文学キョーダイ!! の商品レビュー
お二人が育った家庭とその教育方針。偏見を助長するものは与えない、二人がそれぞれ好きなもの、人生を賭けられるものを見つけることを見守る。そこには人と比べない精神も養われていく。 その二人は、ウクライナ侵攻がはじまり、戦争に否の声をあげる。それは育った家庭と同じ位相の大人としての人...
お二人が育った家庭とその教育方針。偏見を助長するものは与えない、二人がそれぞれ好きなもの、人生を賭けられるものを見つけることを見守る。そこには人と比べない精神も養われていく。 その二人は、ウクライナ侵攻がはじまり、戦争に否の声をあげる。それは育った家庭と同じ位相の大人としての人格がなせる技だ。 自分が投影されていない、待たれていない言葉がどんどん放たれている現状を憂う部分が素敵だった。 戦う言論だった。
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ロシア文学研究者であり翻訳者の奈倉有里さんと「同志少女よ敵を撃て」で本屋大賞を受賞された逢坂冬馬さんの対談集です。このお二人はおおらかな家庭で育った実の姉弟です。こういう対談でもないと、なかなかじっくり世の中のことを語り合う機会はないので…ということでしたが、たしかにお互いに忙し...
ロシア文学研究者であり翻訳者の奈倉有里さんと「同志少女よ敵を撃て」で本屋大賞を受賞された逢坂冬馬さんの対談集です。このお二人はおおらかな家庭で育った実の姉弟です。こういう対談でもないと、なかなかじっくり世の中のことを語り合う機会はないので…ということでしたが、たしかにお互いに忙しくなれば、なかなかゆっくり語り合う時間なんてないし、家族が何を考えてるかとかあえて聞かないもんなぁ…と。お二人の文学論議とても微笑ましく面白かったです。
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本を読むことを全力で全肯定してくれて、胸がいっぱいになった。 饒舌な逢坂さんと、穏やかな語り口で本質を突く奈倉さん。姉弟だけに、共通の価値観(素晴らしいご両親と祖父!)が根底にあり、難しい話もかなーりわかりやすく話してくれてる。 知識量や解像度がすごいし、難しい本ばかり読んでる...
本を読むことを全力で全肯定してくれて、胸がいっぱいになった。 饒舌な逢坂さんと、穏やかな語り口で本質を突く奈倉さん。姉弟だけに、共通の価値観(素晴らしいご両親と祖父!)が根底にあり、難しい話もかなーりわかりやすく話してくれてる。 知識量や解像度がすごいし、難しい本ばかり読んでるんだろうな、と思いきや、角田光代を絶賛したり(サイン会に並んだそうだ)、りぼんやジブリやショッカー(⁉︎)などなど、わかりやすい比喩をあげて説明してくれて親近感をもった。 私は同志少女の戦争のゲーム性みたいな書き方が少し嫌だったのだが、そのあたりの作者の意図もわかってよかった。 2人ともニュートラルで、自分の軸がしっかりあって、澄んでる。所謂外面にまったく気負いがないので、読んで疲れないし、爽やかな気持ちになった。 奈倉有里の書いたものを読んだことがなかったので、読もうと思う。 ロシア文学も重厚で読むのしんどそうなイメージがあったけど、読んでみよう。(そういえば、米原万里のエッセイも好きだったなぁ。)
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それぞれの道を歩みながら「文学者」となった姉弟が、文学や日常、そして戦争と平和について語り合う!もっと本が読みたくなる&視野が広がる対談本。
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本棚登録はだいぶん前にしていたのですが、そのままになっていて、111108さんのレビューで読みたくなり読んだ一冊です。111108さん、ありがとうございます。 奈倉有里さんは『夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く』で紫式部文学賞。 『アレクサンドル・ブローク 詩学...
本棚登録はだいぶん前にしていたのですが、そのままになっていて、111108さんのレビューで読みたくなり読んだ一冊です。111108さん、ありがとうございます。 奈倉有里さんは『夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く』で紫式部文学賞。 『アレクサンドル・ブローク 詩学と生涯』でサントリー学芸賞受賞。ロシア文学研究翻訳者。 逢坂冬馬さんは、デビュー作『同志少女よ、敵を撃て』でアガサ・クリスティー賞。本屋大賞を受賞した小説家。 お二人は三歳違いの姉弟でこの本はお二人の対談集です。 家族のこと。 お二人の学業の履歴。 読書遍歴。 『同志少女よ、敵を撃て』で「戦争とジェンダー」という問題を書いた逢坂さんは女性だと思われていたそうです。 「ゲーテとトルストイ」が好きという奈倉さん。 「文學界」連載中という『ロシア文学の教室』を読んでみたいと思いました。 奈倉さんの学生時代の夢の「本の読める生活」は私と同じだと思いました。 バカ高い本は読めないけれど、図書館にある本はたいてい読めるから幸せかもしれないと思いました。 この本のお二人の対談から一番伝わってくるのは「読書の勧め」と「反戦」です。 私は最近短歌を詠み始め、読書の時間をもう少し削ろうかと思っていましたが、やはり読書は捨てがたいと改めて思わされる内容でした。
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逢坂冬馬と奈倉有里の姉弟対談本。いや、これ対談ってレベルの内容じゃないから。知的探究心超強めでベクトルもロシアに向いているっていうのが揃っているからなのか、ロシア・文学(本)・戦争に関する知識の濁流に揉まれました。面白かったです。 本が好きで人に本を勧めることのある職業の人は読む...
