影を呑んだ少女 の商品レビュー
『嘘の木』に続く著者第八作。 今作の舞台は1642年、清教徒革命下のイギリス。特殊な能力をもつ少女•メイクピースは暴動で母を亡くし、亡き父の一族のもとに引き取られる。王党派の父の一族は、代々あらわれる特殊な能力をもつ者をつかって邪な目的を果たしていた。その能力とは"霊に...
『嘘の木』に続く著者第八作。 今作の舞台は1642年、清教徒革命下のイギリス。特殊な能力をもつ少女•メイクピースは暴動で母を亡くし、亡き父の一族のもとに引き取られる。王党派の父の一族は、代々あらわれる特殊な能力をもつ者をつかって邪な目的を果たしていた。その能力とは"霊に取り憑かれる力"。しかしメイクピースにはひた隠しにしている事実があって…。 幽霊が出てくるゴシック•ファンタジー。多様な仕掛けのある歴史ファンタジーでもあり、十五歳の少女が苦難を乗り越えていく成長の物語でもあります。 イギリスで賞を取った『嘘の木』も面白いけど、その一作前の『カッコーの歌』も、本作も面白い。全てに共通しているのは少女の成長。ときに慎重に、ときに大胆に、難局を乗り越えていく姿が生き生きと描かれています。 なお、清教徒革命期の話ですが主人公は市井の人なので、読むための歴史的知識はなくても大丈夫、読めます。"国王と議会が対立して内乱になり、最終的には国王が処刑された"くらい知っていてもいいかな。 ちなみに王の名はチャールズ1世。(今の国王は3世です。別王朝の人だから間違えないようにしないとね!)
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他人を信用するのもしないのも決めるのは自分自身。 カッコーの歌でフランシス・ハーディングに興味をもち次に読んだのがこれ。最初は宗教がらみの話がよくわからなかったのだがそこは主人公も同じで読んでいくうちに主人公と共に現在の状況がわかってくる。相変わらず(訳者の方の翻訳センスもある...
他人を信用するのもしないのも決めるのは自分自身。 カッコーの歌でフランシス・ハーディングに興味をもち次に読んだのがこれ。最初は宗教がらみの話がよくわからなかったのだがそこは主人公も同じで読んでいくうちに主人公と共に現在の状況がわかってくる。相変わらず(訳者の方の翻訳センスもあるのだろうが)ところどころでぐっとくる言い回しが多く展開も早いのでグイグイ読めた。エンディングがカッコーの歌と比較すると若干投げっぱなし感が否めなかったが、これはこれでアリだなと思えたのでそこまでは気にはならなかった。
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・あらすじ 17世紀、議会vs王で内乱状態にあった(清教徒革命)イギリスが舞台のファンタジー小説。 小さな田舎町で母と暮らしていたメイクピース。幽霊に取り憑かれてしまうという特異体質をもつ彼女はその能力を使って動乱の時代を生き抜いていく。 ・感想 作者の作品は三作目なんだけど、どれも少女を主人公に据えた成長譚。 今回も同様に泥臭く生き抜く少女が逞しく描写されてる。 いわゆるなろう系とは全く正反対の苦境・逆境を傷つきながらも乗り越えていく作風で読み終わった後のカタルシスが良い。 過去に縛られ過去に拘泥し過去に生きている人々、旧く強大な権力を持つものに抗って新しい時代を生きていく人々を時代設定と主人公の設定に落とし込んでた。
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今まで培われてきた一族の歴史そのものを相続するという発想 とんでもない衝撃! その叡智を結集させ揺るぎない地位を築き、栄華を極め続ける 子孫はただの器で弱きものは淘汰されてゆく、、 クマにボロボロにされてるし、逃げなきゃだし、わたしもついていくのがやっとだし 一難去ってまた一難のリピート ちょっとやそっとでは太刀打ちできない 面白すぎる
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今月は色々とあり、なかなか読み進めるのが難しかったのですが。 この作品と出会えた事は縁なのだろうと思います。 死者の魂を住まわせることが出来る一族の少女の物語は胸打つものがありました。 人は必ず逝くべき所へいかなくてはならない。 その事を改めて考えて、生きていかなければいけないですね。
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