髑髏銭(下巻) の商品レビュー
とてもドラマティックな展開の下巻。 全員収まるところに収まりハッピーエンドになりそうな気配を醸し出しながらの「あー」となるような終焉。気持ちの強さは必ずしも幸せを招き寄せるわけではないのがかなしい。
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角田喜久雄(1906-1994)時代小説、推理小説家 SNSでの「髑髏銭」の紹介投稿に心惹かれて手に取った作品。 五代将軍徳川綱吉の時代。死体の両目に銅銭が乗せられる殺人事件が続いていた。貧しい浪人の娘、お小夜が、突然やくざに荷物を託され寺に届けるところから話ははじまる。 ...
角田喜久雄(1906-1994)時代小説、推理小説家 SNSでの「髑髏銭」の紹介投稿に心惹かれて手に取った作品。 五代将軍徳川綱吉の時代。死体の両目に銅銭が乗せられる殺人事件が続いていた。貧しい浪人の娘、お小夜が、突然やくざに荷物を託され寺に届けるところから話ははじまる。 上下巻の上巻を読んでいる時は幼い頃わくわくしながら時代劇をみていた頃の懐かしい気持ちが沸き上がり、下巻ではそれぞれの主要登場人物の素性や生い立ち、仇討の理由や髑髏銭の謎が次々と明かされ驚きの連続∑(゚Д゚) 上巻のはじめ、突然やくざに荷物を渡されて何も知らずに寺に届けに行ったお小夜の行動から、まさかこんな展開になるなんて。。 お小夜含め女性3人、男性3人が髑髏銭をきっかけに出会い、自分の抱いてしまう抗えない感情に苦悩し涙し、進むべき道を進む姿や生き様に心が揺さぶられた。 最後の最後までドキドキの展開が繰り広げられるけれど、最後の徳川綱吉の側用人・保明の言葉に はっと時が止まる。 「わしは文をしく!(略)武のとうとさ、それは、思うところの正義を断行し、持つところの国土を護り、天下を太平の安きにおくの実力にある。だが、その武を養いはぐくみ、成長せしめ、庶民の生活を富ましめ、正義を断ずる目を賦与せしめるものは武ではない、それこそ、文の力なのだ!文と武とは並び栄えてこそ意義があるのに、これまで、武をのみとうとんで文を忘れたこの国の施政者は、そのあやまちをなんぴとに転嫁しようというのか。いや、わしは断じて文をしく。高きより低きに至るあまねき文化を国のすみずみまではんらんさせる!その時こそ庶民は新しい目を開き、正しくものを断じ、それによって新しい国土の発展を見るであろう。(略)」 この文章に角田喜久雄さんのお人柄や価値観をみる思いがし心が震えました。 亡くなったあとも、文章や物語が残り、色々な感動を届けてくれる作家さんへの感謝が溢れます。 はぁ、おもしろかった!…けれど、ずいぶんと心が揺さぶられましたぁぁぁ。
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