賃金の日本史 の商品レビュー
古代から近代にかけての賃金の動向を分析したもの。数量分析が中心で、史料によって補完している。 統計が整備されていない古代や中世の実質賃金の推計では、データの制約や分析の限界について説明がされていた。 賃金の歴史的な推移の分析よりも、数量経済史の分析手法(方法論)の印象の方が強...
古代から近代にかけての賃金の動向を分析したもの。数量分析が中心で、史料によって補完している。 統計が整備されていない古代や中世の実質賃金の推計では、データの制約や分析の限界について説明がされていた。 賃金の歴史的な推移の分析よりも、数量経済史の分析手法(方法論)の印象の方が強かった。反証可能性を担保するためのデータの制約に関する説明。 賃金は雇用労働の対価という個人的な認識だが、本書で対象になっているほとんどは個人事業主への報酬のような気がした。被用者と個人事業主との違いはあるのかどうかが気になった。
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古代から近代までの賃金を数値化する試み。日本史を数字でズバッと一刀両断するのかと思いきや、補足説明や留保が多くて、素人には読みづらくはあるが逆に面白い。方法論を知られて勉強になる。古代や中世の賃金の記録があるというのも興味深い。
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各種データを用いて賃金と人びとの生活水準、さらにはその背後にある社会構造を描くことは言うほど簡単ではない。近代であっても相当難しい骨の折れる作業なのだが、本書はそれを古代から近世の日本社会に試みている点がすごいと思う。前近代にあっては当然ながら整備された同一系列のデータセットが揃...
各種データを用いて賃金と人びとの生活水準、さらにはその背後にある社会構造を描くことは言うほど簡単ではない。近代であっても相当難しい骨の折れる作業なのだが、本書はそれを古代から近世の日本社会に試みている点がすごいと思う。前近代にあっては当然ながら整備された同一系列のデータセットが揃っているわけではないので、記述資料などを丹念に探してこなくてはならないからだ。その辺の苦労や工夫は是非中身を読んで欲しいと思う。 しかし、さまざまな仮定を置きながらの「推計」だから信憑性に欠けるというわけではないことには注意が必要である。まさにその「推計」こそ醍醐味なのであり、そこに本書の面白さがある。その意味では賃金そのものよりもそうしたデータの扱い方に関心がある人向けかもしれない。いずれにせよ近年の数量経済史の成果の一部を一般にもわかりやすく解説した好著であると言えよう。
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この方法論の部分が楽しめないのが歴史が好きじゃないことなんだろうな。方法論が面白いと思うかどうかがその分野が好きかどうかの気がする。へえーがたくさんではある。
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