逢坂冬馬と奈倉有里の姉弟対談本。いや、これ対談ってレベルの内容じゃないから。知的探究心超強めでベクトルもロシアに向いているっていうのが揃っているからなのか、ロシア・文学(本)・戦争に関する知識の濁流に揉まれました。面白かったです。 本が好きで人に本を勧めることのある職業の人は読むべき一冊。同士少女~が面白かった人にはオススメ。あと、トルストイとかゲーテ好きな人にも。 逢坂さんの、大塩平八郎本、楽しみにしてます。 あと、さとうまきこさんは私も大好き。色々読みたい本が溜まる本でした。
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奈倉有里と逢坂冬馬による対談集、『文学キョーダイ』。 逢坂冬馬は『同士少女よ敵を撃て』で鮮烈なデビューを果たし、アガサクリスティー賞、本屋大賞を受賞。迫力ある、フェミニズム小説とも言えるとても力のある作品。今年3月には、2作となる『歌われなかった海賊へ』を出版している。 一方、奈...
奈倉有里と逢坂冬馬による対談集、『文学キョーダイ』。 逢坂冬馬は『同士少女よ敵を撃て』で鮮烈なデビューを果たし、アガサクリスティー賞、本屋大賞を受賞。迫力ある、フェミニズム小説とも言えるとても力のある作品。今年3月には、2作となる『歌われなかった海賊へ』を出版している。 一方、奈倉有里はラジオに出演しているのを聞いて初めて知り、その際紹介されていた著書『夕暮れに夜明けの歌を』を読んでみると、文学への愛と情熱があふれており、感動したのと同時に同い年ということもあり刺激を受けた。 その二人が姉弟であることは、それぞれが文壇に登場後に発覚したことらしく、ずいぶん驚かれたとか。もちろん私もびっくりした。 その二人の対談集、はっとさせられることや共感することの連続で、とても興味深く読んだ。戦争をはっきりと拒絶し、平和のために書いている、平和のために読んでいる、と名言する二人。学術会議への政府の介入についても明確に批判している。武器を持つことで戦争が拡張されていくことへの懸念など、同世代でしかも実力のある文学者がこんな風に今の時代を語っていることにとても励まされたし、たくましさを感じた。 何より、二人が文学の力に確信を持っていること、文学を深く愛し尊ぶ態度に感動した。 それぞれの著書や翻訳本、出ている限り読みたい。そしてこれからの活躍にますます期待がふくらんだ。
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星2.5 読み始めてから、他のエンタメ小説に目移りしてしまい、ずいぶん時間が経ってから読了。 「同志少女よ、敵を撃て」の逢坂冬馬と姉のロシア文学者である奈倉有里との対談。 二人の膨大な知識に圧倒させられる。これは、両親や祖父の影響も大きいのだろう。父は大学教員、母は語学オタクで...
星2.5 読み始めてから、他のエンタメ小説に目移りしてしまい、ずいぶん時間が経ってから読了。 「同志少女よ、敵を撃て」の逢坂冬馬と姉のロシア文学者である奈倉有里との対談。 二人の膨大な知識に圧倒させられる。これは、両親や祖父の影響も大きいのだろう。父は大学教員、母は語学オタクで家中のものにドイツ語、スペイン語、韓国語などの名前が貼ってあり、どれも原書で小説が読めるレベル。逢坂も小一になるかならないかで「水野忠邦はなんで株仲間を解散させたの?」と聞くような歴史オタクだった。 この二人に共通しているのは、戦争に真っ向から反対していること。「同志少女」も反戦のために書いたということだ。
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きょうだいがいるっていいな、と思いました。 幼い頃、共通のあたたかな経験と記憶があって。成長とともに違う道を歩み、今、重なり合うところにきている。けれど、少し違っている。 文学、生き方、政治との付き合い方など、深く、骨太で、興味深い対談でした。 本とともにある生き方。本による...
きょうだいがいるっていいな、と思いました。 幼い頃、共通のあたたかな経験と記憶があって。成長とともに違う道を歩み、今、重なり合うところにきている。けれど、少し違っている。 文学、生き方、政治との付き合い方など、深く、骨太で、興味深い対談でした。 本とともにある生き方。本によるつながり。 時代や地域を越えて感じる、普遍的なものの存在。 本好きの私にとってはたまらない内容でした。
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『ことばの白地図を歩く』。若者向けにゲーム仕立てでおもしろく読みやすいけれど、内容は驚くほど専門的。書いたのはどんな人なんだろう?と気になって経歴をみると紫式部文学賞を受賞した『夕暮れに夜明けの歌を』の著者であり、あの『同志少女』『歌われなかった海賊へ』の逢坂冬馬さんと姉弟だと知...
『ことばの白地図を歩く』。若者向けにゲーム仕立てでおもしろく読みやすいけれど、内容は驚くほど専門的。書いたのはどんな人なんだろう?と気になって経歴をみると紫式部文学賞を受賞した『夕暮れに夜明けの歌を』の著者であり、あの『同志少女』『歌われなかった海賊へ』の逢坂冬馬さんと姉弟だと知り驚いたり納得したり。 「有里先生」と「逢坂さん」。3歳ちがいのおふたりは対談の中でお互いをこのように呼び合い、「文学」「作家という職業」、「戦争や武器」について、専門家同士としてリスペクトしつつ、存分に語り合う。ご両親のエピソードも紹介されるがこれがまた 言葉かけと言い距離感といい、「親の背を見て子は育つ」の諺どおり。さて、私達も感心してばかりではなく同じ時代に生きているものとして、こんな社会だからこそきちんと次世代に伝えていく努力をしていかなければ。
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