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暗い時代の人々 の商品レビュー

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2023/09/26

 本書のタイトルは、ハンナ・アレント『暗い時代の人々』から取られたもの。アレントは、ファシズムが吹き荒れ、自由が著しく損なわれたヨーロッパの「暗い時代」の中で、「精神の自由」を守るために闘った人々を描いた。本書は、大正から戦前・戦中にかけて、暗い谷間の時期を時代に流されず、小さな...

 本書のタイトルは、ハンナ・アレント『暗い時代の人々』から取られたもの。アレントは、ファシズムが吹き荒れ、自由が著しく損なわれたヨーロッパの「暗い時代」の中で、「精神の自由」を守るために闘った人々を描いた。本書は、大正から戦前・戦中にかけて、暗い谷間の時期を時代に流されず、小さな灯火を点したと、著者が感じた人々のことを描いたものである。  取り上げられている人物は、斎藤隆夫、山川菊枝、山本宣治、竹久夢二、九津見房子、斎藤雷太郎と立野正一、古在由重、西村伊作、吉野作造。 戦前の”あの”時代に、社会の大勢に同調せず自らの信念を貫き、あるいは己の選んだ道をそのまま歩んだ人たち。そんな彼や彼女の思想や行動、生き方のエッセンスが、著者の筆を通して生き生きと描かれる。  九津見房子、斎藤雷太郎と立野正一、西村伊作については名前すら知らなかったので、「ああ、こういう人たちがいたのか」と興味深く読めた。  世の中に安易に流されない、それは自らの拠って立つものがしっかりしていないと難しいことだということを改めて感じさせられた。

Posted byブクログ