はじめて学ぶ ぼくたちの温泉科学 の商品レビュー

森康則(著者)

2023/07/12

温泉について学びたい、温泉分析書を理解したい、という方へ入門書としておすすめ。

1章／温泉の定義とその分類
2章／温泉の成分
3章／入浴による人体への影響
4章／温泉の衛生問題と管理
5章／温泉開発・環境

まえがきに、「本書は教科書でも専門書でもありません。〜本書はこれを読めば、極めて学際的といえる温泉科学のファーストステップを踏み出せる、というような意図をもって作られたものです。したがって、そのような温泉科学をはじめて学ぼうという人たちに向けた、とっかかりを第一目標としています。」とある。
表紙やタイトルから子供向けの易しい本だと思い手に取ってみたが、開いてみると、大人向けの入門書という感じ。確かに、専門書というほど突っ込んではいないが、"温泉"について広範囲に説明されており、入門書として最適。
温泉法の条件を満たせば温泉と掲示できるが、その条件、療養泉の規定値、温泉分析書の見るポイント、泉質別の適応症(入浴による効果)や禁忌症(こうゆう人は入浴すると症状が悪化する等)、入浴に適した温度、家庭の浴槽で入浴剤を入れた場合と温泉との違いなど、温泉をより楽しめそうな知識を得られる部分や、温泉水の循環ろ過の仕組み、消毒の仕方、レジオネラ属菌について、温泉開発について、温泉水枯渇の対策など、裏側を知ることもできた。
ただ、やはり内容というか(そこまで難しい話ではないので漢字が読めれば子供も読めるだろうが)、本文の文体の割には、表紙が子供向けすぎるかなと思う。