さでもなく、関係として超えてはいけない。それを超えた時、師は師の資格を失う。弟子は師弟関係というものを生涯理解できなくなり学びを捨てる事になる。 他にも感じた事はたくさんある。 感じ方はきっと人それぞれなのだろうけど、自分の考えをずらされた時に、その事が意外にまっすぐなものの見方である事を発見する。
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安定の内田節、という感じ。 特にフェミニズム批判の論考における切れ味の鋭さと、先に逝った友人を悼む論考の切実さが印象的だった。 前者は以前からのもので、最終的な着地点が「体のいうことを聞きましょう」なのが非常に胡散臭いものの、その他の理屈は鮮やか。特にセックスワーク論では廃娼論へ...
安定の内田節、という感じ。 特にフェミニズム批判の論考における切れ味の鋭さと、先に逝った友人を悼む論考の切実さが印象的だった。 前者は以前からのもので、最終的な着地点が「体のいうことを聞きましょう」なのが非常に胡散臭いものの、その他の理屈は鮮やか。特にセックスワーク論では廃娼論への違和感を鮮やかに言語化していた。体の所有権を確認するためにこれを傷つけることが必要なタイプの人のメンタルのあり方に一切思いを致すことがないのが、この人の鈍感な部分。 後者は、特に小田嶋隆に向けられたものが好きだった。小田島のコラムの語りの構造を分析することがほぼそのまま哀切な追悼の意思の表明になっている。誰かのことを真剣に考えるということはその人を愛することとほぼ同義なんだよね。あんたほんとにオダジマンのこと好きだったんだね、とよくわかって落涙を禁じ得ない。
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