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これやこの の商品レビュー

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2023/09/14

自分の中で消化できていないままのだれかの「死」を、そっと取り出して触れてみて、またしまっておく。そんな感覚をおぼえました。 自分自身かなり似た経験があった「鶴とオルガン」。年代は違えど著者と同じキャンパスに通っていたというのもあり、ふと知らされた時の気持ちの置き所のなさや、かつ...

自分の中で消化できていないままのだれかの「死」を、そっと取り出して触れてみて、またしまっておく。そんな感覚をおぼえました。 自分自身かなり似た経験があった「鶴とオルガン」。年代は違えど著者と同じキャンパスに通っていたというのもあり、ふと知らされた時の気持ちの置き所のなさや、かつてのキャンパスライフなど、久しぶりに過去をありありと思い出し、懐かしみました。これは涼しくなった秋の文キャン、スロープ脇の喫煙所でまた読みたい。喫煙所もうないけど。 表題作の「これやこの」。近づく死に向き合う落語家達の凄みがありました。それとは別に、この話の中で、落語の語り口を描写している訳ではないのに、なんだか面白そう、落語聞いてみようかなと思わせるのは、著者の落語愛あってこそなんだろうなと思いました。

Posted byブクログ